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気まぐれ


結局、今年の卒業式ではアドルフのサプライズは最初の登場だけだった。卒業式が終わった後、友人たちと何かあったのかを話してみたが、皆目見当もつかなかった。わかっているのは、終始難しい顔で何かを考えている様子だったと、アドルフに席の近い生徒が話していただけである。

それよりもカチュアは今晩が待ち遠しかった。何故なら今夜七時に上位成績者三名への願いの確認が学園長室で行われるからだ。七時になったのは政府から偉い人が確認にやってくるためである。現在は午後の二時、あと五時間は何をしていようか、はやる気持ちを隠しきれずに笑みを浮かべてカチュアは思う。

すでに学生寮から荷物は実家に送られているため、部屋の掃除は必要ない。六年間暮らしていた学生寮から去ることになるのは寂しく思うが、用事もないため、学校内を探索しようかと思い、歩き出す。

カチュアは六年の間、魔法学校で学んできたが、まだまだ知らない場所、行っていない場所は多数存在する。先生でないと入れない区画は仕方なくても、通るのに一定以上の魔法の腕が必要な通路や、今まで用事がなくて入らなかった扉などなどだ。マッピングの魔法を得意とする家から入学した生徒ですら魔法学校の全貌は掴めなかったそうだ。普段のカチュアはそこまで好奇心を持って行動しない。そういった探求欲が全て魔法への探究欲に変わっているからだ。

だからこれはカチュアの些細な気まぐれであった。その気まぐれが、事件に巻き込まれるきっかけになるとは、このときカチュアは知らなかった。



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