第43話 偽告白
私は手紙のとおり、放課後になってから体育館の裏にやってきた。
「待ってたぜぇ、美月ちゃん」
「パイセン、この子があのフォロワー1000万人のシコネタを提供してる巨乳のグラドル愛崎詩織ってホントっスか?」
「おいおい、みんな空気読んで黙ってるんだから、ここでバラすなよ、ギャハハハ!」
文学少年じゃない。
待っていたのは、長い黒髪オールバックの鬼塚龍也先輩と、金髪短髪を逆立てた後輩が二人。
そのうち一人はデジカメを持っている。
「鬼塚先輩、手紙を書くなんて意外と古風なんですね」
もしかして見た目に反して純情なのかな?
「いや、清純派をうたってる美月ちゃんならこういうのに弱いってヒナが言ってたからさ」
「パイセン、さすがっス! 頭いいっす!」
後輩の一人が鬼塚先輩を褒めている。
これは、とてもじゃないが進学校生徒の会話とは思えない。
大丈夫、鳳翔学園?
「さあ、美月ちゃん、告白のお返事がほーしーいーなー」
「お返事のあとはさっそく恋人タイムっすよね?」
「恋人は三人いてもいいですよね、龍也さん。シェアしましょうよ!」
反吐がでるほどのクズ。
悠真くんとは大違い。
同じ空気も吸いたくない。
でも職業病なのか、こんな状況でも笑顔を維持できる私がちょっと悲しい。
「一つ聞いてもいいですか?」
「なんだい、美月ちゃん。美月ちゃんのお願いなら何でも聞いてあげちゃうぜえ!」
何でも、かあ。
じゃあ、目の前から消えてほしいかな。
「なんでカメラが必要なんですか」
「そりゃ美月ちゃんとの俺たちとの秘密を共有するための高性能カメラだよ。細部までバッチリ写るやつ。それで、事務所からお金もらえるようにもなるから一石二鳥じゃん?」
前後のつながりが全然わかんないんだけど、これは私がバカなのかな?
「どういうことかわかりやすく説明して」
「国民的人気グラドルの詩織ちゃんは俺の告白をオーケーして、俺たちと仲良くハメ撮りをする。モザイクなしでうっかりネットで配信しちゃうとまずいから、810プロに動画を買い取ってもらう。わかった、美月ちゃん?」
「すげー、マジッすかパイセン、アタマいいっすねー」
「げへへへへ……あの詩織ちゃんとできるなんて、生きててよかった! まずは口でしゃぶってもらおーかなー」
にじり寄ってくる男子たち。
その前に聞いとかなきゃ。
「私、あなたたちのこと知らないんだけど。私のことは知られているのに不公平だと思わない? せめて名前を教えて欲しいの」
ここだけちょっとしおらしい演技をして聞いてみる。
二人の後輩はあっさりと喋った。
「おれっちは坂本虎徹っす!」
「おれは獅童啓太、仲良くしようよ」
「俺は、言わなくても知ってんだろ、美月ちゃんの初めてになる男だ!」
「でも、聞きたいの」
本人の口から言わないとあまり意味ないからね。
上目遣いでもう一度聞いてみる。
「そうか、そうか、そんなに聞きてぇか! 俺の名は、耳をかっぽじってよーく聞け、鬼塚龍也だ! 美月ちゃんの初めてになる男だ! まさか枕営業とかしてないよな、清純派で売ってるんだから」
陽菜さんにも同じこと水族館で言われたね。
似た者同士か、お似合いだよ。
「さあ、美月ちゃん返事を聞かせてもらうぜぇ」
「イヤです」
「聞いたか、虎徹?」
「はい、パイセン。『好きです龍也さん』って言ってましたよ」
「さっきのは俺の聞き間違いだよな? 美月ちゃん俺の一世一代の告白への返事は?」
「お断りします」
「おい、パイセンがああ言ってるんだ、言うこと聞かないか!」
ちょっとキレ気味になった虎徹が私の肩をドンッと推した。
「きゃああっ!」
できるだけ、自然な形でしりもちをついて後ろに倒れる。
「パンツが見えそうで見えないっ!」
もちろん、角度を計算して倒れたからね。
「パイセン、もうここでいいっしょ。早くヤリましょうよ」
「そうだな、綺麗なホテルで、とも思ったが、野外もいいかもな!」
そうして、三人が近づいてくる。
そして私の服を脱がそうと鬼塚先輩の手が近づいてきた。
「そこまでだ!」
いつもお読みいただきありがとうございます!




