羨望15
盗賊の位置は前方に武装した男が2人
中心に食料を抱えた男が3人
エリシャさんを縛った縄を持っている男が1人
最後尾に武装した男が2人
という構成だ。
つまり、実質的に武装した4人を倒せばあとは武器を持たない盗賊。
脅威にはなりえない。
よし、まずは後方の敵2人を排除する。
片手を上げて後ろのジャックに合図を送る。
そして、私も魔闘気で強化したナイフを2本投擲。
風切り音が鳴り響く。
ジャックの放った矢は後方の盗賊の頭に刺さり、そのまま倒れる。
私の投擲したナイフも頭部と心臓に刺さり、倒れる。
そして、盗賊に向かって駆ける。
「お、おいどうした!?
「いったいなにがって、死んでる!」
「敵だ!」
「どこにいやがる! 出てこい!」
そんな事言っても出て行ってやるよ!
30mの距離を魔力で強化した足で走り、前方の武装した2人に向かう。
相手も臨戦態勢を取るが、こちらの方が一手早い!
瞬動を使って上段に構え、納刀状態で右袈裟に振り下ろす。
骨の砕ける音を聴きながらすぐさま近くの敵に居合の構えを取って、抜刀。
紫電の太刀で逆袈裟に右肩を砕く。
「ぎゃあああ!」
「ぐああああ!」
二人はその場で負傷した箇所を片腕で押さえながら地面に崩れ落ちる。
これで、武装した相手はもういないな。
「おい、そこ4人! 動くな。動くと後ろの男達と同じように射殺すからな」
「ひぃぃっ!」
「て、抵抗なんてしない! 助けてくれ」
「そうだ。お頭に言われただけなんだ! 無理やりやらされてただけなんだ」
「お願いだ! 殺さないでくれぇ!」
情けない声を上げる盗賊たち。こんな奴らが相手だと思うと情けなくなるね。
「とりあえず、食料とその女性を解放しろ」
盗賊たちは「わかった!」と言って、食料をその場に置いて、エリシャさんを解放する。
私は、背嚢からロープを出して4人を纏めて縛り付けた。
と、ジャックが後ろから現れた。
「エリシャ! 無事だったかい!」
エリシャさんは泣きながらジャックに抱き着く。
「ああ、ジャック! 私、あなたが助けに来てくれるって信じてた!」
「当然さ。でも、怪我がなくて本当に良かった」
「うん。ありがとう」
感動の再開の途中だが、今度は負傷した2人の一人に向かって、私はダガーで右腕を斬り付ける。
「ぐああああ!」
「おい、良いか。こっちの質問に答えろ。答えないなら殺す。答えるならポーションを飲ませてやるよ」
「わ、わかった」
盗賊は青ざめた状態で必死に頭を縦に振る。隣の盗賊も顔を青ざめている。
「まず、残りの盗賊の人数とアジトの場所を言え」
「あ、あと7人がアジトにいる! アジトはここから一刻程の距離の場所だ!」
思った通り、ゴブリンの巣穴を見つけようとしていた時に最初に当たりをつけていた場所だ。
「よし、ポーションだ。飲め。あと、お前たちも縛らせてもらうぞ」
斬り付けた相手の口にポーションを突っ込んでロープで2人を縛り付ける。
ふぅ……これで、まずは第一段階終了かな。
ジャックとエリシャさんはって、まだ、抱き合ってるよ。
「あのー感動の再開の所、悪いんだけど。ジャックとエリシャさんは村に戻って盗賊たちを持って行って欲しいんだけど」
「ご、ごめんなさい」
「ご、ごめん。わかったよ。盗賊を村に運べばいいんだね」
「あと、援軍とか食料を運ぶ人も連れて来てくれると嬉しいかな」
「わかった。でも、それじゃあアランはどうするの?」
「私? 私はこれからアジトを潰しに行くんだよ」
「一人で平気なのかい?」
「大丈夫。だめそうなら逃げるから」
「じゃあ、任せたよ」
「うん。気を付けてね」
私は二人を置いて、走りながらここから一刻程の崖の洞窟に向かった。
直ぐに盗賊のアジトを発見する。
森の茂みに隠れながら匍匐前進で、洞窟の見張り1人の前50mまで気づかれずに近づけた。
これで、投擲は外さないだろう。
見張りの一人は暢気に欠伸をしている。
ホルスターからダガーを2本取り出して、片膝立ちになって投げる。
投擲したダガーは狙った通りに頭部と首に刺さり、そのまま見張りは背中から崩れ落ちる。
ダガーを回収した後に。洞窟の中を見る。近くには魔力の流れが見えない。つまり、敵はいないってことだ。
この洞窟はアルファベットのY時の道になっていたはず。
長さは100m程。
親玉と手下の数は後6人。
二股の道のどちらかに大勢でいるか。それとも、分かれているか。
さて、洞窟探索と行きますか。
なるべく音を立てないように暗い洞窟を行く。
50m程で、二股の道に着いた。両方の道の先には明かりが付いている。
魔力で聴覚を強化する。
すると左の道から声と2人の歩く音が聴こえてくる。
「うートイレトイレ」
「俺も漏れそうだぜ」
下品な奴だな。でも、近づいてくるならやりやすい。
左の道に入って壁に身を隠す。
ジャックの技のように魔力を薄くして、壁と一体化するように心を無にする。
外套も服装も暗いのが役に立ったのか気づかずにそのまま見つからずに2人は入り口に向かっていく。
チャンス!
納刀した剣で1人の頭部を殴り、振り返ったもう一人の顎に拳を叩きこむ。
二人はその場に倒れて気絶したようだ。
さて、奥に行くか。
左奥の明かりが付いている部屋には盗賊が飯を作っていた。
「だ、だれだおめぇ!」
「冒険者だよ!」
納刀した剣で顎を砕いた。敵はそのまま倒れ伏した。
さて、二股の一つは攻略したな。4人倒したから残りは3人か。
二股の道に戻り、右の道に行く。
部屋に辿り着く。
ちらりと目を凝らしてみると、堂々とした大柄な男は一番奥の席で机に足を乗っけている。
あれが、お頭で間違いないかな。
他に2人いるがそれは部屋の手前側で座っている。
一気に中に入って納刀した剣で一人の右足を狙う。
腕に骨を砕く感触と音を感じる。
「ぎゃああああ!」
「お、おい! 大丈夫か!」
「て、てめぇなにもんだ!」
「冒険者だよ!」
もう一人の下っ端の足の骨も砕いておく。
「ぐああああ!」
そして、洞窟を逆走。入り口に向かって走る。
この狭い洞窟内で紫電流で剣を自由自在に振り回して戦うのは難しい。
敵は一人だ。あとは、外で戦う。
狙い通りお頭らしき男も後を追って来る。
外に出て、場所を確保。
片手半剣を抜いて上段に構える。
お頭らしき男も入り口から出てきて、剣を上段に構えた。
これは同門対決ってやつか。




