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夢幻と現実の狭間で…  作者: 魔死吐?
現実世界編
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来訪

 カチュアはコンクリートで舗装された道をタイ焼きを口に咥えながら歩いていた。周りには巨大なビルが立ち並び、多くの人間が忙しなく歩いている。

カチュアが居るのは現実世界のとある町の駅前通りである。学園長室で現実世界を見て回りたいという願いを叶えてもらい、二週間の旅行が認められたのだ。その結界、カチュアは現実世界でもおかしくない黒いベストにピンクのスカートという格好になっている。髪の色も魔法で茶色に染まっており、全体的に地味な出で立ちで街中を歩いていた。髪まで染めている理由は勿論ある。夢幻世界では夢幻の力の影響で緑や赤などの派手な色彩をした頭髪の人間が多いため、カチュアの赤い髪も目立たないが、現実世界には少数しか存在しないので、滞在期間は茶色に染めているのだ。

 現実世界を見て回る願いはすんなりと通ったのだが、少しだけ条件を与えられた。その一つに魔法の封印がある。現実世界で夢幻の力を行使した場合、現実世界の法則に反する現象をおこしてしまい、夢幻世界と現実世界の両世界に影響が出てしまうからだ。現実世界では『カガク』以外の力を行使するのはご法度なのだ。そのため、現在カチュアにかけられている髪を染める魔法と翻訳の魔法は夢幻世界を出る前にかけられたのだ。

 生まれてから今まで、当たり前のように身近にあった魔法が使えない状態になったことで、カチュアは妙な喪失感を感じてならなかった。夢幻世界に帰れば封印は解けるし、自分の中から夢幻の力が無くなったわけではない。それでも自分の手足が無くなったような虚無感は否定できなかった。だが、それよりも今は未知の世界である現実世界の光景に関心が向いていた。はやく現実世界を見て回りたいという高揚感の方が強かったのだ。

 


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