23話『ゴールデンウィーク4』
GW2日目、私と長嶺さんはまた遊ぶ約束をしていた。もちろん筋肉痛です。
今日は何をするんだろ。運動系は避けるって言ってたけどまた運動とかだと大変だから動きやすい服装で行くことにしよう。
そんなことを思いながら駅に向かっていると長嶺さんがもう来ていた。
「お待たせ」
「おはようさん」
「今日は何をするの?」
「今日は遊ぶ事にしよか、せっかく麻那辺さんも動きやすい服装やしバスケなんかいいんちゃう?」
「わかったよ、バスケやろう」
「なら2択や、ゲーセンのバスケで得点出すやつをやるか、公園にあるバスケットゴールで1on1をするかや」
「じゃあゲーセンでバスケにしよう。その後プリクラ撮ろ♪」
「はは、了解や」
そして私達はゲーセンに向けて歩き出した。
ゲーセンに入り、バスケのゲームの前に来た。だがバスケの前には相澤君を見てるとよく見る顔が1人居た。そう佐々木大樹。相澤君の親友だった。
「あれは佐々木やんか、おーい佐々木ーー!」
長嶺さんは佐々木君を見つけると声をかけに行ってしまった。私もとりあえず追いかける。
「あれ?長嶺さんじゃないかそれに麻那辺さん、二人ともどうしてここに?」
「ウチらはバスケしに来たんや」
「なるほどね、俺も終わったしどうぞ」
「ありがとう、佐々木君」
「いいってことさ」
「なぁ佐々木、ちょいと聞きたいことあるから後で時間貰えへんか?」
「かまわないよ、じゃあ俺は向こうの休憩所で休んでるよ」
佐々木君がそのまま休憩所に向かったのを見届けてから私は長嶺さんに聞く。
「ねぇ、さっきのはどういうこと?何かあるの?」
「えーとな、佐々木は相澤の親友やろ、なら好きな物とかそういう情報教えて貰えんかなって思ってさ」
「ちょっ!佐々木に私達のこと言っちゃうの!?」
「そら、言わなあかんやろ、多分向こうも気づいとると思うけどな」
「え?」
「ってそんなのは後でいいやん、今はバスケしよか。どっちが得点高いかで勝負や」
「え、あ、うん、負けないよ」
それから私達はバスケの勝負を始めた。お互い点差は縮まらず最終的な点は20対20で引き分けだった。勝負がつかなかったのでもう1戦、今度は22対21で私の勝ち。
「ちくしょー!悔しい」
「ふふ、私の勝ちだよ!じゃあジュース奢ってもらおうかな」
「なっ!そんなルールはなかったやろ!」
「今作ったの、勝負なんだから、負けたら罰ゲームは定番でしょ」
「むむ、まぁその通りやな。わかったわ。奢ったるわ」
「ありがとう♪」
そして私達は休憩所に向かう。休憩所には佐々木君が1人でジュースを飲んでいた。
「お待たせ」
「大丈夫、それで聞きたいことって何かな?」
「相澤について教えてくれへんか」
「玲央のこと?そりゃまたなんでだ?」
「ウチらが好きだからや」
「そうなのか!麻那辺さんの気持ちは知っとったけど、長嶺さんまでだとは思わなかったな」
「え!?私の気持ちがわかってたって、もしかして周りから見たらバレバレなの?」
「まぁ、察しのいい奴は気づいてるかもよ、麻那辺さん普段男子と話すこと自体少ないから、それなのに玲央にだけあんなに話しかければ気があるのかと疑うのも不思議ではない」
まさか私が相澤君と話をする行為自体が周りにはそう見えていたということか。ちょっとショック。
「まぁ、玲央にはバレてないから安心していいよ。あいつは直接言わない限り気づかないだろうし」
「ウチは告白しとるし、もうバッチリやな」
「もう告白までしてるのか!?」
「まぁな、まだなんも知らんと思うから返事は1年後にしたけどな」
「はは、だからか玲央が最近唸ってるのは」
「唸ってる?なんでや」
「さぁ?理由は教えてくれなかったけど、悩んでるみたいだったよ」
「悩んでる、もしかして1年も待たずに返事が聞けるかもしれんな」
相澤君、長嶺さんに傾いちゃってるのかな?このまま私気持ちも伝えずに負けるのだけは嫌だ。
私も覚悟を決めて言うしかないのかな?
「ねぇ、佐々木君。私も告白したらどうなるかな?」
「え?それは多分混乱するんじゃないか?それとネガティブ思想で逃げるかもしれん」
「なっ!それはあかん。ついでにウチの告白もなかったことにされそうやん」
「それでもこのまま何もせずに長嶺さんに負けたくはない!」
「たしかにそやな、ウチも麻那辺さんと勝負して勝つからこそ意味があるんや」
でも混乱する、なかったことにされる。それだけは嫌だ。じゃあどうしたらいいの?
「俺も協力しようか?」
「え?いいの?」
「ああ、親友には幸せになってもらいたいからな」
「ありがとう」
「それでどうするんや、まず逃げられたら負けやで」
「それなら2人で告白すればいいんじゃね?そして期限をつけてその間までは自由にアピールして決めさせるのはどうだ?ちなみにオススメは秋にある文化祭だここで後夜祭前に答えを聞く、超ベタな展開だが一番熱いシチュエーションだろ?」
それを聞き私はなかなかの妙案だと思う。文化祭までに恋人関係になれればクリスマス、正月とまだまだ楽しいイベントも控えてる。私はこの案に乗ろう!
「私は賛成だよ」
「ウチもそれでいいわ、はっきりしてていいな」
「じゃあそれで決まりだな。告白はいつにするんだ?」
「GW開けてすぐの放課後にしようよ、屋上で」
「それはいい案や、屋上ならドアもひとつしかない、ドアも佐々木に見張って貰えば邪魔も入らんしいいんちゃうか?」
「わかった、放課後は空けとくよ」
「「ありがと(な)!」」
その後作戦会議が終わり。佐々木君は帰っていった。私と長嶺さんはそのまま残り、さっきの罰ゲームとしてジュースを奢ってもらった。
ジュースが飲み終わり、次はプリクラを撮ることにした。
「なんかライバル関係なのにプリクラ撮るなんて変なの」
「たしかにそうやな、でもプリクラ撮るって言い出したのはそっちやで」
「まさか今日こんな大事なことを決めるとは思わなかったんだもん!」
「まぁ仕方ないやろ、いつまでも立ち止まってられへんやろ?」
「そう、だね。やらずに後悔するより、やって後悔した方がいいよね」
『まずは笑顔でピース、3、2、1、パシャ!!』
「ねぇ、こんな話プリクラしながらするものでは無いよ!1枚完全に逃したじゃん!」
「せやな、後にしよか。今はプリクラや!」
『次は変顔にチャレンジだ!いくよー3、2、1、パシャ!!』
「ちょっ!何その顔変なの!」
「いやいや麻那辺さんこそひどい顔やん」
『最後はハグで仲良しアピール!!3、2、1、パシャ!!』
「ふふ、面白かったーー!」
「せやな、プリクラなんて久しぶりやったわ」
「じゃあ落書きしよっか」
「任せとき、ウチの面白テク見せたるわ」
お互いあーだこーだふざけ合いながら落書きする。
恋のライバルだけど決着がついても仲良くしたいな。そんなことを思いながらプリクラに『負けても仲良く!』と書いていく。
こうして2日目は過ぎ去って行った。




