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私の肖像
生まれ変わったら、私は一枚の肖像画になっていました。
いいえ、“肖像画に憑いている幽霊になってしまった”が正しいでしょうか。ほら、物には魂が宿るというでしょう?
多分、私はこの『若い女性』が描かれた絵に惹かれ、死後に憑いてしまったのだと思います。もしかしたら、これは私自身の肖像画だったのかもしれません。
本当のところは、私の生前の記憶が大部分抜け落ちていて、分からないのですけれど…。
そう“私”は形を持ちません。
分類上は幽霊に入るものの、弱い思念の塊でしかなく、依り代となるこの肖像画がなければいつかは消え行く存在でしかないのです。
うっすらと残る記憶の欠片から辿れる情報ではっきりしているのは、性別が女性だったこと、死が訪れたのは突然だったこと、そして“恨み”の思念はないことでした。
――という幽霊ネタ。