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異世界新撰組  作者: ゆたぽん


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6/18

「揺れる気持ちと、新撰組の日々」


王都での生活にも少し慣れ、任務の合間には束の間の休息が訪れる。

新撰組の宿舎は質素だが、笑い声と活気に満ちていた。



◆ 朝の訓練――妙に機嫌のいい沖田


「迅くん、今日は妙に元気ないね」


木刀を振りながら沖田が余裕の笑みを浮かべてくる。


迅は肩を回しながら答える。


「いや別に……普通っすよ」


「ミリアちゃんと話した翌日だけ、落ち着きないよね?」


「は!? 全然関係ないっす!!」


沖田はわざと大げさに笑う。


「いや〜、あの子さ、昨日の資料の運搬手伝ってくれたんだよ。

その時に『迅さん、いつも無茶してませんか?』って心配してたよ」


迅は驚いて木刀を落としそうになった。


「……マジで?」


「うん。優しい子だよねぇ。

ああいう女の子、守りたくなっちゃうよねぇ?」


「沖田さん、その言い方やめてください」


「ん? 嫉妬?」


「してねえっす!!」


沖田は完全に楽しんでいる。



◆ 昼――ミリアと“別の誰か”が話している


任務帰り、迅が王城の廊下を歩いていると、

前方でミリアが誰かと話しているのが見えた。


相手は――


黒髪の青年・アレス

王城騎士団の若きエリート。

迅より背が高く、礼儀正しく、剣も魔法もできる褐色の好青年。


(なんであいつと……?)


近づくと、アレスは優しい笑顔でミリアに何かを渡していた。


「こちら、昨日落としていましたよ」


「あ……ありがとうございます。助かります」


ミリアが受け取ったのは――

迅が拾った“あのリボン”と似た布。


迅の胸がざわつく。


(なんだよ……なんで男が二人もミリアの落とし物拾ってんだよ……俺の時は偶然だったのに……)


アレスが気づいて声をかけてきた。


「おや、あなたは新撰組の迅殿ですね。

ミリアがよく話していましたよ」


「俺の話……?」


ミリアは慌てて両手を振った。


「あ、あれは……その……!」


アレスは続ける。


「迅殿の戦い方、興味深いです。

小柄なのにあの反射速度……訓練を見せていただけませんか?」


迅は思わず警戒する。


(なんでミリアの前で俺に興味示すんだよこいつ……!)


ミリアは気づかぬまま微笑む。


「アレスさん、迅さんは強いんですよ。私も助けられました」


その言葉に迅は照れるが、同時に胸がモヤモヤした。



◆ 夜――土方に心を読まれる


宿舎に戻ると、土方が帳面から視線も上げずに言った。


「迅、稽古が雑だったな」


迅はぎくりとする。


「そうっすか?」


「心が乱れると間合いがぶれる。

……何かあったのか」


なぜか、土方の言い方は叱責ではなく“相談を促す声”に聞こえた。


迅は言葉に迷い、口ごもった。


「……別に。

ただ、その……人間関係の……ことっす」


「ふん。恋沙汰か」


「!!」


土方は筆を置き、淡々と告げた。


「戦士は戦場で死ぬ。

だが、死ぬまでの時間を誰と生きるかは、自由だ」


迅は目を見開いた。


「……副長、そういうこと言える人なんすね」


「俺を何だと思ってる」


「鬼副長っす」


「殴られたいようだな」


「すみません!!」


だが土方は少し笑った。


「お前はまだ若い。

心が揺れるのは悪いことじゃねぇ」


その言葉は、重く胸に残った。



◆ ベッドの上で独りになると


迅は天井を見つめた。


(……ミリアが他の男と話しているのが気になっただけだ。

それだけのはず……)


だが胸のモヤモヤは消えない。


沖田の言葉。

アレスの優しさ。

ミリアの笑顔。

あの仮面の男の視線。


全部、引っかかって仕方がない。


「……なんだよ俺。

生まれる時代間違えたと思ってたけど……

恋愛とか、してる余裕なんてねぇはずなのに……」


そう呟いて、眠れない夜が続いた。


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