48話『嵐山』
嵐山に着いた僕と麻那辺さんは今竹林小経にいる。
「竹の中を歩いてるみたいだね」
「そうだね」
「竹取物語とかってこんな感じだったのかな?」
「竹やぶの中で見つけたらしいしこんなに整ってたわけじゃないと思うけどね」
麻那辺さんが走って行くので僕も追いかける。
それからしばらくして、麻那辺さんは止まり僕の方に振り返った。
「登山よりは散歩だね」
「確かに、登ってる感じはしないね」
麻那辺さんが急に黙り込んで何か考えてる。なんだろう。
それから麻那辺さんは考えながら歩いて、そろそろ寺に着きそうな時に口を開いた。
「相澤君は今どっちに傾いてる?それとも答えは出ちゃった?」
なんの事を聞かれてるのか言われなくても分かってしまった。
「ごめん、まだ自分の気持ちがわからないんだ」
二人とも魅力的だ。何故僕なんだろうなんて思うこともある。
恋を知らなかった僕は今自分の気持ちがなんなのかよく分からない。
早く答えを出したい。よく分からない感情だけど見つけるしかない。
「気にしないでいいよ、まだまだ期限まであるから、これは私が気になって聞いちゃっただけだから」
麻那辺さんはそう言ってフォローしてくれた。とても有難い。今の僕はゆっくりと考えるしかない。焦ったら分からなくなっておしまいだ。
「それよりもう少しでお寺に着くよね?」
「え、あ、うん、もうそろそろだよ・・・ほら見えてきた」
「じゃああそこまで競走ね、よーいドン!」
麻那辺さんがそう言うや否や、走り出す。
「ちょっ!それはずるい」
「あははははは」
只でさえ早いのにそんな不意に始められても追いつけない。
結果は僕の負けである。
「わーい、勝ったー」
「当然ですよ、あれじゃ勝てません」
「勝ちは勝ちだよ、じゃあ一緒におみくじを引こう!」
「罰ゲームかなにかですか?」
「引きたいから引くの」
「わかりました」
そして僕と麻那辺さんはそれぞれおみくじを引く。
僕は吉。まぁ無難なところだな。
「ふふふ、相澤君、私はなんだったでしょう」
わざとらしくそんなことを聞いてくる。そんな自信満々だとバレバレだな。
「大吉ですか?」
「正解!!」
「じゃあ内容はどうなんですか?」
「えーとね、勉強は★5、運動★5、健康★5、金運★4、恋愛★5だってさ、これすごくない?ほとんど5だよ完璧じゃん」
「凄いですね」
まるで麻那辺さんを表したかのような完璧具合でビックリだな。
「相澤君はなんだったの?」
「吉ですよ」
「中身は?」
「これです」
そして麻那辺さんに紙を渡す。内容はこうだった。
勉強★3、運動★2、健康★4、金運★3、恋愛★5
恋愛が5なのは事実2人の女の子から告白されてるからだな。
「吉だからかな?恋愛以外普通だね」
「まぁ、恋愛に吸われてるんですよきっと」
「そっか」
それから参拝してから僕達のペア行動は終了した。
とりあえず集合場所まで戻る。
「あー!レオっちとあいかっちじゃん!おかえりー」
戻ってそうそう元気な声が聞こえてきた。
「あ、八代さん、こんにちはー」
「あれ?大樹はどこいったんですか?」
「先生のところ~、報告だってさ」
「じゃあ僕も行ってきますよ、麻那辺さんまた」
「うん、わかったよ、またね」
そして僕は麻那辺さんと別れ先生に報告しに行く。
「あいかっちはレオっちのことが好きなの?」
相澤君と別れてから私は八代さんにそんなことを聞かれた。
「好きです」
「そっかそっか、応援するよ!私、あいかっちのこと気に入ったからね」
「ありがとう!八代さん」
「だめー、私のことは茜でいいよ」
「茜!ありがとう!」
「おっけい!」
茜と仲良くなれた。とってもテンション高いけどちゃんと人を見て答えている。
相澤君のことが好きだなんて、宣言しなかった限りクラスメイトにすらバレなかった。
それをたった1回会っただけで見抜いてきた。明るく観察眼がすごい子。
それからしばらくすると佐々木君が戻ってきた。
「麻那辺さんどうも、玲央はもう少ししたら来ると思いますよ」
「うん、わかった、ありがとう」
「あいかっち修学旅行楽しかったね」
「そうね、とても楽しかった」
「2人はもう仲良くなったのか、茜のコミュ力の高さは凄いな」
「まぁ、レオっちと大樹が親友ならそのレオっちの彼女候補とも仲良くなれば一緒に遊べるでしょ、ダブルデートとか楽しみだね!」
ダブルデート!!?私と相澤入れて4人で!すごい事考えるな。でも楽しそうだよ。
「はは、茜は面白いことを考える。確かに楽しそうだ。麻那辺さんも玲央とカップルになったら試してみようぜ、どうせ玲央の事だ。付き合ったらまともに出掛けられないな」
佐々木君は相澤君のことよく知ってるから言ってるけど、私と出かける時そこまで緊張とかしてる感じはしなかったけど、もしかしてまだ友達としか思われてないから?
これがカップルになったら変わっちゃうのかな?わからない。でも今そんなこと考えても仕方ないよね。
「うん!わかったよ」
それから相澤君が戻ってきた所でバスが出る時間になり私達は学校に帰った。




