真実8
「出来れば傷つけないでやってほしいのだが……」
「流石に2体同時は厳しいですよ!」
「なら、仕方ないのである。思う存分やってくれ」
「よし、いくぞ! リリィ! リリィは片方の足止めを優先してくれ!」
「うん! 分かった!」
リリィが頷くのを確認して、ガーディアンに突っ込む。
2体のガーディアンが動き始めた。
1体は剣と盾のガーディアン。
もう1体は長槍のガーディアンだ。
魔闘気を纏って戦闘態勢に入る。
7間の距離で停止し、居合の構えで相手を待つ。
だが、その体勢を崩すかのように槍のガーディアンの突きが来る。
「っく!」
それを紙一重で躱す。
体勢が崩れた所に剣と盾持ちのガーディアンが突っ込んでくる。
まだ、体勢が崩れたままだ。このままじゃ紫電の太刀が打てない!
そこに氷塊が飛んできた。
剣と盾持ちのガーディアンはそれを防ぐために足を止める。
氷塊が盾にぶつかる。それは何発も放たれる。
有難い! リリィの援護か!
崩れた体勢を持ち直して、居合の構えで抜刀。
相手の首を狙ったその一撃にガーディアンは剣で防御を選択したようだ。
だが、それで止まる技ではない。浸で強化された剣は打ち合う剣を両断しながら相手の首を掠めた。
「クソ! 剣で防御されたから首に届かなかったか!」
そこに長槍の突きが飛んでくる。思わず、バックステップしてそれを避ける。
剣と盾持ちのガーディアンは両断された剣を捨て、盾で長槍のガーディアンを守りながら少しずつ全身してくる。
リリィも氷塊を飛ばし続けているが、長槍のガーディアンに届く前に盾持ちのガーディアンに阻まれる。
連携して来るなんて聴いてないぞ! 厄介な相手すぎる!
前進して、盾持ちのガーディアンの盾を上段の構えで右袈裟に両断しようとしたが、何も持ってない右腕でガードされてしまう。
盾に斬り込みが入るが完全に両断してはいない。
「右腕を捨ててくるとはなぁ! 全く厄介すぎるぞ!」
そこで閃いた。
一旦リリィの下まで下がってリリィに耳打ちする。
「出来そうか? リリィ」
「任せて! やってみせる!」
リリィはやる気だ。よし、この作戦で行くぞ!
再び前進。6間の距離で上段の構えを取る。
盾持ちと長槍のガーディアンが一緒に進んでくる。
そして、長槍のガーディアンの突きが飛んできた。
「今だ!」
その瞬間、ガーディアン二人の間に岩の壁が隆起して長槍の突きを封鎖する。
「これで、一対一だな! 堪忍しろよ!」
右袈裟に相手の左肩の関節を狙う。
盾で防がれるがその盾も両断された。もう使い物にはならないだろ!
「ハッ!」
逆袈裟に紫電一閃。
紫電の太刀を放ち、相手の首を吹き飛ばした。
カランと音を立てて首が落ちると同時に岩の壁が消える。
「もう、お守りはいないぞ」
長槍のガーディアンから突きが飛んでくるが、冷静に状態を反らして躱す。
そして、上段の構えで引き戻される槍を斬る。
槍頭を斬り飛ばした。これで、ただの長い棒だ。
棒による薙ぎ払いがくるが、それをまた斬り飛ばした。
もう、半分ほどの長さにまでなっている。
ここまで来たら剣と変わらないリーチだ。優位はない。
瞬動を使って上段の構えで右袈裟にて左腕を斬り飛ばした。
連を使わない瞬動なら足を痛める心配もない。
振り返って居合の構えで紫電の太刀を放つ。
振り返ろうとしたガーディアンの首を刎ね飛ばして終わりだ。
コンクリートの壁に鉄の音が響く。
「ふぅ。手強かったな……」
なんとか勝てた。2体になるとここまで厄介になるとはな。
3体になったらもっと厄介になるだろう。
リリィ達の下に戻る。
「ありがとうリリィ作戦通り上手くいったね」
「任せて!」
ハイタッチをして頭を撫でた。リリィは気持ちよさそうにしている。
段々とリリィとの連携も上手くなっていた。
この調子でやっていきたいものだ。
「ああ、大事なガーディアンが……」
アルフさんが嘆いているが流石にそこまで考慮できない。
命があるだけ感謝して欲しいものだ。
そして、当然のようにアルフさんはガーディアンを調べ始めた。
なので、ここで一旦休憩だ。
リリィと干し肉を口の中で咀嚼しながら待つ。
余った手はリリィの頭を撫で続ける。
すると、リリィは猫のようにすりすりと顔を擦りつけてくるのだ。
可愛い。それに、女の子特有の良い匂いもしてくる。
アルフさんが調べる事1時間。馬に餌をやってのんびりとしている。
「ふぅ……堪能したのだ」
「満足しましたか?」
「ああ、そうであるな……っと腹が減ったのだ」
「とりあえず、干し肉でも齧っててください」
切り分けた干し肉を渡す。アルフさんはそれを口に入れて咀嚼し始めた。
そうして、20分程経った所で探索を再開することになった。
探索を開始して2時間というところで、行き止まりに行き着いた。
「行き止まりみたいですね。アルフさん」
「ああ、だがあの壁の模様を見て欲しいのだ」
行き止まりの壁には球体に両翼が付いた模様が描かれている。
「これはアラン殿の背中にあった模様とそっくりそのままだ」
「本当ですか?」
自分の背中は見れないから確認できないんだよなぁ。
というかこんな模様で公衆浴場とかに行ってたんだろうか。
現代社会だったら入れ墨入れてて入浴禁止になってるよな。
「本当だ。恐らくだが……アラン殿。その模様に触れて欲しいのだ」
「わかりました」
その模様の球体に掌を合わせる。
何か起きそうで怖いんだけど、それは依頼主の意向なので逆らえません。世知辛いね。
掌を合わせると白く発光し始める。その輝きは前の扉よりも強く発光していた。
そうして、発光が納まる。
と、同時に地鳴りが響いて下り坂が現れる。
ついに4階層ってことか。長かったな。
「ん? 何か文字が書いてあるな」
さっきまでは書いてなかった文字だ。掌を合わせたら出てくる仕掛けなのか?
だけど、この文字は解読できない。なにか、英語のような文法だ。
「これは……吾輩にもなんて書いてあるのかわからないのだ。古文書でも見たことが無いぞ」
アルフさんでもわからないのか。それだとすると、誰にもわからないのか?
いや、見てみろ。Braveって書いてある。多分、英語だこれ。
書いてある文法はこうだ。Brave man behold the truthだ。
「ブレイブマン ビホールド ザ トゥルース……」
「なに!? 読めるのかアラン殿!」
「ええ、一応……」
ブレイブは勇敢なとかでマンは男だけど多分これは人と言っているのかな。恐らくだけど勇者と言いたいのだろう。
ビホールドは見よだっけ。ザ トゥルースだから真実って事か。
だから。
「勇者よ真実を見よって書いてありますね」




