真実6
そして、半月が経った。
遂に遺跡の場所に辿り着いた。
ここまでの間に魔物と6回遭遇した。
魔狼、ゴブリン、ジャイアントスパイダー、ジャイアントスネークにオーク等だ。
それぞれは3,4体の群れだったので楽に対応出来た。
リリィがいなければもっと困難だっただろうが、流石魔法だ。便利過ぎる。
アルフさんも冒険者の食事の豪快さに慣れたのかジャイアントスネークの肉を食べる事に抵抗はないようだった。
寧ろ、オーク肉が食べられる時は喜んでいる有様だ。
人ってのは変わるんだなぁ……って思いました。
とりあえず、遺跡だ。
見た目は森の中にある墓標にしか見えない。
だが、アルフさんがその墓標の裏に周り、何かを押すと地面が唸って墓標の前に坂道が出来る。
「アルフさん。遺跡の中の敵はどのような敵が現れるんですか?」
重要な事だ。聴いておかなければ対処できない。
「ふむ。表層はゾンビやスケルトン等のアンデッドだな」
「アンデッドですか……」
戦ったことはない。だけど、そこまで強い相手ではないはずだ。
精々、EかDランク程度だろう。
「分かりました。行きましょう」
「うむ。楽しみだな!」
アルフさんはこれから中に入れる事に凄く喜んでいる模様。
流石は考古学者だな。知識欲には勝てないのだろう。
坂道を下り、中に入っていく。
遺跡の中は思ったより広い。高さは3mはあるだろう。横幅も6mはある。
これなら片手半剣を振り回しても邪魔にはならなそうだな。
アレンから貰った片手剣で戦う事になると思っていたけど、師匠から貰った片手半剣の方が使い慣れているから有難い。
早速、20分経った所で、アンデッドに相対した。
敵の数は4体。
スケルトンが2体にゾンビが2体だ。
距離は50m程。スケルトンは小走りだが、ゾンビは歩きそのものがすり足で遅い。
「リリィ。精霊魔法で狙い撃ちしてくれ」
「分かった。精霊さん」
リリィの周りに土色の球体が4個浮かぶ。
直線ならこのまま魔法で狙った方が早い。
土の精霊が岩の塊を雨あられのように飛ばす。
2体のスケルトンはその衝撃に骨が壊されて倒れる。
ゾンビはぐしゃりと体内をぶちまけて潰れた。
これはグロいな。
戦闘はそれで終了だ。完全勝利だな。
魔石だけ回収してそそくさと先に進む。
「リリィ。さっきはありがとう」
「ううん。任せて」
ピースサインでこっちに答える。
リリィは凄いな本当に……。
それに比べて私は遠距離攻撃手段が投擲のダガーしかないからなぁ。
最近、遠距離はリリィに任せてるから出番がないのだ。
楽だから良いか。いや、少女に戦闘を任せて良いのだろうか。大人としてさ。
それからも敵に遭遇する。8回の戦闘が行われるが、その全てがリリィの精霊魔法によって終わってしまう。まさに出番がない。
いや、でも良いか。体力を温存しているってことだしな。
そして、3日掛かって3階の行き止まりまで着いた。
「ここが、他の冒険者がここまで探索したっていう場所ですか」
「そのようだな」
辺りを見渡すと、鉄製の大きな扉があるだけだ。その鉄製の扉には何かしらの幾何学的模様が描かれている。
アルフさんはそれを血眼になって見ている。
その間、私とリリィはぼーっと突っ立っているだけだ。
「なにか分かりましたか?」
「ふぅむ。古代魔法文明時代よりも前の時代の文字のようだな。それ以外は分からないし、開ける事も出来ないようだ」
なるほど。とりあえず、私もその扉の幾何学模様に触れる。
すると、体から光が溢れ扉もその光に包まれる。
そうして、何分か経って光が収束して消えていった。
「いったいなんなのだ今のは!?」
アルフさんは今の現象に興味津々のようだ。
何と言っても、ただ、扉に触れただけなんだけどな。
「お、扉が開くみたいですよ?」
「なんと! それにしても今の光はいったい……アラン殿。尋ねるが、なにか隠していることはあるか?」
いや、隠している事はないけどな。
あ、そう言えば聖戦士ってことは伝えてなかったな。
それが、今の現象と原因があるのかもしれない。
「確か、聖戦士と言われたことがありますね」
「聖戦士だと!? なにかそれを証明するものはあるか!?」
「ここにありますよ」
背中を捲って、模様を見せる。すると、ふんふんと鼻息荒くその模様を触ったりしてくる。
おじさんが鼻息荒く触ってくるとか罰ゲームじゃないんだから止めて欲しいんだけど。
「確かに、聖戦士の模様のようだ。なんと驚きだな。アラン殿は本当の英雄だったようだ」
「それ、図書館で調べたんですけど、聖戦士の事に書かれてる本は見つからなかったんですよね」
「それはしょうがないのだ。城の中の古文書に書かれているだけだからな。一般人では見る事も出来ない」
そうだったのか。通りで見つからないわけだ。
でも、聖戦士ってそもそもなんなんだ?
「聖戦士っていったい何なんです? 正直、私がそれだって思えるような力とかもありませんし、実感なんてなにもないですよ」
「そうだな。聖戦士とは星の滅亡の危機に現れる存在らしいのだが、それ以外についてはわかっていないのだ」
星の滅亡の危機ねぇ。そんな気配は一向に感じないけどな。魔王とやらも封印されたんだろうに。何の問題があるんですかね。
「そうですか。まぁ、普通の一般人と変わらないですよ。そんな特別な力なんてないです」
「確かにそうなのだが……先ほどの光といい、なにか遺跡との関連性があるのかもしれないのだ」
「とりあえず、中に入りませんか? せっかく開いたんですし」
「そうだな。その模様については後で調べるとして、今は中に入るのだ」
背中の模様については調べるのか……。
まぁ、良いか。どうせ何も分からないだろうし。
鉄製の扉を開けて中に入る。
「これは? ……コンクリートか?」
灰色の壁だ。
中は壁や床、天井全てがコンクリートで出来ていた。
明らかに表層の石で出来た道とは違う。
人工的な作りだ。ファンタジー世界には似合わない現代的な作りになっている。
一本道を通っていく。
すると、扉の前に剣と盾を持った甲冑が立っていた。
「もしかして、あれがガーディアンゴーレムという奴ですか?」
「そうであろうな。調べたいからなるべく無傷で倒せないか?」
「そんなの無理ですよ。武装してるんですよ?」
「仕方ない。なら、動けない程度に壊して欲しいのだ」
「分かりました。では、行きます」
「リリィも行く!」
甲冑も動き出す。
動きは鈍重だが、甲冑だ。その突撃で潰されたりしたらそれで終わりだ。
そして、隙間が関節にしかない。
そこを狙うしかないだろう。




