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小料理屋
小料理屋を本格的に始めたのは40を過ぎていた
小さい頃から 祖母の手伝いをしてたので 料理は苦にはならない
駅の近くと言う事で徐々にお客さんも増えて来た もう良ちゃんに手紙を書く事もなく もしかしたら家庭を築いてるかもと思うとペンは進まなくなったのだ
そんなある日智子が 中学生出たら私働くからと言い出した
(ダメよ 高校は出て欲しい 本当は大学まで出してあげたい ごめんね 甲斐ない母親で)
( 私はお母さんが物凄く苦労して私を育ててるの見て来た 自分は食べなくて水だけ飲んでその場を凌いでたのも見てる)(泣)
(お母さんは中学生までしか出てないから 学も何もない この居酒屋だって…ほら調理師免許が 苦労したんだから)(笑)
それから智子は高校を卒業して 東京へ就職が決まった
東京に行ったら昔住んでいたマンションに行ってみたいと もしかしたら父親や兄に会えるかも知れない 淡い期待を抱き 私が教えた住所を頼りに…
後に智子から電話があった
(お母さん…マンションなかった 祖父が営むお店もなかった)(泣)
分かってはいたが 何とも言えない気持ちが込み上げて また泣いた。




