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10話『訪問者』

 ───放課後


  今日は特に用がないからそのまま帰ろうかな。そう思い、学校を出て帰路につく。

  流石にそう何度も女子と遭遇とかはなかった。一安心だ。ここ2日で僕は結構濃い体験をしている様だ。

  さて今日は佐宮さんから借りた本でも読むか。僕はベランダにキャンプとかで使うイスを出して、本を読み始める。室内で読むのが普通だけど、天気がいい時はこうやって外に出て読んだりする。


 ----------------------------------------------------------


  あれから2時間くらい経過したもう外で読むには暗く、まともに字が見えなくなってきた。夕飯も作らないといけないし、1度休憩を挟むとしよう。


  今日の夕飯は唐揚げにしよう、とりあえず袋に鶏肉と塩胡椒、醤油で味付けをして少し置いおく。これで味がしみて美味しくなる。


 ────ピンポーン


 なんだ?


 ──ガチャ


「はい、どちら様ですか?」

「やぁ」


 ──バタン


  なんだろ、今日は疲れてるのかな?今なにかいたか?


 ──バンバン

「開けなさーい」

 気の所為ではないようだ、なんでこんなに付きまとわれてるんだ。

 ──バンバンバンバン

 このままだといろいろ苦情が来るかもしれない、仕方ない入れるか。


 ──ガチャ


「どうしたんですか?警察呼びますよ」

「ちょ!?ひどいよそれは、あと人の顔みて閉めないでよ」

「はぁ、昨日に引き続きなんですか麻那辺さん?」


 そう、昨日に引き続きまた麻那辺さんが訪問してきた。


  「ご飯食べよっ♪」

  「いえ、遠慮します」

「なんで!?」

「麻那辺さんは弁当ですか?」

「ううん、相澤君の夕飯を頂きに来ました」

 なんか敬礼しながら凄い事言ってるよ。たかりに来たよ。

「いや、たかりに来ないでください、帰ってください」

「だが断る!!」

「うぜぇ!」


 そのキメ顔は腹が立つな。


「ふふっ」

「ん?どうしました?」

「いや、相澤君が珍しく口調荒くなったな〜と思って」

「あ」

「物静かなイメージだったけど、ツッコミもできるんだね」

「すいません、さっきのキメ顔に腹が立ちまして」

「ひどい!さすがに酷すぎるよそれは・・・」

「・・・すいません」

「じゃあご飯、一緒に食べよっ!それで許してあげる」

「わかりました、じゃあ上がってください」

「わーい、ありがとう」


「今日はなに食べるの?」

「唐揚げにしようかなって思ってます」

「なるほど、唐揚げ、楽しみ!」

「いまから揚げるのでゆっくりしててください」

「はーい」


  麻那辺さんをリビングに連れていき、僕はキッチンでさっき漬けた唐揚げを揚げる。

  中まで火が通ると軽くなるよとか言われてるけど、僕にはよくわからない。だから僕は2度揚げをしている。こっちの方が余熱で火が通り、油もさっきより高温にしてから揚げれば外はカリッ!中はふわっ!となる。


  このやり方が1番美味しいのではなかろうか、これで唐揚げは出来た。

  麻那辺さんの分と自分の分を準備してリビングに戻る。


「出来ましたよ」

「わーい、待ってました!」

「食べましょうか」

「いただきまーす」

「いただきます」


 ----------------------------------------------------------


  今の時刻は夜の7時半。夕飯を食べ終え片付けも済んだところだ。まぁ片付けは麻那辺さんも手伝ってくれたので結構早く終わった。

  今は麻那辺さんとくつろいでる感じだ。早く帰ってもらいたいけど、仕方ないか。


「麻那辺さん、まだ帰らないんですか?」

「まだ帰らなーい」

「もう遅いですよ」

「まだ7時半だよ〜それに〜隣だから別に遅くても大丈夫〜」


  ダメだ、いくら言っても聞かない。仕方ないので放置しよう。

  僕は今日借りた本を読むことにした。麻那辺さんも飽きれば勝手に帰るでしょう。 そんなことを思い読み始めると・・・


「相澤くーん、私のことを無視して本を読んじゃうんだ、ひどーい」


  鬱陶しい。相手にしないとちょっかいかけてくる。どうすればいいんだ。


「麻那辺さんが暇なら帰ればいいじゃないですか、僕はやることがあるので」

「えー部屋戻っても暇だよー」

「麻那辺さん一体いつも何して暇つぶしてたんですか?」

「勉強だよ?」


  なんかすごい単語が聞こえてきたけど、なんつった?勉強?あれが暇つぶしになるのか?


「あれが暇つぶし?頭大丈夫ですか?」

「何故に頭心配されないといけないの?そんなに変?」

「変です、とても」

  「おかしくないよ、勉強はしないとテストも点落ちちゃうじゃん」

「いや、テストならテスト勉強期間にやれば平均点は取れますよ、それで充分じゃないですか?」

「平均点なら余裕だよ、でもね、私は学年1位をキープしないといけないから勉強しないとなんだよ」

「たしかに麻那辺さんは常に学年1位ですけど、何かあったりするんですか?」


  ちなみに僕の順位は120人中60位です。平均だね。


「特に何も無いよ、だけど成績はあって困るものでもないし、将来の役に立つかなって」

「でも少し前まではそれが普通でしたけど、今は女性がバリバリ働くのとかあまり見ないですよね」

「そうだね、高校の時から恋愛をしてそのまま大人になって家のことをするようになるなんて結構多くなったからね」

「じゃあ、仕事をする可能性も低いわけなのに勉強ですか・・・」

「うん、私にはまだ相手がいないからね、このままなら仕事をすることにもなるかもしれないし、だからまぁ将来はわからないけどできることをしておくの」

「なるほど」


  たしかに結婚しても働く人はたくさんいる。むしろ家族ができるとかそういう訳でもない限り仕事を辞めるって事はないのかもしれない。まぁ僕にはまだ先の見えない話である。


 ----------------------------------------------------------


 それから1時間ほどして麻那辺さんは帰っていった。


「じゃあね、相澤君また明日〜♪」

「はい、おやすみなさい」


  これが隣だからいいものの、いや隣だからこそやめて欲しいか、危ないし。

  明日も一緒に登校するのかな?流石に2日連続は怪しまれる気がする。やめておいた方がいいかもしれない。早めに出よう。


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