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異世界新撰組  作者: ゆたぽん


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12/18

「転生武将の影――炎帝《えんてい》と呼ばれた男」



夜の王都。

月は雲に隠れ、重苦しい闇だけが広場を覆っていた。


その中央で、

一人の男が燃えるような赤い外套を揺らし立っていた。


炎のように逆立つ黒髪。

鋭い眼光。

甲冑ではなく異世界製の黒いマントに身を包んだその男を、

周囲の者たちは畏怖を込めてこう呼んだ。


炎帝えんてい


そしてその正体は――


「さあ行くぞ、我が軍勢よ。

この“魔王領”を攻略し、次は王都を取る」


焔のような声が響く。


背後には、

日本の戦国とは似ても似つかぬ――

だが確かに“忍”“武士”“傭兵”が入り混じった精鋭集団が控えていた。


その群れを束ねる男は、

にやりと笑った。


「――織田信長。異世界でも、天下を取る」


炎帝・織田信長。

彼もまた、迅たちと同じく転生者だった。



■ 転生武将の軍勢


信長の周囲には

異界の魔導甲冑や巨人族の重騎兵まで取り込み、

“戦国でも現代でもない”奇妙な軍隊が築かれていた。


「殿。王都の新撰組とやらが力をつけ始めております」


腰の低い忍が耳打ちした。


信長は愉快そうに笑う。


「ほう、新撰組か。

歴史の小道を歩んだ者たちが、異世界で何を成す?」


信長は空を見上げる。


「面白い。

この世界……我ら転生者を争わせるために生まれたのか?」


その言葉は、

何か“黒幕の存在”を知っているかのような口ぶりだった。



■ 転生者の連合軍


信長の傍らには、

今は影のように沈黙している二つの影があった。


ひとりは、

猫背で長い槍を背負う青年。


「信長公……そろそろ俺も戦場に出ていいかい?」


「焦るな。お前は切り札だ、上杉謙信」


もうひとりは、

重厚な鎧を身にまとった巨体。


「殿、我が巨兵隊も準備万端。

この世界の“城”など、紙のように崩れましょうぞ」


「ふん、頼もしいわ、武田信玄」


戦国最強の宿敵たちが、

今は信長の“異世界総軍”として同盟していた。


その異質な光景は、

この世界がただのファンタジーではないことを物語っていた。




信長は焚き火に照らされた地図を広げる。


その指が指したのは――

王都でも、魔王領でもない。


「ここだ。“封印の断層”。

この世界で最も危険な場所。

そして我ら転生者が“呼び出された理由”が眠っている」


謙信が笑みを浮かべる。


「理由、か。

やはり信長公、何か掴んでおられますね?」


「この世界は……

我らがいた世界の“続き”だ」


その言葉は、

一見意味不明のようで――

しかし、真実を突いていた。


信長は薄く笑う。


「我ら転生者は、この世界を救うために呼ばれたのではない。

選ばれ、試され、互いに戦わされるためだ」


焔がゆらりと揺れた。


「だからこそ……

この異世界の“創造主”を斬る。

それが我が新たな天下布武よ」




信長はふと、地図の端に描かれた紋章を指差す。


「この紋……最近、王都に現れたという異界の剣士のものか?」


忍が答える。


「はい。“アサギ色の羽織の集団”だとか」


信長の笑みが深くなる。


「ほう……

どうやら、この戦いも面白くなりそうだな。

新撰組――貴様ら、この炎帝を楽しませてみよ」


その眼には、

“笑いながら世界を焼き尽くす”ような狂気と覇気が宿っていた。

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