藍川美樹ー中学入学とCDデビュー⁉
二人目の攻略者の話です。
今回は学校説明が主になっています。
……まさか、中学上がる前に印税生活が出来るようになるとは思わなかった……。
あのクリスマスパーティの時、音楽関係の人がいて、あれよあれよとばかりに気づいたらCDデビューをしてました。
……彰……一般受けする曲とかも、しっかりと創れたんだね……。……これが本当の天才ってやつか……。
はあ、まあそちらを気にすることはもう止めよう。どうしようもないからね……。
その後、私と彰は中高一貫のとある学園に入学することになった。うん、ゲームの舞台だね。もっとも、ゲーム開始は高校2年になってからだから、まだまだ先だけど。
彰とか、本来は小学校と同じく公立に行きたかったみたいなんだけど、こっちの学園の方が私にとって、つまり障害者対策がしっかりされてて、通うのに良いからと双方の両親に説得されて入学しました。
……ちなみに入試は一定の家格以上の場合はナシ、また障害者保護の観点から私も彰もナシ、だった。べつに入試をきちんと受けても、合格は確実だったって赤月のおじさんもいってたけどね。
……私も彰もすでに中学分の内容は頭に入っているから。
そうして迎えた入学式。制服が高名なデザイナーさんがデザインしたとかで結構かわいい。
「お、美樹似合ってるぞ」
『彰もね』
学園は家から車で30分。彰の所の自家用車にご一緒させていただきます。私たちの制服姿はしっかりと写真を録って、姉さんの元に送りました。
ふーん。なるほど。
現在式の真っ最中ですが、取り敢えず攻略対象の確認をと見回してみた。
ボーカルは高校からのはず。
キーボードが彰。
ギターは後輩っと言うわけでまだいない。
ベースがいっこ上の先輩、こちらは入学式には当然いない。
ドラムが同級で……うん、彼だね。藤白冬弥。
さて、ゲームはぜんぜん違っているけど、彼は私たちにどういう風に関わってくるんだろう……。
さて、クラス分けですが、私と彰は一緒になりました。というのも、私は障害者で彰は家格が高い。ついでに、私の通訳という面もあったため。
そして、私には専用のタブレットも渡されている。これに文字を書き込んで、スイッチオンすると、なんと音声が流れるのだ! というわけで、これが授業中などの私の声代わりになる。
ちなみにこの学園、集まるのは金持ちだけではない。評判をあげるためもあって、一般の生徒も入学している。……彼らを一般の、と言っていいやら、というのはあるけど。
ひとつは芸術科。音楽、美術を重点的に学ぶ、もしくはその才能があって、特待生として入ってくる生徒が所属する。私と彰もこちらでもいい気はするけどね。
もうひとつは特進科。こっちは勉強やスポーツで優秀な生徒が入る。これまた特待生制度あり。
ただ、障害者がこちらに入ることはない。これは生徒の性質から決められたことのよう。
どうやら、こちらのクラスの生徒たちは、お互いに切磋琢磨することが多く、障害者などが混じると、喧嘩やいじめが増えたりするそうで。
一般クラス(別名金持ちクラス)のほうは、金持ち喧嘩せずじゃないけど、どちらかというとおっとりした生徒の方が多いようで。あと、余裕があるのか障害を持つ生徒を助けることが大事という考えをもつ生徒が多い。まあ、施しは与えないとってことかな……。
という事情から、私たちは一般クラスでのんびりと生活をすることになった。
実際、一学期は何事もなく、平和に過ごしていた。あ、もちろんピアノは毎日練習してるし、ふたりで高校ぶんの勉強も進めてるし(テキストの提供は姉さんから)、夏休みには姉さんも一緒に遊んだり、新しいCDを出したりしていた(売れ行きは上々です。どうやら、作者不明のところが口コミで人気のもとになってるそうです)。
これが動き出したのは二学期の文化祭。まさかあんなことになるとはね……。
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『それじゃ、他のキャラはどんな子なの?』
『そうだなー。確かドラムのヤツは親と喧嘩ばかりしてる不良って設定だった気が……』
『なにそれ?』
『ああ、舞台の学園はいわゆるお金持ち学校ってやつでな。音楽の特待生で入学してるんだよ。だけど親は音楽で食っていけるか、真面目に働けって言うだろ。それに反発した息子は、おれに構うなって喧嘩になるわけだ。バンドでしっかりと稼いでいても、受け入れない親ってやつだな』
『あー、まあわかないでもないかな。家は親の理解が思いっきりあったけど』
『……どころか、思いっきり進めてたな』
『うん。おかげであなたと知り合えたしね』
『……そうだな……』
親の教育方針で、本来は中学まで一般の学校に通う予定でした。
次回、文化祭になります。