第4話 「王都の闇」
王国の首都——リュミエールが見えてきた。
巨大な石造りの城壁に囲まれた都市は、戦争の影響で荒れていたが、それでも豊かな文化を感じさせた。
新撰組の面々は門番に案内され、王城へ通される。
迅は緊張しながらも、初めて見る“異世界の文明”に圧倒されていた。
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◆ 王城・作戦司令室
新撰組は王国の将軍――ライオネルに呼び出される。
壮年の男で、魔力紋を刻んだ鎧を着ていた。
「君たちには治安維持部隊として働いてもらう。戦場の英雄という噂は耳に届いているが、ここは戦場ではない。規律が最も重要だ」
土方の眉がわずかに動く。
戦場ではなく、街の治安維持——
まるで彼らの生前の“屯所勤務”のようだ。
「王都は帝国の内通者に狙われている。市街地での魔法犯罪が急増中だ。
まずは市街の巡回から始めてもらいたい」
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◆ 市街地巡回
王都の街は、美しい石畳と市場の賑わいが広がる一方で、
裏路地には貧民街や魔力の闇市が点在していた。
迅は目を輝かせる。
「すげぇ……RPGの街だ……!」
沖田が笑う。
「君、そういうところだけ現代人だね」
斎藤は周囲を警戒しながら小声で言った。
「帝国の内通者は必ず潜伏している。油断するな」
土方は冷静に街を見回しながら歩く。
その背中を見て、迅は“本物の武士”をまた感じた。
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◆ 初めての事件
突然、石畳が光り、爆発が起こる。
商店街が混乱する中、魔力を帯びた少年が路地裏から逃げ出した。
「待てッ!」
迅が即座に追う。
しかし、土方が鋭い声で止める。
「追うな迅! 市街で魔法を使ったら被害が拡大する!」
「でも、このままだと誰かが死ぬ!」
土方の規律か、目の前の命か——
迅の心は揺れた。
少年は怯えた目で逃げる。
魔法の暴発。
制御できない魔力。
その背中には“犯罪者ではなく、ただの子ども”の影があった。
迅は全力で駆け出す。
「俺が助ける!」
土方の怒声が背後に飛ぶ。
「迅ッ!!」
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◆ 路地裏の攻防
少年の魔力が暴走し、壁が砕ける。
迅は飛び込み、子どもの手首を掴んで魔力の流れを抑える。
「落ち着け! 深呼吸しろ! 大丈夫だ、誰もお前を傷つけない!」
喧嘩で身についた“間合いの読み”が、暴走魔力のタイミングを察知させた。
迅は体を盾にして爆発を受け止め、少年を守る。
土方たちが駆けつけた時には、少年は迅の腕の中で気絶していた。
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◆ 王城にて——迅への叱責
土方は静かに言う。
「迅……勝手な行動は処罰ものだぞ」
迅は拳を握る。
「でも――あのまま放っておいたら死んでた。規律より命だろ?」
土方は長い沈黙の後、深く息を吐いた。
「……救いたいと思ったのなら、それは否定しない。
だが、隊として動く以上、独断専行は許されない。
次は俺たちを信じろ」
迅は目を伏せる。
怒られつつも、否定されなかった。
胸が熱くなる。
沖田がそっと言う。
「迅くん、君は優しいね。でもその優しさが強さになるといい」
斎藤は厳しい目で続ける。
「優しさと甘さを混同するな。強さとは、仲間を活かすことだ」
迅は深く頷いた。
——ここに、俺の居場所がある。
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◆ ラスト:王都の闇
その夜、王城の塔から街を見下ろした迅は、不穏な影に気づく。
黒いマントに身を包み、魔法紋を刻んだ仮面の男が屋根の上を疾走していた。
「……帝国の内通者?」
新撰組の新たな任務の始まりだった。




