第7話 特別な日
「悠真クン、なんか食べる?」
「いや、陽菜が来るまで待つよ」
「いやーいいカレシだねー。羨ましいわー。あたしもそんなカレシ欲しいなあ。どう、あたし二番目でもいいからさぁ~」
そう言いながら彩由美さんが自分の胸に僕の手を持っていった。
もにゅん、て感じがするかと思いきやブラがあるので少し硬い感触がする。
「ね、どうよ、ヒナより大きいでしょ?」
「いや、それは……ブラあるから分かんないし」
「アユミ、悠真くんが生で揉みたいって言ってるよ~」
別の女の子がそんなことを言うが、そういうつもりで申し上げた覚えはない。
「ん~? そっかそっか、ナマがいいか~。男の子だもんね。ちょっと待ってブラ外すからさ」
「ストップストップ! そんなことしなくていいから」
「ヘーキヘーキ、ヒナには黙っててあげるからさ!」
そう言いながら服の中に手を入れる彩由美さん。
ブラを外して右手でヒラヒラさせ、僕の手を掴んで胸に持ってこようとする。
「いや、だめでしょ、人の彼氏に何やってんのよ。つーか、お待たせ~」
ようやくやってきた陽菜。
危ない、間一髪だった。
「遅いじゃん、何やってたのヒナ~」
「ごめんごめんってば。さあ、パーティをしよ」
そう言いながら僕に近づいて、彩由美さんから僕を引き離す陽菜。
よく見ると、制服がいつもより着崩れているし、少しゆるいウェーブがかかった明るい茶髪もところどころ跳ねているみたいだ。
「陽菜、ここまで急いで走ってきたの?」
「う、うん、まあそんなところ。それよりも悠真、あたしお腹すいた。なんか食べさせて~」
「ほら悠真クン、ヒナがあーんしろって言ってるよ。二人とも爆発しないかなー。あ、ヒナだけ爆発したら悠真クンをもらえるかも」
「爆発しないし、させないから」
そんなこんなでほとんど女の子しかいないパーティが始まり、僕は陽菜以外の女の子とも適当に会話してやり過ごした。
◇◇◇
「じゃあねぇヒナ~」
彩由美さんたちが帰っていった。
リビングで僕と陽菜だけになる。さっきまでは嫌になるほどうるさかったのに、いなくなると寂しいな、と思う。
「悠真、あたしの部屋に行こ? 今日は両親もいないし」
「わかった」
見慣れた陽菜の部屋。
特に何かを言うでもなく二人とも服を脱いだ。
「今日は私からしてあげる……」
そう言うと陽菜はかがんで僕の股に顔を近づける。
「んっ、それ、いい」
生暖かい陽菜の口の感触が気持ちよくて溶けそうだ。
にしてもいつもより積極的だな。
普段はこんなことしないのに。
しばらくして陽菜が僕から顔を離す。
「これって結構難しいのね。じゃあ悠真、横になって」
僕は言われるままにベッドに横たわり、陽菜が上に乗ってきた。
「んんん……入っ、た……」
いつもよりすんなり入った気がする。
そして動き始める陽菜。
そういや流されるまま始めてしまったけど……
「陽菜、つけてないよ」
「今日は特別な日だし、大丈夫な日だよ。悠真も、気持ちいいでしょ?」
「うん、まあいつもより気持ちいいけど」
「あたしもよ」
◇◇◇
終わったあと、大きいベッドに二人で並んで布団に入る。
「陽菜、今日のパーティ楽しかったね。男が全然いなかったからちょっとアレだったけど」
「…………」
「あれ、陽菜?」
陽菜は目をつむって静かに寝息を立てていた。
よほど疲れていたのかな。
いつもなら少し他愛もない話をするんだけど。
陽菜の寝顔を見ながら、僕もすぐに眠りについた。
◇◇◇
年が明けて、正月は家族や親戚と過ごした。
そこからは早く時間が進み、次のイベントは、バレンタインデーだ。
ちなみに、僕の誕生日は2月14日。
つまりバレンタインデーと同じ日。
今年は普通に平日なので、学校に行く。
登校すると、陽菜が僕のロッカーの前で何かしてた。
何か、っていうか大量のチョコの箱を取り出している。
「あ、悠真おはよう。もしかしたらこうなってるかもしれないと思って先に来たんだけど」
「何してるの?」
「悠真あてのチョコを捨てるの。あたし以外のはいらないでしょ」
「そりゃそうだけど……」
中学のときのバレンタインもチョコの箱がまあまああったな。
義理だか本命だかわかんなかったけど、義理だっていうやつはもらって、本命だっていうやつは『ごめん』って言いながら返してた。
「まったく、悠真はあたしのモノだ、ってみんなに言ってるはずなのに!」
僕はモノじゃないけどね。
「まあ、恋心を抱くだけなら自由だし。行動に移すのはまずいかもしんないけど。寝取られだめゼッタイ。そもそも、恋人が陽菜なのは変わらないよ。陽菜もそうでしょ」
「まあね」
なお、僕の横にある健人のロッカーの中にもチョコが入ってたらしい。
捨てるのはもったいないのであとでスタッフ(彼女いない勢)がおいしくいただきました。
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