第33話 お悩み相談
『マジ⁉︎ 悠真クンかわいそう~。きっとヒナが緩かったのね!』
『そんなわけないでしょ、殺すわよ』
『あ、ごめん、わたしたちがヒナのいないときに悠真くんを絞り取ってるんだった、ごめんね☆』
『ああん?』
『冗談だから(笑』
『実はヒナ、誰かに寝取られてるんじゃない? そいつの体に溺れてるとか』
『アユミ、漫画の読み過ぎ、そんなの現実にないから』
『そうだよ、ヒナじゃあるまいし』
『どういう意味よ!』
『いやだって鬼塚先輩ともヤッてんじゃん。アタシなら悠真クン一筋なのになあ~』
『先輩は本命じゃないからいいのよ』
『ヒナ~、「二兎を追う者は一兎も得ず」だよ~』
『どうしたのアユミ、急に頭がいいフリをして』
『ひどいなあ。だって悠真クン頭がいい女が好きそうじゃん。アタシも勉強しとこうかなって。今からでも遅くないよね☆』
『これ仮にも進学校のクラスの会話なの(笑』
『だってヒナが自虐に見せた自慢のメッセ送ってくるから……』
『違うから。マジで悩んでるから』
『なら初心に返ってみればいいんじゃない?』
『アユミがまともなこと言った』
『ァタシとヒナゎ……ズッ友だょ……!!』
『なんでいきなり友情アピなの?』
『え、ズッ友だと思ってたのアタシだけ?』
『ズッ友やめろ』
『はーい。てかさ、あのアイドルが怪しくない?』
『陰キャ隠しきれていないエセ清純派アイドルの話もやめろ。虫酸が走る』
『だって学園でヒナと並ぶ顔とスタイルはあの子くらいしかいないよ? それに中学のときあの二人同じ学校だったんでしょ。なんかあってもおかしくなくない?』
『はぁっ(威圧)⁉︎ それ初耳なんだけど! なんで黙ってたのよ!』
『テックトックで一瞬だけ流れてたよ。すぐに消されたけど。発信したやつが収益も剥奪されてアカウントも消されてそれ以来でてこないんだ。ソイツ810プロに特定されて消されたんじゃないかって噂になってた(笑』
『そんなのいちいち見てないわよ。でもそれ、間違いないの?』
『なんかね、魚拓すら見つかんなくてもうわかんないんだ。マジで810プロにいろいろ消されてるのかも。気になるなら悠真クンに聞いてみれば?』
その後も適当にやり取りする。
気がつけば夜遅くになってた。
眠いので寝た。
◇◇◇
次の日の朝。
「おはよう、健人」
「ああ、おはよう」
登校してからの何でもない朝のあいさつ。
そして陽菜が教室に入ってくる。
「おはよう、悠真。気にしなくていいからね」
「うん、ありがとう」
そして陽菜はかばんを席に置いて、彩由美さんたちの所に行く。
そのかばんにはネコと寿司が合体したよくわかんない生き物のストラップが着けてある。
これは駅で大量に並んでいるガチャガチャのコーナーを陽菜が見て、欲しい、って言うもんだから一回だけ回してみて出てきたやつなんだけど、
『可愛いよね♡ 悠真もそう思うでしょ?』
『ええ、ああ、うん……』
尻尾が蛇だからどちらかというとゲームの雑魚モンスターに出てきそうだよね。
マンティコア的な。
可愛いけど毒とか吐いてきて行動パターンが凶悪で倒せば経験値が多い、とかだったら面白いのに。
とか思ったがその時はかろうじて口にしなかった。
女子高生の感性はよくわかんないな、と思うけど陽菜はゲームのこと全然面白くない、興味ないって言うので、もうそれは仕方ないんだろうなと諦めてる。
◇◇◇
その日の授業が終わって、陸上の部活に行く。
「先輩、なんかいつもと違って暗いですよ。どうしたんですか?」
健人の妹、朱里ちゃんに聞かれる。
ペースメーカーとして朱里ちゃんと並んで走っているのだけど、なんだか僕はまだ昨日のことを引きずっているみたいだ。
「いや、別に何でもないよ」
「お兄ちゃんは何か言っていませんでしたか? 先輩のその様子を見て気づかないはずがないと思うんですが」
いや、別に健人からは何も言われてないな。
今日も普通に話したし。
気遣われてたのか、気づかなかったのかどっちかわからないけど。
「健人からは特に何も……」
「そうですか。お兄ちゃんが何も言わないならそうなんでしょうかね。おかしいな、絶対先輩に何かあったと思ったんですが、私の勘違いなのかなぁ……」
なんだ、朱里ちゃんの勘が怖いよ。
っていうかさ、言えないよね。
昔振った女の子が誘惑してきて、今カノの体に満足できなくなっちゃったから悩んでるんだ、なんて。
客観的に見たら(見なくても)ドクズじゃん、僕。
ここから僕が逆転する方法はないかな。
三択が頭に思い浮かぶけど……
①美月との関係を絶って、陽菜とこれまでどおり付き合う
②陽菜を振って、美月と付き合う
③美月と陽菜の両方に『この浮気者!』と言って刺される
一番最後がありそうだ……。
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