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第百五話 盗賊の根城を襲撃

僕達は一人の悪そうな盗賊を担ぎ盗賊の根城に移動した。担いだのはラーバンストで、ドラゴンを自分達だけで倒してしまった謝罪の意味もあるとのことだ。


悪そうな盗賊が言った通りと所に盗賊根城があり、三百人よりちょっと多いくらいの人の気配がした。



「じゃあ手出ししないでね。私達だけで戦うからね!」


「俺達はそれでいいが、大丈夫か?」

「私が魔法で少し数を減らそうか?」



「いらないわよ! ……はい!」とサクラが無詠唱である程度弱い人を凍らせる魔法を根城全体に使った……。そして動いている気配が五人の強者だけになった……



「これでSランク冒険者以下の戦闘力の盗賊は動けないわよ。ーーでも思ったより残ったわね!」


………


ラーバンスト達は何も言えないようだ……



「じゃあ僕もラーバンストとヒューズは呼び捨てにするけど……邪魔をしないでね……」


殺気も込めた僕の言葉にはラーバンスト達は頷くのみだった。



……



奥から僕達に向かってくる気配がする。その移動速度は速く、すぐに僕達の目の前に到着した。そして一番偉そうな男が話し始めた。



「オイオイオイ、とんでもねーな! 一応聞くが、俺達の仲間にはならないよな?」



「なるわけないでしょ! あなた達みたいな人に迷惑をかけると集団になんて! ……私達はどれだけ人に迷惑をかけないようにしているかわかる!? 悪いことはしなくてもーーたまに迷惑をかけちゃってるのよ! ……わざと迷惑をかけるなんてできるわけないじゃない!」



……



「よくわからねーが……このままだと無理だろうな……あーー人のままでいたかったがーー、おいあれを使うぞ!」と盗賊の頭目らしき人が叫ぶと、何かを口に入れた。見えたのは、黒い飴玉くらいの塊だった。



男達がそれを飲み込んだかと思うと、体に変化が現れた。


……

……



「「「「「ぐぐぎぐぎゃぐがーー!!」」」」」



体の形が変わっていく……人型を保って皮膚や骨格に変化が生じる……

その後は骨格が、体格が、形が変わっていく…………


一人はオーガ人間……一人はこれまたゴブリン人間……一人はリザードマン人間……一人はスケルトン人間? 顔だけは肉がある……最後の一人は、人面犬? いや、毛足が長い犬人間、出はなくて何ウルフ人間だ……人間の顔に狼の魔物の体だ……


一人一人がロード種くらいの強さを感じる。



「んー、ドラゴン一匹とロード種並みが五人か……うん、私達の方が面白そうね!」


そうサクラが言うと、ラーバンストが何かを言いそうだったが、すでに戦闘を開始していた。サクラは一瞬で倒す気がないのか、五人の魔物人間の攻撃を受けながら、相手の体の表面だけを切っていた。


……

……


「「俺も(我も)!」」とヤマトとクロウも参戦した。……十二歳の女の子と烏、黒猫が戯れている……何かが変だ。


……

……


魔物人間にとっては延々と感じるかもしれない時間……サクラ達には少しも攻撃を当てられない、自分達は少しずつ体を傷つけられる時間……敵ながら可哀想だ。



そんな時間もサクラ達の「飽きた!」の一言で終わった。本当に飽きたのだろう、魔法で糸を作り魔物人間皆を拘束した。



……



「もういいわよラウール。これだけ運動したから、後は連れて行きましょ」


ラーバンスト達は声もでない。


「そう? じゃあ担ぐのも大変だし、ムカデ型ゴーレム馬車で移動する?」


「そうね、その方が楽ね」



僕はサクラの返事を聞き、ムカデ型ゴーレム馬車を亜空間収納から出した。


ラーバンストは何も言わない……


「じゃあ二台目にこいつらを積んで……よっ! ……よし、じゃあ王都へ!」

サクラは魔力で魔物人間を馬車に積みこう言った。



「うん、じゃあ行こうか。ヤマトもクロウもソフィアもいい?」

「「うん!」」

「ラウール、そこの人達が動きませんよ。置いていきますか?」



「んーー、よいしょっーー」と僕も魔力でラーバンスト達を僕達と一緒の馬車に乗せた。



……

……



僕達は王都に向かっている。盗賊の根城に残した盗賊は拘束しなおした。魔物には襲われないように二日ほどで消えるような魔物にのみ効果がある結界を作っておいた。

それと、財宝と呼べるほどあった価値のある物は全てクロウが回収した。これは後で確認することにする。また買い戻しをしないといけないかもしれないし……



……

……



移動は順調だった。僕達の馬車は高性能だし、ついでにミスリルゴーレム馬も出して、雑魚は蹴散らしてもらっていたから。


そして道中でようやく意識がこちらに戻ってきたラーバンスト達には質問攻めにあった。

大体は秘密にしたが、少しは教えてあげたこともある。Sランク冒険者にも優しくするのだ。



……



そして王都に到着すると、ファンフート王国であったような騒ぎになったが、馬車の事はラーバンスト達がわかる範囲で説明して、攻撃の構えはとられなくなった。

その後は門兵に盗賊を引き渡し、引き渡し証明をもらって冒険者ギルドに移動した。



さあどうやって報告をしようか……まーー説明する場所はいつものギルドマスターの部屋だろうけど……


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