第5話 初体験
「ちょっ、悠真、手を離さないでね、あたし泳げないんだから!」
キャッキャッしながらみんなと砂浜でビーチバレーをしていたのだけど、飽きてしまった陽菜さんは二人で海の少し遠いところまで行こう、と言ってきた。
陽菜さんは泳げないらしい。
僕は小学校の時スイミングスクールに通っていたから、遠泳できるくらいには泳げる。
少し遠くにある岩場に着いて、二人で座って休憩する。
「ねえ悠真」
「なに、陽菜さん」
「これが終わったら、帰りにあたしの家に来ない?」
「え、それって……」
「もう、そういうことよ! 期待しておいてね!」
たぶん、今の僕の顔は赤くなっているだろう。
◇◇◇
岩場から二人で戻ってくる。
「もう、どこ行ってたのよ、二人して姿を消して」
「まさか二人で……キャー!」
クラスメイトにからかわれた。
「いや、そういうことは特に……」
「悠真、照れなくていいでしょ、岩場に行ってただけなんだから」
「行ってただけ、なんてことはないでしょ、ヒナ」
「ナ・イ・シ・ョ」
「いやー熱いねー、やけるわー、ビーチよりあついわー」
「悔しかったら彼氏を作りなさいよ、悠真よりいい奴はいないと思うけどね!」
ハイスピードで繰り広げられる女子の会話にはついて行けないよ。
その場を少し見回すと、クラスメイトの女の子が男の子の側にこっそりくっついているのが見える。
これは、何人かうまくいった感があるな。
こういうきっかけのためのイベントって大事なんだな。
◇◇◇
帰りの電車の中では、遊びすぎて何人か居眠りしていた。
帰りはみなそれぞれの最寄り駅で降りる……はずなんだけど。
「じゃあ、僕はこの駅だから」
「……ちょっと待って、私も降りる」
「うん」
とまあそんな感じのやりとりが何組かあった。
二人とも降りる場所が違うはずだけど、それは言ってはいけないやつだよね。
なお、健人は彼女といっしょに当たり前のように同じ駅で降りていった。
さすがイケメン、行動もスマートだ。
◇◇◇
「ここがあたしの部屋よ。そういえば呼んだのは初めてだね」
「うん」
全体的に薄いピンクで統一されている部屋。
壁には学校のカバンが掛けてあったり、コルクボードに写真が貼ってある。
この前の水族館デートの時にいっしょに撮った写真だな。
ベッドは大きめで、さすが理事長の娘、金持ちぃ!
「今日は楽しかったね、悠真」
「うん、僕もだよ、陽菜さん」
「ね、その陽菜さん、ってのやめよ? あんまり付き合ってる感じがしないし」
「わかったよ。……陽菜。なんか恥ずかし……」
陽菜、と呼んだ直後、僕の口は彼女の口で塞がれた。
唇が触れる感触に僕は戸惑う。
少しして、陽菜が僕から顔を離す。
「よくできました、ご褒美のチューだよ」
「陽菜……」
もう一度、陽菜が顔を近づけてくる。
唇が触れあうけど、今度は口の中になにかが入ってきて、僕の頭は一瞬真っ白になった。
「んんん……」
彼女の舌が入ってきている。
口の中で求めるように動き回る舌の動きに少し戸惑ったけど、やがてその動きに合わせて僕も舌を動かす。
やがて、いったん休憩とばかりに陽菜が唇を離した。
「なんか陽菜……、積極的だね、慣れてるの?」
「バカっ、そんなわけないでしょ。練習してたのよ。もう、デリカシーがないわね」
「あ、いや、ごめん……」
やばい、選択肢を間違ったか。
せっかくの雰囲気なのに。
「もう、デリカシーがないついでだから、服を脱ぎましょ。ほら、脱がしてもいいわよ、こないだ1○9で買った下着だから。……ちょっと、早くしなさいよ、恥ずかしいんだから」
そうして上着を脱がせていくと現れたのは、なんかヒラヒラのついた白色の下着。
「可愛い下着だね」
「そこは下着を褒めるんじゃなくて『陽菜、可愛いね』っていうところでしょ。じゃあ、悠真も脱いで。あ、脱がせてあげる」
陽菜に上着を脱がされ、ズボンを脱がされる。
下はなんとかスミスのウサギがたくさん描いてある濃いピンクの下着だ。
「あ、悠真もこないだ○イで一緒に買った下着を着けてるじゃん。エッチ」
ウサギの柄で、ピンクの下着。
これじゃあ発情してると思われても仕方ないよね。
してるんだけどさ。
「じゃあ、そろそろしよっか……」
「うん……」
さすがに下着は二人とも自分で脱いで、生まれたままの姿になる。
そうしてベッドの上で横になった陽菜は、目をつぶりながら少しずつ足を開く。
「あ、もうちょっと下かな。そう、そこだと思う」
「ここ?」
初めてだからイマイチ要領が分からないけど、陽菜に誘われるままにした。
「そ、そうだよ」
「わかったよ」
「あっ…………」
陽菜の顔が少し歪む。
「ごめん、痛い?」
「いや、大丈夫、だから……動いていいよ……」
動き方もよくわからないんだけどね。
とにかく、こうして僕は学園より先に卒業した。
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