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雪が迎えに来る

作者: 玉白美琴

冬にホラーをお届け

寒い雪の朝を見ると、僕は10年前のあの日を鮮明に思い出す。


当時の僕は、我が子を出産した妻が実家に帰ったばかりで気が高ぶって居た。


刹那的な刺激が欲しくて、とある行き付けのキャバクラに通っており、当時No.1キャバ嬢の女と浮気をして居たんだ。


所が、数ヶ月経って妻が帰って来る事になり僕は慌て別れを切り出す。


だが、女は俺にすがりついて離れず、妻にも暴露するなんて言ったものだから、カッとなって気付いたら首を絞めて殺していた。


俺が犯人だとバレると不味いし、だからと言って足が付いたり、妻にも迷惑を掛けるのも不味い。


だから俺は、レンタカーに死体を積んで雪の中、ダム湖へと向かった。


この季節、立ち入りは禁止されてるから人が近付く心配はない。


遺体の四肢に重りをくくりつけ、俺は遺体を雪に閉ざされたダム湖へと放り投げる。


遺体は重りで表面に張っていた表面を壊し、雪は周りの雪と共にぶくぶくと沈んでいく。


良かった、これで全てが上手く行く。


俺は安堵して、それから10年間過ごした。


だが、毎年になると何故かこの時期に思い出すんだ。


いつか雪が迎えに来るかもしれないと、思うようになってから……。


そんなモヤモヤした日々が続いたある日、それは深夜家に帰宅した時だ。


送別会で飲み、覚束無い足取りで俺はリビングまで来ると、どかりとソファーに座った。


家族は眠って居ると思い、深夜やっているお笑い番組を見ていた時。


不意に何かノイズが走り、テレビの画面が消えると、散発的になるラップ音の後、家にある全ての電化製品の出力が落ちた。


……雷でも落ちたか?そういや、冬の雷は夏の雷と違って低いとテレビで言っていたな。


そんなことを思いながら俺が立ち上がった時。


ヒタヒタヒタと足音が聞こえ、俺はゾクッと悪寒が走った。


『やっと見付けたわ』


「っ!?」


その声に振り返ると、全身びしょ濡れの女が俺の背後に立っていた。


「ひいあっ!?」 


びっくりして俺は尻餅を就く。


『酷いわ。寒いダム湖の中に私を沈めるなんてね。でも私が来たから大丈夫。一緒に逝きましょう?』


女は笑って俺に手を出して抱き着く。


そう。


俺が殺した雪が迎えに来た。 


「やめろ……嫌だ……うわあああ!!」


俺の叫びは誰にも届かず、俺も意識を失った。


最期に見た光景は、ダム湖の中に彼女と沈む自分の光景。


俺はこの世界から死んだ。


雪が迎えに来たからだ。

わおわお(* ´ ▽ ` *)ノ

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