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赤月美樹ー兄弟と留学生

美樹の姓が変わりました。

 まさか、婚約をしてしまうとは……。彰の義妹になっちゃうとは……。……考えたこともありませんでしたよ⁉

 いや、とっても嬉しいんだよ⁉ だけど、まだ私って中学生なんだよ⁉ 一般人の筈だったんだよ⁉ どうしてこうなったんだー!


 はぁ。まあ過ぎたことはいいとしましょう。


 婚約して、名字が変わって、それでも普段の生活も周りの態度も、ほとんど変わりませんでした。黒峰といえばかなり家格が高く、本人も優秀だからかなりの優良物件だったわけだけど、友人いわく、「貴女を見詰める優しい表情を見れば、邪魔をする気も起こりません」だそうです。そこでおもいっきり真っ赤になってたようで、からかわれまくりましたけれど。


 そして時は過ぎ……なかった。とりあえず今年の文化祭はのんびりとデートを楽しみました。もちろん吹奏学部の冬弥くんの演奏もしっかりと鑑賞いたしましたよ。

 ああ、その冬弥くんには、お見合いのあとすぐにはっきりと私の気持ちを伝えました。


「……ミキはホンキでソイツのことがスキ、なのか」


 質問ではなく、確認。私は彼の目を見て、はっきりと頷きました。


「……そっか。で、ミキは幸せになれるんだな?」


 うん。幸せになるつもり。だから。


『想いに答えることはできないけれど、冬弥くんも幸せになって』

「わかってる。ま、レンアイはしばらくはイラナイけどな」


 そう笑ってくれました。


「んじゃ、サッサと練習いこうぜ。タシカ、アキラのヤツ、婚約者に新しい曲作ったから来いってイッテたし」

『それは急がないとね』


 冬弥くんはいつも通りでいてくれて、その後も私たちの関係は変わることはありませんでした。


 ……本当にありがとうね、冬弥くん。


 そして寒くなってきた11月、詩にお見合いの話がきました。本人はあんまり、というか全く乗り気じゃなかったんだけれど……その相手は青海駿せいかいしゅん先輩とその弟の青海夏李せいかいかいくんで……。

 どうもお兄さんの方の先輩と仲良くなっちゃってました。


 というわけで現在、私たちが練習や収録で使っているスタジオ(赤月の家の敷地内にあります)で、先輩の演奏を、詩が楽しそうに聴いているところで。すこし離れたところで夏李くんが拗ねております。


 というわけで、突撃ー!


「わ、せ、先輩! 何をするんですか!」


 夏李くんは私のいっこ下、詩と一緒。身長も小柄……なんだけれど、私よりは大きかったりする。……志貴も背が高めだし、私ももう少しほしいなー。


「美樹。夏李君が困っているよ」

『ヤンデレになるよりはいいでしょう?』

「……うん。だけれど、僕が嫉妬してしまうから、離れようか?」


 さすがに、弟みたいでも抱きつくのはダメだそうです。


「えっと、先輩、何かボクに用ですか?」

「そう。夏李君、よければ一緒に藍川の家の方にいかないかい? 昨日、美樹がクッキーを焼いてくれているんだよ」


 志貴のために焼きました。っといっても、みんなで食べる予定だったんだけれど。


「あのふたりは、後で彰君たちが帰ってきてからでもいいでしょうから」


 彰と冬弥くんはお仕事で、私たちの担当のプロデューサーさんと会っているところ。帰ってくるのはあと2、3時間あとかな。


「……はい」


 そうして私たちは連れだって、私の家に向かった。

 あ、ちなみに、姓は変わったけれど、私の住んでいるのはこちら。赤月の敷地内にある、一軒家。近い方が色々便利だからって赤月のおじさん、もといお父様が父にねだったらしい。赤月の屋敷の方にも私の部屋はあるんだけれど、普段はこちらにいることを許されている。なんでも、ここは離れみたいなものだから、だそうな。


 で、家に入ると、留守のはずなのに気配があった。

 なんだろう? 父は仕事。母は屋敷の方(空いている時間は、屋敷の使用人さんの手伝いや、奥さまもといお母様のお相手をしている)のはず。はて?


「お帰りなさい。美樹」

『え、姉さん⁉ なんで⁉』

「美樹のお姉さんですか? 始めまして。美樹と婚約しました黒峰志貴です」

「あ、は、はじめまして! ボクはえっと青海夏李といいます。先輩にはお世話になっています!」


 落ち着いて自己紹介している志貴に、慌てている夏李くん。ほんと、なんで姉さんが?


「実はね……」

「(ありがとー。シャワー気持ち良かったよー)」


 いきなり英語での声が聞こえたとおもったら、バスタオル一枚巻いただけの女性が、奥の風呂場から現れた!

 な、な、な……!


「(すみません。きちんと服を着てくれませんか?)」


 あ、志貴は夏李くんの目を塞いで、本人は目を閉じてそっぽ向いてる。

 夏李くんは真っ赤。あー、これは目撃しちゃったかな?


「あ、ゴメンナサイ。スグに着てくるよー」


 金髪美人、スタイル抜群の彼女は、そう言ってとりあえずは出ていった。


『姉さん、彼女は?』

「うん、わたしの恩師の娘さんでね、アデリシア・ユーリルっていうの。今度こちらに留学することになったのよ。あなたたちと同じ学園ね。年明けの1月から通うことになるから。よろしくね。


「時期外れな感じですね。向こうですと9月からの気がしますし、こちらに合わせるなら、4月からでは?」

「ま、ね。向こうのお母さんの事情なのよ。ちょっと事件に巻き込まれちゃったそうで、長期間の療養が必要になりそうなの。その間、寂しい思いをさせるくらいなら、いっそのこと留学して、勉学に励んだ方がいいでしょうってことでね。あの子、中学2年に編入になるから、美樹と志貴くん、よろしくね?」

『彰は?』

「彰はわたしのだから、ダメなの」


 語尾にはーとまーく付けて、にっこりと笑ってますよ。……姉さん、実は彰にベタぼれですね……。


「オマタセー。ソッチはユキのイモートサン? ボクはアデリシア・ユーリルダヨ。ヨロシクネー」


 ……ボクっ子、って、なんで?


「(こっちは美樹の婚約者の黒峰志貴くん。で、こっちは友達の青海夏李くん。美樹はしゃべれないから、無理はさせないでね?)あ、この子の口調はね、なんでも近所の日本人の男の子に習ったせいみたいよ。まだ10才の子だからね。男女の口調の違いは気にしてなかったようなの」


……あー。まあそういうこともあるか。

 とりあえずはしっかりと頭を下げておく。しゃべれない代わりにボディーランゲージである程度はやらないと!

「黒峰志貴です。よろしくお願いします」

「青海夏李です」

「ン? カイカイ?」

「(ファミリーネームがセイカイで、名前がカイです。家庭の事情で、こういう風に繋がっちゃって……)」

「イイズライナラいいよー。コレカライッショにあそぼーねー」


 にこにことするアデリシア……アディと呼ぶことに強要されました。

 その後、他のみんなも合流して、お茶を楽しみました。


 おや? アディと夏李くんの様子が?





『次は四人目かな? 青海駿と夏李の兄弟だな』

『兄弟?』

『おう。ふたりの父親が浮気で離婚。その後、母親は仕事先の社長と再婚。で、先妻の子供に虐められてるんだな』

『それって……』

『まあ、先妻ってのが、浮気相手との事故死だそうで、義父は再婚はしたくなくても周りがうるさい。だから、実務的な問題で、秘書だった母親と再婚。父親としてはきちんとしてるんだけど、義理の兄姉は認めない。父親と一緒の時にやっていたバンドも、できなくなった。それで兄はひねくれ、弟は気弱になったという設定だったな』

『そこで、バンドがまたできるようになって、精神的に回復するってことかな?』

『そ。で、ヒロインがこの兄弟を攻略するには、両方とある程度仲良くする必要があったな』

『攻略対象はこれで全員かしら?』

『だな。で、これがキャラのラフ』

『あ、そうなんだ。……全員、当然ながら美形ね。おまけにカラフル……』

『まあ、ゲームだし分かりやすくな。で、お前は誰が好み?』

『……そんなの、響に決まってるでしょう』

『あー、その、サンキュ』

美樹が攻略対象の外見を知っていたのは、ラフを見たことがあったからでした。

ちなみに、各キャラの髪と目の色は、姓に入っている色と同じ。

青海兄弟は、兄が青、弟が水色です。

アディは金髪碧眼です。

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