表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢幻と現実の狭間で…  作者: 魔死吐?
魔道具編
25/45

メイザース邸


 メイザース邸に到着するまでカチュアは目を覚まさなかった。

「そうですか、ザイード兄様が」

現在、ケリィはメイザース家の客室にてカチュアの母、マリア・メイザースと向き合って座っていた。ケリィが今まで見たこともない高級品のソファーに柔らかい絨毯。高級そうな調度品で飾られた部屋にケリィは居心地悪くしている。

本来、ケリィはカチュアを送り届け、これまでの経緯を口頭で説明し、カチュアにもし自分の力が必要なら連絡するよう伝言を頼んで帰る予定だった。しかし、執事長に説明と伝言を頼んだその時、マリアが現れて客室に通された。それからカチュアが目を覚ますまで居るように頼まれ、その間に、カチュアの現実世界での様子を話すことになった。

 マリアは従兄であるザイードが生きていたことに驚いていた。元々ザイードは自分の仕事と研究を優先し、家から出た人間である。親族会に招待されているが、カチュアが生まれる数年前からまったく出席しなくなっていた。そのため、親族の間では亡くなったのではないかと噂されており、確かめようにも連絡先を告げずに引っ越していたため、足取りも掴めなくなっていた。そのため、マリアもザイードは亡くなっていると考えていた。しかし、今回の一件でザイードが生きていたことをマリアはとても喜んでいた。娘の成長に加えて、幼少期に兄のように慕っていたザイードの生存は吉報である。

「それで、カチュアはこれからどうすると?」

 ただ、マリアは心配だった。向う見ずな所があり、思い込んだら一直線な所のあるカチュアの行動だ。現実世界に行くことになったとき、マリアは眩暈がする思いだった。昔から現実世界に憬れていたのは知っていた。しかし、まさか主席卒業し、願いを使ってまで行くなんて想像もしていなかった。そんなカチュアだからこそ、新型魔法具を悪だと決めつけて何か危ないことをしでかすのではないかと心配でならなかった。

 事実、カチュアは新型魔法具に対して良い印象を持っていない。悪かどうかまでは考えていないが、その力の源が何であるかを見定めようとは考えていた。しかし、そのことを、マリアが知りたい情報をケリィは持っていなかった。

「申し訳ない、ご母堂。そのことは私もまだ聞いておらぬゆえ」

「そう…ですか。」

マリアはケリィの言葉に思わず落胆してしまった。話し合う前にミキヨミをしてしまい、ザイードに催眠魔法をかけて貰ったのだ。ケリィがカチャアの考えを知るはずがない。仕方ないことだとしても落胆してしまったのは親としては仕方のない心情だろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ