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31話『長嶺涼子』

  ウチの名前は長嶺涼子。

  ウチは親の都合で転校が多い、いわゆる転勤族やな。この口調は地元にいた頃に癖がついてしまった。意識すれば改善はできる。


  高校1年の時にこっちに越してきてからは落ち着いて、転校することがなくなった。おかげで友達もたくさん増えた。


  ウチの家族は両親に弟の四人家族や。母は専業主婦なので家にいる。父は営業マンだ。弟は小学4年生。


  これは試験最終日の出来事。ウチは試験が終わったあとそのまま家に帰った。


「涼子~」

「何ー?」


  母がウチを呼ぶ。


「ちょっと和菓子屋に行って来てくれない?」

「なんでやー?」

「予約限定水羊羹を頼んでるのよ」

「また水羊羹かいな、なんでまだ取りに行ってないねん」


  ウチの母は和菓子好きだ。特に水羊羹が一番好きらしい。


「お願ーい!その代わり好きな物食べてきていいからー」

「あ、じゃ俺も行く!」


  弟が食べ物に釣られて着いてくるハメになった。ウチも和菓子は好きな方なので好きな物が食べられるなら行くしかない。


「わかったわかった」


  そして私達はおやつの時間に合わせて和菓子屋に向かう。

  その途中でウチは視線を感じ見てみれば相澤がいるやないか。せっかくやし誘ってみよか。


「よお、相澤」

「こんにちは~」


  ちゃんと弟も挨拶しとるな。偉い偉い。


「こんにちは、長嶺さん、弟さんですか?」


  相澤のやつ、そら弟やわ。さすがにショタコンとか思われてなくて助かった。

  子供はどっちかといえば好きだけどな。


「これから何処へ?」

「お母さんから頼まれ物や。弟は釣られた」

「なるほど」

「相澤も暇なら来るか?美味しいもの食べられるで」


  昨日まで風邪引いてたし少し元気になってもらいたいからな。誘ってみよ。


「え?マジでどこに行くんですか?」

「和菓子屋」


  和菓子屋と聞いて驚いてたな~、しょうがないやろ母が好きなんやから。

  弟にも許可を求めてたけど、ほんま相澤は律儀というかなんというか。ましっかりはしてるよな、ヘタレだけど。


  それからウチらは和菓子を食べて解散した。


「「ただいまー」」

「おかえりー」


  それからウチは頼まれていた水羊羹を母に渡して自分の部屋に行く。

  それから勉強をして時間を潰し、夕食に呼ばれたのでリビングに行く。


「いただきます」

「いただきまーす」


  それから夕飯を食べ始めた。そこで雑談しながら食べていたけど母が──


「そういえば涼子、今日会った子って好きな子?」

「ぶふっ!」

「お姉ちゃん汚ーい」


  思もいっきりむせてしまった。いきなり何言い出してるの母は。


「いきなり何言い出すんや」

「弟に聞いたわよ、男の人と話してて買い物に誘ったって〜」

「うん!仲良かったよ!」

「さぁさぁ、教えなさい。お母さん心配なのよ〜」


  うう、これはやばい。たしかにウチには付き合ったことがないから母が心配しているのはその通りなんだろう。だけど母にホントのことを言うのも恥ずかしい。


「いわへん!」

「あら、しょうがないわね。涼子から報告してくれるの待っているわ」

「絶対言わへん!」


  顔が赤くなるのを感じながら夕飯を食べ終わった。

  その後、相澤と遊びたかったから予定を聞いて、遊ぶ約束を取りつけた。

 

  ウチは恋をしたことが何回かある。でも全てが上手くいったことがない。理由は簡単だよね、転校しちゃうから付き合わずに終わっちゃう。でもこの落ち着いた今なら出来るはず、この機会を逃さないようにウチは頑張らないといけないんや。

  そんなことを思いながら意識を落とす。

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