第16話 チェックしなければ
【1位:御影 悠真
2位:三浦 健人
3位:綾瀬 美月(初)
4位:模蒲田 茂部尾(3位→4位 )
……】
いつもの結果……ではなく、美月さんが3位になってたよ。
去年はほとんど順位に変わりがなかったのに、あっさりと割り込んできた。
模蒲田君が悔しそうにしている。
「そんな、この僕が……! いつか1位になってやろうと思ってたのに、トップ3から落ちるなんて信じられない。悔しい……! でもグラビアは買っちゃう……!」
買うのかよ。
なんとなくオチが読めたぞ。
たぶん、詩織のグラビア買ってあれこれしてて勉強する時間が減ったとかそんなんでしょ。
悔しいとか言いながら本人はうれしそうな顔でビクンビクンしてるぞ。
「……たかが中間テストの成績なんてどうでもいいでしょ。アイドルの癖に……!」
陽菜が怖いこと言ってるな。
陽菜自体は成績はいつも中間くらいだ。
よくもなく悪くもなく、こだわりはないって言ってたんだけど、ちょっとイライラしてるのには理由がある。
別にアレの日、というわけじゃなくて、最近陽菜への告白が少なくなったと愚痴をこぼしてるんだ。
僕と陽菜が付き合っていることはだいたい知られているけど、それでもワンチャン狙ってとかで告白されることが定期的にあったらしい。
手書きの手紙で呼ばれたり、学年ラインで告白を誤爆したやつがいたりとかあったのだけど、2年に進級して美月さんが転入してきたあたりから、告白もほとんどなくなったらしい。
んで、代わりに爆増したのは、美月さんへの告白。
情処の授業で配布される個人用アカウントを使って、みんなが美月さんあてに呼び出しとか告白メールを送りまくるので、美月さんのメールボックスは受信できる上限近くまで容量がいっぱいになってたらしい(本人から聞いた)。
消しても消しても毎日毎日メールが来る、と。
授業用だからあまり容量は割り当てられてないのに、添付ファイルで自作の歌や動画を添付してアピールしてくる生徒がいたからだって。
あんまりなので、
『学校で配布しているアカウントは、教育用なので教員が見ることを前提にしています。授業の内容に沿った、他の生徒に見られてもいい内容で適切に使用してください』
なんて内容が全校生徒に配信され、ついでに情処の教室にも張り紙された。
さすがに自作のポエムを見られるのはイヤだったのか、告白メールはほぼなくなった。
代わりに、美月さんの靴箱からはいつも大量の手紙があふれ出るようになった。
いつも笑顔の美月が一瞬だけため息をついた場面に出くわしたことがある。
直後に『みんなに言わないでね』って口止めされたけど。
やっぱり学園から
『貴重な紙の使い道をよく考えましょう』
と張り紙が出された。
あと、学年主任の大谷先生は、『あれは「無駄な告白はやめろ」っていう意味なんじゃねーの?』って投げやりになってた。
大人って大変だなあ。
◇◇◇
『見た? 3位になったよ。私、頑張ったんだ。来てほしいな』
『うん』
というわけで僕はまた美月の部屋に行くことになった。
なお、あまり機嫌がよくない陽菜は『あたしもう帰る!』と言って早々に帰っていった。
まあ、こういうときは冷めるまでほっといたほうがいい。
美月の部屋に入ると、二人分の飲み物がすでに用意されていた。
「最近暑くなってきたね」
「そだね」
今は夏が始まったばかり。
だけど、少し歩くだけでも汗をかくくらいに暑い。
「ちょっと着替えてもいい?」
「うん、いいよ。ここ美月さんの部屋なんだし」
「そういうことなら」
そう言って美月さんは上着を脱ぎ始めた。
「あ、いや、僕部屋を出て行くね」
まさか、この場でいきなり着替え始めるとは思わなかった。
僕があたふたしている間に、美月さんはあっという間に薄い白のシャツだけになった。
その下には、ブラが透けて見える。
「覚えてる?」
「何を?」
「私の胸が天然なのかどうか触って確かめたい、って言ったでしょ?」
あれ?
そんなこと言ったっけか、僕。
「で、私『また今度』って言ったから。今がその今度、だよね。だから責任とらなきゃ。どう、インスタフォロワー1000万人の胸は?」
うーん、でかい。
さすがインスタフォロワー1000万人の夢が詰まってる。
「あんまりじらすのもあれだし、シャツのボタン外すから待ってて」
そういって美月さんがシャツのボタンを手早く外していく。
ポヨン、と開放される胸。
シャツで押さえつけられていた状態でも大きかったのに……。
「さあ」
「え?」
「どうぞ」
いつもお読みいただきありがとうございます!




