安息15
だから、討伐報酬も別にそこまで貰いたくない。
っていうか、絶対ごねてくるいるだろうし、喧嘩になるよりマシでしょうよ。
「良いんだよ。とりあえず、一足先に帰らせてもらうよ」
「はい、皆には俺が伝えておきます」
「助かるよ。ありがとう」
「じゃあね、ジークお兄ちゃん」
「はい、リリィちゃんもまた首都で」
リリィを馬に乗せて、死闘があった場所を去る。
はぁ、とりあえずは依頼達成だ。何とかなってよかったなぁ。
依頼金を貰ったらまたゆっくりしよう。
調べたい事もまだあるしね。
「それにしても、リリィの精霊魔法は凄かったね」
「ふん。頑張った」
握りこぶしを作ってアピールしてくる。可愛い。
でも、確かに凄かった。
リリィの魔法だけでも10か20は倒したのではないだろうか。
正直、ここまで戦えるとは思わなかった。
やっぱり、魔法ってすげーって思ったね。
まぁ、私には使えないんですがね。
「他にもこんなこととかもできるよ」
そう言って、リリィは精霊に念じる。
すると、水の精霊が私の胴体を氷の塊で覆う。
「おぉ……これは即席の鎧みたいなものか」
「うん。そうだよ」
「便利だなぁー精霊魔法って……」
ただ、氷の鎧なだけあって、かなりひんやりする。
土とかのが良いな。夏場はかなり重宝しそうだけど。
そうして、野宿をしつつも村に到着した。
村にはまだ人が多少残っていた。
宿屋も未だに残っていた。危険だろうに。
一応、村長に討伐したことを報告したほうが良いか。
とりあえず、村長の家に向かう。
「あのーすみません。依頼を受けた冒険者ですけど」
ドアをノックする。
だが、シンとして誰も出てこない。いつまで待っても出てこないので、扉を開けようとするが鍵が掛かっていて入れなかった。
まぁ、今日はなにかあっていないだけだろう。うん、そうだろうさ。
まさか、村を置いて村長が逃げるなんてことはないだろうよ。
ここに多少なりとも人が残っているんだしね。
宿屋に戻って村長について聴いてみた。
そしたら、村長は一目散に首都に逃げたそうだ。
あの野郎……村長としての誇りはないのか。
私がそれを言っても仕方ないか。
とりあえず、オークの大群の討伐に成功した事を宿屋の店主に伝えた。
そうすると、かなり喜んで宿泊代をタダにしてくれた。
ありがたい事だ。
因みに、何で逃げないんですか? と問いてみたら、冒険者が戦っているのに自分たちの村を放って逃げるわけにはいかないとの事。
もう、この人が村長になったほうが良いんじゃないかな。
「ふぅー……」
食事後、お湯で体を拭いてからベッドに横になった。
リリィも隣で横になっている。
「流石に疲れたなー」
「うん。疲れた」
そうだよなぁ。リリィにとっての初の実戦がオークの大群だからな。
緊張して疲れてもいるだろう。
だのに、良く頑張ってくれたな。
もう、あれを経験したら大半の魔物には恐れなくなるんじゃないか?
だって、オーク120体だぞ?
それと他の魔物を比べたら恐怖感が薄れるよ。
「とりあえず、今日はもう寝よう」
「うん。リリィも寝る」
二人して直ぐに横になって眠ってしまった。
宿屋で早朝に朝食を食べてから、荷物の点検を行って村を出ることにする。
村の人からお礼を言われたのだが、軽く手を振って去って行く事にする。
これで引き留められてもう一泊とかも面倒くさいからね。
馬の上にリリィを乗せて、のんびりと街道を行く。
6日目には首都に到着した。
のんびりとした旅だったので思いの外時間が掛かってしまった。
とりあえず、馬をレンタルしていたので返して、冒険者ギルドに向かう。
冒険者ギルドの扉を開けると、中はがらんどうとしている。
そりゃ、大勢の冒険者が討伐に行ったんだからいないのも仕方ないか。
お、一番人気の受付嬢も誰も並んでない。
これを機にお近づきになろうかなーなんて思ったら、ノインさんが肘を付きながら手招きしている。
はい、わかりましたよ。
「こんにちはノインさん」
「こんにちはノインお姉ちゃん」
「おう。無事に帰ってこれたみたいだな。アランにリリィ」
「とりあえず、オークの大群は討伐出来ましたよ」
「それについてちょっと詳しく聴きたいからあっちの席で話そうぜ」
ノインさんは受付からでて、休憩所に向かう。
その背に着いて行く。
「んで、規模はどのくらいだったんだ?」
「規模はオーク120体ですね」
「お、オーク120か! それは凄い数だったなぁ」
「ええ、しかも途中で10人程、冒険者が逃げ出しましてね。30人で120体と戦う羽目になりましたよ」
「それ、笑って言うことじゃないぞ……」
「はははっ! まぁ、良いじゃないですか。あ、それと親玉の魔石です」
ゴルフボールくらいの魔石を机に乗せる。
「うわ、でかいなぁ。やっぱり、変異種がいたわけだな?」
「そうですね。オークキングがいましたよ」
「マジか……で、聴きたくないけど倒したのは誰なんだ?」
「お兄ちゃんだよ」
「はい、私です」
そう言うと、ノインさんは頭を抱えて項垂れている。
そんなにマズかったか? 別に幼龍程、危険じゃなかったけどな。
「うーん……とりあえず、換金はするけどさ。今回の件はなかったことにしてくれないか?」
ノインさんがおかしなことを言ってくる。それって、オークキングの討伐は私がやってないってことにしてくれってことなのかな?
「と、言いますと?」
「はっきり言って、Cランクに上がったばっかの新人がBランクになるのは体裁的に悪い」
うわ、ぶっちゃけたな。
まぁ、確かに幼龍を倒して間もないのに、直ぐにBランクになるわけにもいかないか。
それは仕方ないな。余り目立ちたいわけでもないし良いだろう。
「分かりました。余り目立ちたくないので問題ないです」
「ありがとう。とりあえず、この件はギルド長に報告させてもらうよ。あと、依頼の達成と魔石の換金は明日また来た時にお願いするよ」
「そうですか。分かりました」
「また、アランのせいで会議が始まるんだなぁ。トホホ……」
「はははっ! すみませんね」
「笑い事じゃないっての!」
頭を叩かれた。
仕方ないじゃないか。オークキングを討伐出来ちゃったんだしさ。
むしろ感謝して欲しいくらいだよ。
「はぁ……まぁ、お疲れ様」
「はい、ありがとうございます。明日、また来ますんで今日はこれで」
「おう、じゃあな」
「バイバイ、ノインお姉ちゃん」




