第50話 芋づる式
少し遡って、集団で美月を襲ったが失敗した鬼塚龍也。
陽菜に振られ、オヤジ狩りをした龍也はパチンコに行き、なぜか大勝ちしたのでそのまま風俗で発散した。
次の日は学園にいく気にならず、だらだらと一日を過ごした龍也。
さらにその次の日は、いつもの通り登校し、校門の前に着いた。
そこには見知らぬ大人が二人で龍也を待っていた。
「鬼塚龍也さんですね? 署までご同行願います」
私服の警察官二人が龍也に警察手帳を提示する。
「は? なんだそれ? 着いていくわけねーだろ!」
「残念ながら、2件も被害届が出ています。心当たりあるでしょう?」
「ねーよ、んなもん!」
「女子への暴行未遂、それから中年男性への強盗罪の疑いがあります。おとなしくついてこないなら、強制的に連れていきます。逮捕状が出ていますので」
「ちっ! くそがっ!」
ワンチャン逃亡を図る龍也。
だが警察官から逃れられるわけもなく、すぐに捕まってしまう。
「警察官二人から逃れられるわけないだろ」
黒塗りの覆面パトカーに乗せられた。
◇◇◇
警察の取調室。
「おい、かつ丼は出ねえのかよ」
ふてくされた龍也はからかうように刑事に聞いた。
「テレビの見すぎだ。令和のこの時代にそんなことあるわけないだろう。留置所の食事で我慢するんだ。で、認めるのか認めないのか?」
強面の刑事が龍也を問いただす。
「何をだよ?」
「婦女暴行、と強盗の件だ」
「どっちも知らねえよ」
「そうか。婦女暴行については被害者から証拠動画が提出されている。お仲間の二人もそろそろ捕まってるさ。なにせ動画の中でお前たちは名乗っていたのだからな」
くそっ、あのアマ。
あのしおらしい態度は演技だったか、はめやがったな。
俺がはめたかったのに。
「そしておやじ狩りについても被害届が出ているぞ。こっちは怪我させてるから強盗致傷罪だな。覚悟しておいたほうがいいぞ。素直になれば裁判官の心象もいいかもな」
「ふざけんな!」
◇◇◇
いったん取り調べが終わり、留置所に入れられた龍也。
そこには虎徹と獅童がいた。
「お前らも捕まっていたのかよ!」
「そうっすよ、パイセン。パイセンのせいっす!」
「俺たちはもう先に罪を認めました。おとなしくしようと思います」
「お前たち、裏切ったな!」
「証拠の動画もあるし、どう考えても勝ち目はないっす、無理っすよ」
「俺は認めないからな。絶対に!」
◇◇◇
そして逮捕から三日目。
留置所ではスマホが取り上げられて使えない。
本当に何もすることがなく、連日の取り調べで精神が参っていた龍也は、とうとう全ての件について自白するに至った。
いったん自白が始まってしまえば、あとはつらつら喋り、さらには聞かれてもいない黒幕のことについてもしゃべり始めた。
「あのクソ女よお、アイドルの胸を揉んでいいって言ったんだぜ。それから襲えってな。二度と学園にこれなくなるようハメ撮りしろってな」
「ああ、お前も大変だったんだな。その女はなんていう名前なんだ?」
どんどん饒舌になる龍也に対し、刑事は同情するフリをして名前を聞き出そうとした。
「鳳翔学園2年、鳳翔陽菜だぜ。まったくあの女……最後に俺のことフリやがって」
「証拠はあるか?」
「いや、証拠はねえが本人に聞きゃいいだろ?」
「そうか鳳翔陽菜というんだな」
取り調べを終えた刑事は、自分の部屋に戻って美月から提出された証拠動画を見直す。
最初のあたりに既に答えはあった。
『いや、清純派をうたってる美月ちゃんならこういうのに弱いってヒナが言ってたからさ』
それは、美月が呼び出されて体育館の裏に来てからすぐの会話だった。
そして翌日、警察官は鳳翔学園に向かい、ちょうど美月による断罪劇の真っ最中に出くわすこととなる。
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※黒塗りの覆面パトカーが実在するかどうかは知りません。




