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白日夢

モノレールと平行に走る都心へ向かう高速道 

僕はカーラジオから流れる音楽に合わせて指でリズムをとりながら

モノレールの乗客を横目でちらちら 視線が合う感覚を楽しんでいる

突然 渋滞が一斉に襲いかかり 「お先に」と言わんばかりにモノレールは遠ざかる


君に会いたい僕も 仕事に行きたい 家に帰りたい 逃げ出したい 誰かも

閉じこめられた昼下がり


ほとんど身動きできない鉄の棺桶は せいぜい頑張ってものろのろと

真夏の日差しを遮る物など何もなく てっぺんから水蒸気が立ち昇り

全開で働くエアコンが地球の温度を上げようが 積み荷の魚が腐ろうが

君に会うためならお構いなし


ふと前を走る車のルームミラーに目をやると

見覚えのある顔が映っている 生意気そうなその顔は 確かにどこかで会っている


誰だっけ?


自分の顔がそこにある じっと前を見つめる自分の顔が確かにそこにある

前の車のルームミラーに自分の顔


何故だろう?


混乱 混沌 混迷  渋滞は果てしなく続き 混乱 混沌 混迷 渋滞は果て... 

壊れたレコードを思い出すくらいの時間は生きたから 暑さのせいで片付けようか


本当に自分の顔を知っていたかな?


それならばと自分の車のルームミラーを 少しだけ身を斜めに乗り出して覗き込む

自分の顔が映るべく約束された場所に 見ず知らずの女性の顔 赤の他人の顔

むすっとしたその顔は渋滞に腹を立てているに違いない


不意に渋滞は霧が晴れるように消滅し 僕はアクセルを力任せに踏み込む

車ははじかれたように ついさっきまでの鉄の棺桶は疾走する刃となって突き進む

僕は飛び去る景色の中でぼんやりと考える 

君に会う頃には忘れているだろう.......こんなこと


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