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赤月美樹ー彼女と青海夏李の変化

続きまして、弟のほうです。

 まもなく冬休みに入る頃。いいお天気だったので、私、志貴、彰、冬弥くん、夏李くん、アディの6人で、のんびりと学園のカフェでお茶をしていた。

 あ、詩と駿先輩は、ふたりでデートしてる。お邪魔虫はしません。


「こういう陽気って、キブンがいいよなー」

「どうせなら、優希さんと一緒がいい……」

『姉さんが帰ってくるのは、もうしばらくあとでしょう?』

「わかってるんだが……」

「僕は、美樹と一緒なら、どこでもいいかな」

「ウッセー。リア充はだまってろー」


 こっちでこういう会話をしている間、あちらでは……。


「カイ、オチツイテ食べるのよ。オチチャウの」

「大丈夫だってば。ボクだってこんなの溢さないって!」

「……カワイイ!」

「やめてよー、アディ! これこそ溢れちゃうって!」


 ケーキを食べている夏李くんを、アディが構ってる。なんというか、微笑ましい感じ。まるで姉弟みたいで。


「なんというか、随分と馴染んでるな」

「ナンダカンダと一緒にいるの多かったしなー」

「まあ、弟扱いが嫌ならば、頑張ってマナーを身に付けるしかないかな?」


 ……アディは向こうで、かなりしっかりとマナーを躾られていたそうです。

 逆に、夏李くんはマナーが苦手みたいで、今はアディに習っているところ。……アディの教え方も上手なので、素直に聞けるみたい。


 ほっぺたをプクッと膨らませている様子は、もともと幼いこともあって可愛らしい。


『大丈夫よ。駿先輩は大人びているから、将来は夏李くんもかっこよくなれるよ』

「うん。絶対にアディよりおっきくなるから!」

「ソウシタラ、お嫁さんにナッテアゲルヨー」

「い、いらない!」


 真っ赤になってそっぽを向いてる夏李くんはほんとに可愛らしい。こうなることが判っていて、アディはからかってるからね。

 それに気がつくまでは、弟扱いは続くかな?





 こうなるまでは、ちょっとあった。そこら辺りはアディからの又聞きが多いんだけれど……。





 アディが留学してきてから、私たちは一緒にいることが多かった。ああ、私と志貴とアディが、だね。

 彰はアディにあまり近づかないようにって、姉さんに釘を刺されていて、冬弥くんはその彰に付き合っていたから。

 そして、駿先輩が基本的に詩といることが増えてきて……。ちょっと寂しそうにしている夏李くんをよく見かけるようになった……。


 もともと、おとなしすぎてあまり友人がいなかったみたい。その代わりにしょっちゅう先輩が様子を見に来ていて、そのせいで先輩目当ての女子生徒が近づいてきて、それを先輩が追い払って、という循環が出来ちゃったようで、……男子生徒は女子生徒が怖くて近づけなかったよう。その先輩が婚約したということで、詩もいろいろあったみたいなんだけれど……詩の方は、本人の実力でなんとかなりました。……まあ、成績学年一位、家格良し、性格もよろしい、となれば普通の女子生徒は勝てませんよ。

 ……少なくとも、私は勝てると思えません。昔(前世)っから、口はひたすら達者だった……。


 それはともかく、どうもアディはひとりでポツンとしている夏李くんを見つけて、気になったみたい。ーーまるで、昔の自分をみているようだーーって。



 アディのお母さんの実家、というのが、あちらでも有名な財閥の創始者一族、らしい。本来は婚約者がいたにも関わらず、お母さんは大学でとある授業の講師をしていた(けっこう年上で、大学教授をしているそうです)お父さんに恋をして、押し掛け女房しちゃったそう。

 一応、その前に婚約者に了承を得て、実家には絶縁状を叩きつけたとか……。なんというか、見た目は深窓の令嬢、性格は女傑だったそうです。

 婚約者とその実家の方は、彼女の性格をわかっていて、婚約解消は問題はなく進んだそう。もともと、契約の補強という以上の意味はなかったためだそうだけど。

 だけど、実家の方はそれを許そうとはせず、本人ではなく、産まれた子供……アディを無理矢理奪っていったそうだ。

 ……かなり、厳しく育てられたらしい。ただ、そのアディも普通の子供じゃなく、かなり知能は高かった。

 自分に両親がいないことをきにして、こっそりと調べて、両親が誰か、いまどうしているかを確認。そして家出をしたそうな。

 ……このときアデリシア8才とか。


 地図を暗記し、両親の家の住所を覚え、丸1日かけてたどり着いたアディを、父親は驚きの目で見たそう。……ひとりで来れたこともそうだけれど、なんでも母親のミニチュアみたいだったのが理由だとか。その母親は、アディを失ってからどうやって取り戻すか計画を練っていたそうで。……相手が財閥なので、ものすごく難しいわけで。

 そこに、自分から戻ってきたものだから、両親は大喜び。すぐに、国の方に求めて、アディの親権を手に入れたそう。


 身分差があったとはいえ、もとの婚約者の家と、あと父親の教授っていうのが国家にとって重要人物だったとかで、無下にはできない、というか、いろいろと根回しはしてあったそうで。


 で、一般人(もどき、だよね)になったわけだけれど。身分がある家に産まれたために、そちらの知識や経験もある。

 なかには、身分を笠にきるバカもいるわけで、母親の実家にいるときは、けっこう苦労をしたそうだ。

 同じように、今苦労をしているらしい夏李くんをほっとけなかったそう。


「カーイ!」

「え、あ、アデリシア、さん……」


 夏李くんは少し赤くなりながら答えたそうだ。……まあ、原因は出会いにあるんだろうけれどね。


「ヒトリボッチでナニシテンノカナー」

「えっと……」


 うつむいて夏李くんは手元のノートパソコンに目をむけたそう。それは、数学の宿題だったらしく。


「ボク、宿題、知らなくって、宿題、できなくて、今やってるんです……」


 この学校では、宿題などの問題は、データでメールによって送られているのです。提出もメールで送れば良くって、無くすということは普通はないのですが。……どうやら、夏李くんの義理の兄姉が消してしまうことがあるようです。ハッキングで。って、それは犯罪でしょう。……ちなみに、これについては後日、志貴がハッキングの元を辿って、犯人を見つけて、罰を与えられております。……昔とった杵柄というやつでしょうか。


「モンダイ、ワカンナイノ?」

「えっと……」

「ジャ、オシエタゲル。ソノカワリ、こくごオシエテ!」

「えっ。ぼ、ボクでよければ」


 という風に、ふたりの勉強会は始まったそうだ。あ、ちなみにこのとき私と志貴は……デートしてました。アディは気を利かせてくれていたのです。


 それから、放課後はアディが夏李くんに勉強を見てあげることが多くなった。それと、マナーを教えるようにもなった。

 ……休憩のお茶の時のポロポロお菓子を溢しちゃってるのをみて、使命感にかられたようで。


 ……そうして、やがてお昼とかも私たちと一緒に過ごすようになっていきました。


 時々、私と志貴がいなかったり、詩と先輩がいなかったり、彰と冬弥くんがいなかったり、ということはあっても、大勢でいることが多くなったことで、夏李くんは明るくなり、おどおどした雰囲気も消え、クラスでも人気者になったようです。

 ただ、モテてはいてもアディのことがあって、他の子は遠慮しているみたい。本人たちがどう思っているのかは、私にもわからないし、そもそも、中学生で恋愛をしないとならないわけでもないし。行く末は神のみぞ知る、かな。


 なお、アディの母親の実家がどうやら動いているようです。

 青海との提携は決まっていて、そこに夏李くんとアディの婚約を入れようとしているそうで。……そんなに孫に会いたいのか……。

 まあ、青海のほうは、本人次第と積極的ではないそうです。逆に夏李くんとアディを守る方向に行くようです。


 無事にすむといいなぁ。

美樹・志貴、詩・駿はデート。

彰・冬弥は仕事です。

いつの間にやら、冬弥は彰のサポート役として動くようになっていました。


登場人物

アデリシア・ユーリル

海外のとある財閥のトップの孫。

ゲーム未登場。

仲間たちといることが楽しく、結果的に高校まではこちらで勉強をすることになりました。

日本語版勉強中のボクっ子。

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