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逆ネトラレされる僕〜国民的美少女アイドルに完堕ちさせられたワケ〜  作者: 気まぐれ@ハズリバ2巻


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第36話 くもらせたい

「何なの、あの女っ!」



 悠真とのデートを終えて帰ってきた陽菜は手にしていた小さなブランドもののバッグをベッドに投げつけた。

 高校生が気軽に持てる値段のものではないのだが、実家が太い陽菜にはどうでもいいことだった。



「なにあの『私はあなたなんか相手にしてません』みたいな態度は? ムカつくわね! しかも私を見ているようで悠真ばっかり見ていたわ、バレバレよ、牽制のつもりかしら」



 思い出せば思い出すほど腹が立ってヒートアップする陽菜。



「悠真はあたしのもの、あんなアイドルもどきに渡すものですか! ちょっと痛い目を見てもらおうかしら。ちょうどいい駒もいることだし……」



 そして陽菜はスマホからある人間に無料電話アプリで電話した。

 それは、今年入学の一年生、小畑おばた小春こはる

 長い黒髪の小柄な女の子だ。



 陽菜はちょっとしたことから小春の弱みを握っていた。

 何かに使えないかと思い彼女のことを手駒としてキープしていたのだが、ここで出番を与えることにした。



 少しだけ間が空いて、小春が電話に出た。



「もしもし、小春ですけど……。なんでしょうか、鳳翔先輩……」



「返事が遅い! あたしが電話したら3秒以内に返事すること、ってあたし言ったよね? 教育が足りなかったのかしら?」



「すみません、家でお手洗いに行ってて……」



「言い訳は認めないわ。毎秒スマホを確認しなさい!」



「そんなぁ……」



「いいから今すぐあたしの家に来なさい。いいわね、10分時間をあげる」



「無理ですよ、電車で20分以上かかるのに」



「じゃあタクシーで来なさいよ、いいわね!」



 そして陽菜は一方的に通話を切った。



◇◇◇



 20分後、小春が陽菜の家に来た。

 急いで来たのか、長い黒髪は少し乱れていた。



「遅い、いつまであたしを待たせるつもり!?」



「すみません、でもタクシーで来るようなお金を持ってなくて」



「ふん、まあいいわ。それで、今から言うことを実行しなさい、絶対によ。メモは取らないでよ。じゃあ、今から言うからね」



「ちょ、ちょっと待ってください、急になんなんですか?」



「待たない。今から言うことを黙って覚えなさい。…………」



 小春に淡々と用件を伝える陽菜。



「ね、簡単でしょ?」



「そ、そんなことできません、先輩。下手したら死ぬかもしれないじゃないですか!」



「大丈夫よ。『こうなると思いもしませんでした』って言い張れば過失致死で済むわよ。そんなに罪は重くないわ。パパに言っていい弁護士を用意してあげるから」



 もちろん、陽菜にそんなつもりはない。

 どうせ使い捨ての駒なのだから、国選弁護人で十分だ。



「わたし、退学になるじゃないですか!」



「あら、そう。なら今すぐ退学になる? あなたが入学の時にカンニングしたこと、パパに言っちゃおっかなー」



 陽菜は入学試験のときの監視カメラを見ていて、小春のカンニングの証拠を掴んでいた。

 これを理事長である父に言えば、どうなるか。



「そんな、それだけは許してください! せっかくお父さんとお母さんが進学校に受かった、って喜んでくれたんです!」



「じゃあ、なんでカンニングしたの」



「それは……」



「どのみちあなたはあたしの言うことを聞くしかないのよ。哀れな子ね」



「うう……」



「もしやらなかったら、その時点でパパに言うから」



 そうして、小春は陽菜の家から解放された。



◇◇◇



「ちょっとムキになっちゃったかしら。でも十分牽制にはなったよね。私の悠真くん、あんな女には絶対あげないんだから……!」



 水族館から帰ってきた美月は、久々に悠真ルームで一人反省会をしていた。

 壁全面に悠真の写真が貼られている悠真ルーム。

 そこには日々新たなコレクションが追加されている。

 そして最近の傑作は、悠真と初めて結ばれたときの動画だ。



「ふふっ、悠真くんもまさか私の部屋に隠しカメラがあるとは思っていないでしょうね。私の体に夢中な悠真くん、何回見てもとっても可愛い……。あのときは痛かったけど、早く抱きしめたいよ……」



 ハイライトのない目で部屋にある等身大の悠真アクスタを眺める美月。

 もちろん特注品である。



「悠真くんは真面目だから、きっとあの女と私との間で揺れ動いて苦しんでいるかもしれない。曇った顔の悠真くんも素敵だわ。でも、それ以上に幸せにしてあげるから……」



 悠真が陽菜を抱くときに美月との感触が忘れられなくて最後までできなかったことを知ったら、美月はさらに暴走していたかもしれない。

 が、さすがに美月がそれを知る由はないのは、当人たちにとって幸なのか不幸なのか。



「だから、あの女にそろそろトドメを刺してあげなきゃ。証拠はすでにあるんだから、あとはどのタイミングでするかだけなんだけど……」



 美月の目が妖しく輝いた。

 いつもお読みいただきありがとうございます!

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