安息11
街にて保存食にポーションを買う。
案の定、他の冒険者達が買い漁っていたようで、在庫が少なかった。
だが、一応、二人分の保存食を買うことが出来た。
ポーションも下級を4本買う。
2本はリリィ用だ。
そういえばポーションを買うホルスターも買わないとな。
そんなこんなで、街の中を散策していたら昼頃になってしまった。
もう、冒険者達は行ってしまったのだろうか?
だとするならば私たちも早めに合流したほうが良いだろう。
馬をまたレンタルすることにした。
荷物を乗せるのに加えて、リリィの小さな足では道中を徒歩で歩くのは難しいと思ったからだ。
武器の点検を行ってから腰のポーションも確認してさぁ出発だ。
リリィを馬の上に乗せて西門を出る。
リリィは高い視線に興奮して喜んでいるみたいだ。
暢気なものだな。
まぁ、村までは4日ある。
それまでは道中は安全だろう。
今思えば、リリィを護衛していた時に魔物に全然襲われなかったのも幼龍が睨みを効かせていたからかもしれないな。
カラエドの東の森だったら大量に魔物がいたしな。
その可能性は高い。
それを倒してしまった私は何と言えば良いのやら……。
まぁ、良いさ。とりあえず、魔物の暴走を納めれば、それで万事解決だ。
二次災害? そんなもの知らないね!
夕方になった。今日一日は魔物に襲われずに安全な旅だった。
寝床の準備をすると同時にリリィの精霊魔法を確認しておくか。
「リリィ。精霊魔法を使ってみてくれないかな」
「うん。わかった」
コクリと頷いて両手を合わせる。
「精霊さんお願い」
リリィの言葉が終わると同時になにかの反応を感じた。
そう言えば、精霊は魔力が意志を持った存在なんだっけか。
観でないと見れないんだったな。
目に魔力を流す。
すると、リリィを中心に7つの色の球体が浮いている。
これが精霊か。大きさは野球ボールほどの大きさだ。
色は属性を表しているんだろう。
「じゃあ、リリィあの木に攻撃してみて」
「良いよ。精霊さんやっちゃって!」
青い球体の精霊から大きな魔力反応が見える。
それは野球ボールくらいの氷塊となって高速で木に衝突する。
氷塊が木に半ばまで刺さっていた。
「う、うそん……」
変な声が出てしまったが仕方ないだろうこれは。
まさかこれ程の威力があるとは思わないよ。
これなら魔物も一撃で倒せるんじゃないか?
他にも土や木に金の属性の攻撃も見せてもらった。
土は尖った岩石を射出し、木に刺さり、木は矢となり木に刺さる。
金は青銅の塊を弾丸として木にぶつける。
攻撃力はかなりのものだ。
流石に火は森が燃えるとヤバいので実験するのは止めた。
「因みに、光と闇はどんなことができるの?」
「んー光は回復魔法が出来たり、明かりを付けたりとかかな」
へー……かなり便利だなー。精霊魔法ってかなり凄いんじゃないか?
「じゃあ、とりあえず火を点けて貰って良いかな」
「うん」
薪に精霊の火が燃え移る。
これ、火打石いらずだな。
早めに知っておけばよかった。
ランタンもいらないし、火打石もいらなかったな。
リリィってかなり有能な人材じゃないか!
簡単な食事を取ってから、寝床の周りに鳴子を設置していく。
夜中に魔物に襲われる危険性もなくはないからね。
危険は避けなければいけない。
リリィもいる事だし。
「お兄ちゃん。なにやってるの?」
私が鳴子を作っている所にリリィがやってくる。
「これは鳴子って言って、魔物とか敵がやってきたときに気付くためのものだよ」
「へーそうなんだ」
リリィは納得していたようだ。鳴子を揺らして音を出している。
「お兄ちゃん。精霊さんが見張りをしてくれるよ?」
「え!? そうなの?」
「うん。なんか光の精霊さんが夜中の間、見ててくれるって言ってるよ」
マジか。精霊さん凄いな。っていうか喋れるのか精霊って。
「じゃあ、お願いするよ」
「分かった。じゃあ、精霊さんお願いね」
白く光る精霊は空高く上がっていった。
上空から見張りをしてくれるのか。
いやぁ、精霊って凄いなほんと。
野宿なのだが、精霊に見張りを任せていることもあって、気を張らずにその日は眠れた。
そうして、4日目に村に到着した。
宿屋に入ると、冒険者達がかなり泊っているようだ。
だが、一部屋は開いていたようなので一泊させてもらう。
馬も馬小屋に入れたので安心だ。
それにしても、村の中には逃げていない人も結構数いた。
宿屋の人は冒険者の相手があるから逃げないのだろうか。
とりあえず、冒険者達と合流する事が出来た。
このまま着いて行こう。
離れてしまったら危険だからね。
夜、窓の外を見ると、テントが張られているのも多く見受けられた。
宿が借りれなかった冒険者が大勢いるようだ。
一部屋借りれて良かったね。
次の日、込み入ってる宿の食堂で朝食を食べてから荷物の点検をする。
冒険者達は馬車で来たり、徒歩だったりと様々だ。
その列に後ろからついていく。
「一応、精霊魔法は人前で使わないようにね。緊急事態の時は使って構わないから」
「分かった。気を付ける」
リリィに一言言ったのでこれで安心だ。
ここでハイエルフだとバレたら今度は冒険者が敵になる恐れもあるからな。
人攫いに襲われないためにも極力目立たないようにしなければ。
そうして、村から2日ほど行った所で開けた場所に出る。
冒険者達はそこでテントを張ったり、馬車を止めたりしている。
「おーーーーーーーーーーい! 冒険者達! 集まってくれ!」
その時、大きな声が響き渡る。
その声の主はジークだ。
ぞろぞろと40人がジーク達に集まる。
「とりあえず、ここを拠点にしてまずは斥候を出そう。オーク達が今どの辺にいるのか、正確な数が分かれば戦いもやり易くなる」
「斥候は何人出すんだ」
髭面のマッチョな男の人が問いかける。
「大体4,5人かな。うちのパーティーから一人出すから、後、3,4人は一緒に行って欲しい」
すると、3人程が前に出る。
女性の冒険者1人に男の冒険者が2人だ。
3人ともかなり身軽な軽装な格好をしている。
見るからに斥候と言った所か。
「じゃあ、今から森に入って調べて欲しい。戦闘はなるべくしないで逃げてくるようにしてくれ」
4人は頷くと北の森に入っていった。
「残りの皆はここに柵を作ろう。簡単な物でもかなり役に立つはずだ」
その声に20人程が反応して木を伐採し始めた。
他の冒険者は何もせずに見ているだけだ。
これはあれだな。参加料だけが目当ての戦力に換算できない相手ってことだろうな。
それにしても、ジーク達は20人規模のパーティーを組んでただけあって、指揮に慣れているようだ。
色々な所で活躍している。
さて、私達も木でも伐採して皆に協力するか。




