表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Quad ~ロボットみたいなお兄ちゃんの生き方は絶対に間違ってる!~  作者: ツネノリ
第二章 勇者ああああとバレンタインの魔女
11/45

2-3 彼氏いない仲間

 お皿にはカレーの乗ったハンバーグとライス。さらにはキャベツとラディッシュが細かくカットされたサラダ。

 メインを後から食べる派の私は、先にサラダにフレンチドレッシングをかけて頬張る。

「んんっ、ほいひーれふ」

 あまりの空腹にお口いっぱいに放り込んでしまったため、発音がおかしくなってしまった。

 直ぐに、がっつきすぎた自分が恥ずかしくなり顔が赤くなる。


 先ほどは意識がもうろうとしていて外観を見ることは叶わなかったが、内観は木材で作られた面白い形の装飾が施されている洋風のレストランとなっている。

 もしかしてこの装飾すべてに魔法的な意味があるのか、なんて頭の隅で思いながら食事に集中する。


「んっぱぁ、それにしても、空腹って最高のスパイスなんですね! 癖になっちゃうかも……」

「倒れるくらいだもんね~。もしかしてお金がないの? 旅人?」

「それです! 私旅してるんです!」

 会話が弾む中でも私の手は止まらない。最早、勝手に手が動いてるかのようであり、相当お腹が減っていたのだということを我ながら思い知る。


 不意に外から聞こえた音へと目を向ける。

 店の外はちょうど大通りに面しており、ちょうど目の前で祭りのパレードのようなものが行われていた。その行進している人たちは、何かを言いながら進んでいる。

「リア充はいねえが~、リア充はいねえが~」


「あの、もしかしてあの祭りはバッドウィッチ伝説の?」

「ええそう。まあ、あの魔女に模した人たちは、最終的にやられ役になるんだけどね。でも夕方まではリア充どもをいたぶってくれるから許してあげるわ」

 まるでこの街を仕切っているかのような横暴な言動を放つ彼女。

 名をヒリアというらしい。その姿から魔女なのかと思っているが、そう聞いた返答は曖昧でよくわからない。

 

 話によると、この祭りはウィッチ街にて数百年前に起こったといわれる事件のバッドウィッチ伝説をモチーフにした祭りであるという。午前中から悪魔の仮面をつけた者たちが街を徘徊し、二十代くらいの若い人を見つけると背後から脅かしに来るという。

 しかも、この祭りはバレンタインと並行して行われるため、街でデートしている若いカップルはその悪魔役の人たちの恰好の餌食となってしまうのだ。

 それでヒリアさんはこんなにも喜んでいるらしい。

 

「でも気が合う人が見つかって良かったー。彼氏いない者同士、仲良くしましょ!」

「え、ええ。はい……」

 ヒリアさんはなんだか男女交際について強い拘りがある様だが、まだ私には分からない世界のようだ。

 

 メインのハンバーグも平らげ、お腹いっぱいになったところでヒリアさんが立ち上がった。

「よし! お会計済ませてくるねー」

「え! 申し訳ないですし、私が払います!」

「いいってことよ! 私たち同志でしょ?」

 なんだかあまりに活発な彼女の仕草に気圧されてしまい、つい奢ってもらってしまった。


 会計を待って先ほどと同じ席に座っていると、会計を済ませたヒリアさんが戻ってきた。

 彼女は窓から街の様子を一望し、その後に私に相談を持ち掛けてきた。

「ねえ、なんだか街も騒がしいし、いったん私の家に行きましょうよ」

「いいんですか?」

「うん! 貴女のことは、もっともてなしたいしね」

 私は彼女の提案に乗り、感謝を告げる。

 

 ヒリアさんは明るい笑顔を浮かべながら私の手をつかむ。

「さあ、行きましょ?」

 彼女に手を引かれるままに、私はレストランを飛び出したのであった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ