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夢幻と現実の狭間で…  作者: 魔死吐?
魔道具編
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振りだし


「はぁ、振りだしか」

カチュアは図書館で新型魔法具についての情報を探している。現在、ケリィは新型魔法具を購入しに別行動をしている。現物があるのと無いのとは効率が違う。そう判断したケリィがカチュアに確認を取り、使わないことを約束して購入に向かったのだ。

正直な所、カチュアの調査は難航していた。新型魔法具についての新聞は勿論図書館に存在した。しかし、それだけである。新型魔法具が出回ったのはカチュアが現実世界に向かった二日後だった。つまりまだ十三日程しか経過していないのだ。新型魔法具関係の書籍などどこにも存在しない。しかし、それは予めわかっていたことである。

いかに便利なモノが出回ろうと、この夢幻世界では現実世界ほどの情報伝達力はない。それこそニュースペーパーが関の山。いくつかの魔法具に関する考察書や解析書は出回るが、まだ新しい技術である新型魔法具についての考察は書かれても、どういった原理で動いているのかまでは解析できていないだろう。

魔法の技術は秘匿される。新型魔法具、それも資質に関係なく魔法が使えるようなモノだ。原理を秘匿すれば、新型魔法具が出回れば出回るほど利益がある。それにいずれ需要と供給のバランスが取れなくなり、価格も上がってくる。本意は別にしても、それも目的の一つであるは予想できる。

個人で作成したのか集団で作成したのかまではわからないが、魔法学校から出回っているならたとえ集団だとしても少人数で作成しているだろう。現に、現実世界に行く一日前まで通っていたカチュアに心当たりがないのだ。噂の一つにもならなかったのだ、少人数か個人とみて間違いないだろう。そんな理由からいずれは需要に対して供給が追い付かないと判断している。

魔法図書館でも新型魔法具についてわからないことは説明したが、では何故カチュアが未だに図書館におり、調べ物をしているのか。それはここ二週間の大気中の魔力濃度についてニュースペーパーで調べているのだ。

この夢幻世界にも天気予報のようなものは存在する。それが天気占いである。もっとも、天気占いの的中率は天気予報と同じくらいでしかない。そんなあやふやな占いとは別に、大気中に存在するその日の魔力の濃度を計測した結果が毎日天気占いの記事の横に申し訳程度に書かれている。カチュアはその記事が新型魔法具の手がかりになると考えたのだ。

最初に新型魔法具を知った時、カチャアは自前の魔力ではなく、大気中の魔力を変換して使用するための魔法具だと考えていた。だから、魔力濃度を調べれば、何かわかるかもしれない。そう考えたのだ。

しかし、幸か不幸か、大気中の魔力濃度には細かい変動は出ていても減少しているとはっきり言えるほどの変化ではなかったのだ。

「結局魔力を大気中から補っているわけではないみたいだね」

 カチュアの出した結論はそれだった。外部から魔力を集めて魔法を発動させるには、魔力濃度の揺れ幅が少なすぎる。出回ってから十日以上経過している状態である。ニュースペーパーではもう数千もの新型魔法具が出回っていると書かれていた。そんな状態でいったいどれだけの魔法使いが、新型魔法具を試してみたのだろうか? 恐らく新型魔法具を手に入れた過半数がすでに使用済みであろう。

 大気中から魔力を集めて使用すれば、恐らく激減とまではいかなくても目に見えて減ってしまうだろう。よくよく考えれば大気中の魔力濃度の減少なんて目に見える結果が出ていれば国が新型魔法具の使用を止めている筈だ。では何を消費しているのだろうか?

「まさか、魔力の増幅機?」

呟いた瞬間、カチュアはいやいやと首を振る。それでは資質に関係なくという前提条件が崩れてしまう。夢幻世界には資質がゼロに近い人間もゴロゴロ居るのだ。そんな人間相手に増幅器を資質に関係ないという誇大広告で売りに出しても、意味がない。ニュースペーパーではそんな資質ゼロ近辺の人間が新型魔法具で膨大な魔力を消費しなくてはならない魔法を使用したと書かれていた。いかに増幅器でもさすがにそんなことはできない筈だ。


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