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第百九話 オーションの冒険者ギルドにて

僕達は一晩休み、今日はオーションの冒険者ギルドで受けることが出来る依頼を探してみようと言う話になった。今日もクロウとヤマトは別行動をしていて、サクラとソフィアと一緒に冒険者ギルドにいる。



今日も様々な種族の姿が見られて楽しい。鬼のような鬼人、鳥のような翼のある鳥人、豚のような獣人……オークとも違いがあるから間違えない。それに顔色が僕達とは違う何かの魔の者の魔人、エルフやドワーフもいて、人間族もいる。

うん、誘拐がないなら良い都市だ。



「サクラ? この魔物討伐はどう?」


「ん~、それよりならここから少し離れているって書いてる、森の中の素材採取は?」


「あーー、それもいいけどじゃあこの山の魔物退治は?」


「その魔物は嫌ね……美味しくないもの……」


「じゃあこの盗賊討伐は? 複数パーティーでって書いてるけど……人間族以外と一緒も楽しいんじゃない?」


「あ~、楽しそうね……だけどちょっと違うかな……」



そんな感じで僕達が迷っていると、受付の方向から叫ぶ声が聞こえてきた。


「皆さん! 緊急依頼です! ――今受けている依頼の途中でも良いので、拐われた妖精族の人がいます! 子供のエルフを見つけたら、名前を確認してください!」と人間族の男が言った。

そのあとで皆が見える所に人相書が貼り出され、名前や特徴、拐われる前の状況が書いてあった。



……


「サクラ……子供が拐われたって……ボーヤンさんから聞いてはいたけど……」


「ラウール……西の大陸からこの都市に買い付けに来たエルフの子供だって……」


「さっきの話の後にざわついている中でも、この都市の冒険者の子供も拐われて、行方が今もわからないって……」


「どっちの大陸の人も危ないみたいよ……東大陸の人間族は西大陸に連れていかれるみたいよ……」


「許せないね!」

「許せないわ!」



……



僕達の気持ちは一緒だった。誘拐した人、その後ろにいる人が許せない。


「んーーじゃあ複数パーティー依頼の盗賊討伐でなくて、少数の盗賊を討伐する依頼を受けよっかサクラ」


「そうね、大きな盗賊集団は他に任せましょ。小さな集団を倒していったら、何か情報があるかもしれないから……情報を抜き出すのはソフィア、頼んだわよ!」


「お任せください」


……


早速僕達は受付に行き盗賊討伐の依頼を受けて、誘拐についての話も聞いてみた。


すると僕達の冒険者ランクを確認していたギルド職員が説明してくれた。幸い僕達が並んでいた列の人気がないからか、後ろには誰も並んでいない。



「誘拐は昔から少数ありました。……しかし最近は前とは比べられないほど誘拐に数えられる事件の数が増えています。……領主も警備に力をいれているのですが、都市の中でも外でもおきています。……事故や魔物の被害ではないだろう状況ですので……冒険者ギルドも協力をしているのですが……。更に! 我々の仲間の――冒険者ギルドの仲間の子供にまで手を出しました! これは……冒険者ギルドと誘拐犯との戦いでもあります!」と熱い説明を受けた。

誘拐に関する情報は高く買い取りますとも言われた。



……



そんな熱い言葉を聞き、僕達は討伐の目撃情報があった辺りを探索している。今はクロウとヤマトがいないから、捜索範囲はいつも程ではないが大丈夫だろう。


整備された道を外れ先に進む。魔物もいるがなるべく静かに倒し辺りの探索を続ける。



……



大分怪しげな岩穴が所々にある崖に到着した。ここならば小さな集団であれば拠点に出来るだろう。


……


静かに姿を見られないように岩穴の中の気配を探ると、一つの穴から人の気配がした。


人数は十人ほどだが、一つの気配は動かない。これは一つ目から当たりか?



更に岩穴に近付くと、見張りの男が一人岩穴のすぐに内側にいた。

この見張りを含めて魔法で眠らせる……情報を聞き出すには人数は多い方が良いだろう。


あっ! 僕達が目立てばいいか! 僕達が今情報を集めるよりは、この見た目の良い黒猫と言う冒険者パーティーが目立てば……いずれ何か仕掛けて来るか!



単なる思い付きだが、派手に目立ってやろう。子供を不幸にする人は許されないのだ。



そうと決めたら眠らせた盗賊は捕縛してムカデ型ゴーレム馬車に乗せた。もちろん檻の中に。

いつもの事ながら拠点となっている所は……臭かった。この中にいた獣人族の男の子も大変だったろう。


まだ眠っている獣人の男の子はこのまま連れていこう。半端な所で目を醒まされると、なかなかに面倒だろうから。



……



僕達はもう一つのムカデ型ゴーレム馬車に乗りオーション市に移動した。


整備された道を進みオーション市が近くなってくると騒ぐ者もいたが、僕が手を振りながら進むと一応安全だと思ってくれたようだ。



そしてオーション市が誰からも見える所まで移動すると、兵士か騎士らしき人物が僕達に近付き、一定の距離をとって立ち止まった。



だから僕から先に言った「誘拐された獣人の男の子と、拐ったであろう盗賊を連れて来ました」と……

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