第19話 罰ゲーム
「ねえ悠真くん、次負けたほうが罰ゲームってことにしない?」
「うんいいよ」
「勝ったほうが負けたほうの言うことを何でも聞く、ってのはどう?」
「いいよ~」
うん、また身体検査でいいかな。
あの魅力に勝てる男はいない。
◇◇◇
「はい私の勝ち~!」
「は? えっ、えっ? 周回遅れで負けただとっ!」
二行即負けとか、ありえなくない?
なんで重量級のトップスピードをずっと維持できんの?
僕さっきまで勝たせてもらってたの?
接待プレイだったの?
「じゃあ、約束ね。罰ゲームを執行しまーす」
「待って、待ってよ美月さん、もう一回だけ、もう一回だけだから! さっきの負けは偶然で、体験版でやりこんでいるからこんなはずはない!」
「もう、しょうがないな~。悠真くんも負けず嫌いなんだね。いいよ、でも負けたら罰ゲーム二回分になるから」
「大丈夫、次は絶対負けない!」
◇◇◇
……今度は半周遅れで負けました。
なにこのスーパーアイドル。
顔も良くて胸も大きくて勉強もできてフォロワー1000万人いて、ゲームも強いとか、神に違いない。
その神様から非情な宣言が下される。
「じゃあ、罰ゲーム二回分ね!」
とてもいい笑顔だ。
そして、美月さんが上半身の服を脱いでブラも外した。
「前回の続きだよ。悠真くんが、私の胸を触りながら、チューしよ? これは罰ゲームだから浮気じゃないよ」
そう、これは罰ゲームだ、罰ゲームなんだ……。
正面から美月さんの胸を触りながら、顔を近づける。
彼女の柔らかい唇に触れると、彼女から唇を押しつけてきて、舌が入ってきた。
「美月さ、ん、んっ……」
求めるように動き回る舌に翻弄される僕。
やがて僕からもそれに合わせるように舌を動かす。
しばらく口の中での攻防が続く。
「ぷはっ」
「ふふっ、情熱的だったね、悠真くん」
「いや、それは美月さんからだったような……」
やがて口を離した二人。
「じゃあ、二つ目の罰ゲームね」
えっ、それはまさか……。
「二人でいるときだけ、私のことを美月、って呼んで欲しいの。ダメ?」
あざとく上目遣いで見てくる美月。
やはり可愛い。
「なんだ、そんなことか……いいよ、美月」
「ふふっ、二つ目って何を想像したのかな、悠真くん?」
そして美月が僕のズボンを一撫でした。
「ひゅいっ! え、いやなんでも……」
「今日はこれでおしまい。次に期待しててね。あ、ゲーム持って帰る?」
「いや、発売前だしやめとくよ」
「そだね」
◇◇◇
悠真が帰っていったあと、隣にある悠真の写真だらけの部屋で、美月の一人反省会。
が、特に反省することはなかった。
「悠真くん、面白いように引っかかってくれたなあ」
先に手に入れたスイッチ4で、マリカの猛練習をする。
クラスで悠真くんがゲーム仲間と話しているのを聞いていたから、マリカなら絶対に食いついてくるはずだと思った。
製品版は、体験版にはなかった速度バグがあったから利用させてもらった。
たぶんすぐにアップデートで直されるんだろうけど、今だけ勝てればそれでいい。
「二つ目の罰ゲームでベロチューに続くアレを期待してたんだろうけど、それは次にしてあげないとね。次はどんな理由にしようかな」
ふと、美月の目にスイッチ4が映った。
「悠真くんにあげるつもりだったスイッチ4はここにまだあるから、また呼べるね。ていうか、毎回言い訳を用意してあげるのも大変なんだよ……」
別に言い訳はなんでもいいんだろうけど、待っててね、彼女になったらちゃんと教育しなきゃ。
◇◇◇
陸上の部活で悠真史上最遅記録を更新し続ける悠真。
「どうした、悠真、タイムが遅いぞ」
「すみません……」
「調子が悪いならしばらく休んでもいいんだぞ」
「はい……」
ゲーム仲間と集まってのマリカ大会。
「また悠真がビリ~」
「悠真弱すぎィ!」
「調子悪いのか」
そこでもずっとビリな悠真。
なお、スイッチ4はまだ誰も手に入れてないのでスイッチ3での対戦だ。
◇◇◇
「悠真、ちょっと最近疲れてる? いつもより遅いよ?」
「いや、大丈夫、だよ……」
終わったあとの布団で陽菜と並んで横になるが、なんとなくあまり乗り気になっていなかった。
陽菜とのキスもイマイチ物足りない気がするんだよな……。
◇◇◇
「悠真、最近おまえ何をするにしても上の空だな。顔色が悪いわけじゃなさそうだが、そんなんで次のテスト大丈夫か」
休み時間に健人が話しかけてきた。
「大丈夫、問題ないよ、たぶん」
嘘だ。
『今日はこれでおしまい。次に期待しててね』
という美月の言葉が頭から離れないからだ。
あの時のキスの感触。
それから次、と言われてどうしてもあれこれを期待してしまうからだ。
「……悠真、久々にサッカーの試合の助っ人で出てくれないか」
「いいよ」
「じゃあ、休みをつぶして悪いが、次の土曜日にグランドに来てくれ」
「オッケー」
「大丈夫なのか……?」
生返事を繰り返す悠真に、不審を覚える健人だった。
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