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シャーサは前世で読んだGUN雑誌やミリタリー雑誌を思い出しながら、M4のパーツを作って組み立ての繰り返しをし無事に完成したものの、弾倉とそれを差し込むところを大きくしてしまった……
「なんでこうなったの!?」
シャーサはキレ気味で自分の部屋で自分に対して怒鳴った。
「ストックや照準器が大きくなるのはまだいいとして、よりよって弾倉!?」
弾倉が大きいといろいろ変えるところも出てくる。例えば、大袈裟だが対戦車ライフルの弾をハンドガンで撃とうとするようなものだ。
そのため、大きくしないといけないところも出てくる。
「はぁ~……」
シャーサはそう言いながらも、余分に買っていたため何とかM4とスコープ、火薬を使った実弾が完成した。
試射したかったが夕方だったため、この日は諦めた。
……、………、……………
試射をするため、弓の練習が出来る村の150mの長い弓場に来たシャーサは昨日作った出来立てホヤホヤのM4にスコープを付けて、弾倉を差し込み、実弾を薬室に送り込み、引き金に指を添えた。
スコープの十字を的に当て、引き金を引いた。
『バン!!』
銃口から発射された一発の弾丸は見事的に当たった。
『チリン、チリンチリン……』
同時に、弾丸を撃ち終えた薬莢が排莢された。
「やった!ちゃんと撃てて当たった!!」
シャーサは撃てたことに感動していたが、弓場に来ていた大人達は大きな音にびっくりしていた。
しかし攻撃魔法かと思い、何事もなかった様にまた練習を始めた。
シャーサは10発撃つと、いろんな魔力を1発ずつに込めながら撃ってみる事にした。
「我、汝に業火の鉄槌を下す!」
シャーサは炎の魔力を込め、引き金を引いた。
『バン!!』
炎の魔力が込められた弾丸は的に当たると、的を包むように炎が覆い尽くした。
「炎はこんな感じなんだ……」
シャーサはそう言うと、続けて水、風、土、雷と言った有名な魔法属性を込めながら1発ずつ撃った。
撃ってみてわかった事はどれも、的に当たるとそれぞれの属性の魔力は一気に放出されると言う事だ。
しかし、確実に弾丸は的に当たる。
残りは近距離の戦いに必要な『拳銃』だ。
シャーサの考えでは、ハンドガンは第一次世界大戦から現代まで使われている『M1911A1』を作るようだ。
M1911A1の口径は45口径と、かなり大きい口径だ。
シャーサが弓場を後にしようと思い片付けをしていたら、首に金色で眩しいネックレスをした村1番のチャラ男が近寄ってきた。
「あっれ~?シャーサちゅわんだよね~?これからこの俺っちといいことしない?」
弓場にいた他のエルフ達は「やれやれ、またか」や「なんだアイツ」と、素っ気無かった。
「すみませんがあなたのようなゴミとは関わりたくないので、いますぐ私の前から消えてください。目障りです」
チャラ男でもさすがに『ゴミ』と言う単語にはキレるようで、
「あ~ん?聞き間違いかなぁ~?ゴミって聞こえたけど~?」
と、かなりキレ気味でシャーサに聞き直した。
「ゴミはゴミでしょ?これ以上は時間の無駄です」
「このアマ野郎!」
チャラ男がシャーサを殴ろうと降りかかった時、
「はいはい、そこまで!面倒くさいことは外でやってください!」
どこから出てきたのか、チャラ男の拳を男とシャーサの二人の間で受け止めていた弓場のオーナーがそう言った。チャラ男は何が起こったのかわかなかったが、拳をシャーサに当てれていないのは理解した。
シャーサとチャラ男は外に出て、チャラ男はもう一度シャーサを殴ろうと拳を振りかぶり、シャーサに当てたのだが当てた感覚が無いのだ。
すると後ろから、何も無いところから蹴りを食らった。
「おい!本物はどこだよ!」
チャラ男はそう言うと、懐からナイフを取り出した。
だが次の瞬間、そのナイフは砕け散った。
当然、チャラ男は持っていたナイフが砕けたことに腰を抜かしていた。
「えっ?あっ、えっ?」
チャラ男はシャーサを殴れずに抜かした腰を探すように四つん這いで帰った。
シャーサは銃口から白い煙が出ている銃を構えていた。
シャーサは魔法で自分の姿を蜃気楼の仕組みを使い、チャラ男の背後を取っていたのだ。
「当たる当たる」
彼女はそう言うと、銃をケースの中に直し、家族の待つ自分の家と帰った。