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ヲタッキーズ137 2人は量子もつれ

作者: ヘンリィ

ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!

異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!


秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。

ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。


ヲトナのジュブナイル第137話「2人は量子もつれ」。さて、今回は秋葉原の豪華住宅街で残忍な殺人事件が発生、敏腕警部を欠く警察は全力で捜査に臨みます。


データ解析の結果、背後に潜む異常心理から連続殺人鬼の存在に気づくヲタッキーズでしたが、その時、既にシリアルキラーの魔の手は…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 未解決連続殺人


ホントにココは東秋葉原なのか?


アキバのダウンタウン。犯罪多発地帯に孤島のようにある高級住宅街。俗に"upper east side"と呼ばれてるエリア。


「いってらっしゃい」


青々とした芝生。大きなSUV。出かけて逝く夫に笑顔で手を振る美しい妻。アメリカンならぬアキバドリームの世界。


「さ。お掃除ょ」


彼女は"blood type BLUE"。異次元から来た妻が家に消えるのを見届けて、バンから降りる赤キャップの作業員。


数分後。


赤キャップの作業員は、バンのバックドアを閉め走り去る。

途中すれ違った新聞配達に手を挙げ会釈。見送る新聞配達。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


パトカーの赤いランプが忙しなく回転スル。非常線が張られて、制服警官が野次馬を押し返す。

ココは殺人現場。でも、家の中は荒らされていない。フロアにガラスの割れた家族の写真立て。


ベッドに俯せの美しい妻…の死体w


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ルイナは、史上最年少で首相官邸アドバイザーになった超天才だ。彼女のトレードマークは車椅子にゴスロリ。

女性、拘束、ロープ、絞殺。新聞の見出しと警察から届いた現場写真を見ながら地図に赤い点をプロットする。


「夏休みの自由研究みたいょクスクス」

「スピア。万世橋(アキバポリス)管内では、現実に24件の未解決殺人が起きてる。手口や被害者はバラバラだけど、被害者は男女キレイに半数。20件中4件は絞殺。3件は撲殺。後はひき逃げやら何やら」

「で、どーしたの?また何かの思考実験?」


ルイナのラボに入って来たのはスピア。相棒のハッカーだ。

ジャージ姿だが、その下は…多分トレードマークのスク水w


「私、ラギィが刺されて考えたの。犯罪を全て分析出来るアルゴリズムが必要だって。手始めに、24件に共通スル時系列パターンを見つけてみる」

「24件全部に共通するパターン?」

「YES。地球外知的生命体探査(SETI)に採用されてる概念を使うコトにした」


スピアは苦笑い。何の話やらw


「あのね。ソレほど突飛じゃないの。宇宙には、絶え間ない背景放射がある。SETIでは、宇宙の雑音の中から、複雑で反復的な信号を選り分ける必要がアル。生命体による人為的パターン、つまり"文明のつぶやき"を探すワケ。このアルゴリズムで犯罪パターンを分析し"時空視覚化モデル"を作ってみた。配列は"半太陰周期"で計画、監視下で軟化した欲求を示してる」

「でも、24件の手口と標的はバラバラなんでしょ?ソレから、万世橋(アキバポリス)のラギィ警部が刺されたのは、ルイナの責任じゃ無くて…」

「この24件、連続殺人だと思う。かなり特殊な」


遮るように断言するルイナw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)のギャレー。


「24件全部、連続殺人犯の仕業らしいぞ。"ゴスロリ姐さん(ルイナ)がパターンを見つけたらしい」

「マジかょどうやって?」

「何でも宇宙からの信号らしい」


コーヒーブレイク中の刑事達はポカンと口を開ける。


「姐さん、大丈夫なのか?奇抜過ぎる」

「予測を外してラギィ警部が刺されて以来、ラボにこもり、この5日間アルゴリズムにかかり切りらしい」

「典型的な心的外傷後ストレス障害による過剰警戒だ。危険は無いのに、常に何かを怯え過敏に警戒してる」←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


当のラギィ警部は"外神田ER"に入院中だ。

僕は、推しのミユリさんとお見舞い訪問中w


因みにミユリさんはメイド服。ココはアキバだからね。


「連続殺人だって?署の連中から聞いたわ。私は過剰反応だそうょ」

「ヤメろょ。ラギィは少しも悪くナイ」

「…知ってる」


下を向いてニヤリと笑うラギィ。大丈夫そうだ。


「そっか。じゃもう前へ進めょ」

「そーゆーテリィたんは前へ進んだの?」

「僕は刺されてナイ。全てを解決スルのは未だ先だ」


傷跡をさすりながら微笑むラギィ。萌え。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"萌えるゴミの日"だ。デポを回収して回るゴミ収集車。

収集員がゴミ箱を開けようとしたら人の足がハミ出てるw


「タイヘンだ!誰かいるぞ?」


フタを開けると…虚ろな目をした新聞配達の死体。


第2章 2人は量子もつれ


殺人現場にヲタッキーズが"舞い降りる"。


「ヲタッキーズ、悪いな。多分"リアルの裂け目"絡みでウチ(万世橋警察署)との合同捜査になりそうだから」

「OKょ刑事さん。で、状況は?」

「新聞配達のアジアンが至近距離から頭を撃たれた」


現場のエアリ&マリレは空飛ぶ系のスーパーヒロインで、エアリは妖精担当、マリレはロケットガール。共にメイド服w


ヲタッキーズはメイド服が制服だ。


「なぜ路地裏に?」

「近道らしい。犯人は、新聞配達のコースを知っていた。ヲタクのセンセが来てる」

「ヲタクにセンセなんかいないわ。誰?」


刑事は、ルイナが映るスマホを示す。


「あ、エアリ。未だ変則的なマイクロクラスターだけど総合的なパターンはかなり規則的なモノになると思う」

「(相変わらズ何言ってンのかワカンナイわw)クラスター殺人って頻度は?」

「年に2〜3件かしら」


メイド2人は顔を見合わせる。


「ソレだけ?」

「異常値だし。マクロパターンは統計的にアウトなのょ」

「とにかく!解析結果を待ってるから」←


リモートを切ったルイナは、ラボで独り言。


「早く時系列パターンを見つけなきゃ。絶対に連続殺人だと思うけど」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「一方で、パターンが命取りだと犯人は知っている。だから手口、凶器、標的を意図的に変えてるのね。繰り返さないからパターンは無い。誰も連続殺人犯だとは気づかない」

「わかった、ルイナ。で、私にどうしろと?」

「とにかく、データが欲しいのょ」


ストリート育ちのスピアの腕の見せドコロ。

温室育ちのエリート超天才とは人脈が違う。


「OK。連続殺人について、ヤタラと調査してるヲタクがいるわ。ソレも驚くほど広範囲にょ」

「連続殺人ヲタク?」

「うーん異常犯罪ヲタクって感じ?最近、桜田門(けいしちょう)の捜査にも協力したって」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「こんにちは、ピシラ・コスン」

「ようこそ、カリスマハッカーさん」

「お会い出来て光栄ょ」


しかし、ピシラは…太めだ←


バットガールのコスプレだが…コルセット風のトップスは既にボンレスハム状態、胸のコウモリがヤタラと横にワイドw


「後ろのケージの鍵をかけて。ホラ、ココは秘密基地でしょ?極秘情報を扱ってるから。で、手錠は持っ来た?"真実の洞窟"にようこそ。気に入った?イケてる?」


壁に並ぶ機械は茶系が多くて、歯車が回り蒸気を噴く。

スチームパンク風のバットケーブ?嫌いじゃないけどw


食べかけのスナック菓子を差し出すピシラ。


「食べる?」

「ダイエット中」

「私もょキャハハ…ねぇコレ聞いて。もうすぐ始まるわ」


壁に並ぶクルクルとリールが回る機械は、コンピューターの模型かと思ったら、オープンリールのテープレコーダーだw


「ロシア人からUFOの音をもらったの。コードネームはティガ・ウッズ。今夜ポッドキャストで流す予定ょ」

「あのね。悪いけど、私の用件と言うのは…」

「連続殺人鬼でしょ?超能力で分かった…うっそ。超能力なんて冗談ょ。桜田門(けいしちょう)のおまわりさんに聞いたの。やっぱり私達は組むコトになったわ」


スピアが釘を刺す。


「組んでないから、私達。ただデータを集めたいだけ」

南秋葉原条約機構(SATO)がついに動いたのね。連続殺人についてブログに描いたのが効いたわ。座る?」

「no thank you」


断るスピアを尻目に、でっぷりとチェアに座り込むピシラ。

チェアはリクライニングの極限までタワみ辛うじて耐えるw


「坐り心地が気に入ってるの。見て。この2件の殺人は時系列パターン通りょ。ソレから、ホテルに合うものを探してみたら…あら?何かご不満かしら」

「バットガール。私はデータが欲しいだけ。貴女の推理に用はナイ(きっぱりw)」

「そ。じゃお出かけしましょ」


よっこらしょ、と立ち上がるピシラ。

チェアは巨尻のカタチに凹んでいるw


いや、潰れている←


「どこへ行くの?」

「連続殺人鬼のデータを集めてる人のトコロ」

「ソレが貴女じゃナイの?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その公認会計士のオフィスは神田花籠町にアル。


「ジーン・エバンょ」

「うーんコレって捜査の巨頭会談って感じね。ジーンは米国の公認会計士免許を持ってるの」

「もうとっくに引退してる。ソレに税金の書類ナンて巨頭が扱うモノとは言えないわ。巨乳でもないし」


謙虚だ!でも、この人も陰謀論者なのだw


「ジーンは、いわゆる"協力者(ボランティア)"。大量に発生スル失踪事件や未解決の殺人は、当局も持て余すから、実は何百人と言う民間人が、ボランタリーにデータ収集を手伝ってる。あの有名な連続殺人鬼"ゾディアック"も継続捜査中ょ。ジーンは、既に4件の失踪と殺人を解決してる」

「協力したと言った方が正確ね。本職は会計士だけど、もう辞めたから…でも、数年前、イタズラ電話がかかって来てから家族が怖がって」

「…情報をいただけると助かります」


ココは下手に出るスピアw


「貴女達の話を聞いて、実は思い当たるフシがアル。秋葉原ではなく、乙女ロードでの事件だけど。しかも、10数年前」

「どんな事件ですか?」

「時系列パターンが似てるし、被害者の日常が熟知されていた。ソレに決定的なのは、犯人は絞殺スル時に被害者の首をロープで"コンストリクターヒッチ"を使って絞める。アレはシンプルだけど、難しい結び方なの。1度結ぶとなかなか解けない」


巨体をクネらせるピシラ。


「わぉ少し気味が悪いわ」

「ジーンさん、ソレを警察に話しましたか?」

「ええ。ドリス・コリス刑事にね」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ラボ。スピアの留守にルイナを訪ねる。


「テリィたん!私、事件の穴を埋めたい。もう誰も傷ついて欲しくないの」

「おいおい。煮詰まってるみたいだけど、過剰反応じゃないのか?」

「理論は正しいの。過剰反応と言われても構わない」


やれやれ。ホントに煮詰まってるようだ。少し事件に思い入れし過ぎでは?ソレとも、コレはカタルシスって奴なのかw


「仮に時系列パターンが合ってると仮定スルわね。この中に連続殺人犯(シリアルキラー)が潜んでいるとしたら、なぜ異常値やマイクロクラスターが出るのかしら」

「ソレは、完璧なパターンなんて世の中にナイってコトさ。ルイナは、いつも厳密にパターンで立ち位置を図ろうとスルけど、宇宙も人間も"ゆらぎ"や"もつれ"に満ちている。もっと定石で前広なアプローチがあっても良いと思うな」

「テリィたん。その説教、前にも聞いたわ」←


僕は、天を仰いで肩をスボめる。


「万事はくり返す。宇宙論の王道だ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"外神田ER"。スーパーヒロインに刺された万世橋警察署ラギィ警部の回復は順調…バイタルモニターにルイナの顔w


きっと相棒でハッカーのスピアがハッキングしてるw


「ちょっと、ルイナ!私の心拍数が見えないンだけど!血圧も」

「大丈夫。コッチでモニターしてるから…噂の連続殺人鬼だけど、私って"変人"かな」

「(当たり前でしょw)カムラ・ロスモを知ってる?」


変人扱いには長けているラギィ←


「あのね。私の先輩で"地理的プロファイリング"を確立した刑事なの。ロスモが見つけた連続殺人犯も、いつもパターンを隠してた。いわゆる"ステルスプレデター"ね。でも、当時の警察は気づきもしない」

「マジ?」

「ロスモ刑事は、ルイナと同じくパターンに沿って考えた。でも、当時の警察は、事件は単独犯との先入観から、ロスモを杜の都に左遷した。彼が正しいと分かり、急いで秋葉原に呼び戻した時には、既に腐女子31人が犠牲になっていた」


世に逝う"昌平橋キラー"だ。


「ロスモ先輩は、左遷前の推理に基づきキラーを逮捕」

「先輩の方法論を是非とも拝見したいわ」

「そう言うと思った」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その夜の"潜り酒場(スピークイージー)"。


御屋敷(メイドバー)のバックヤードをスチームパンク風に改装したらヤタラと居心地良くて僕は入り浸り。メイド長(ミユリさん)はオカンムリだw


「テリィ様。いつまでココに?」

「え。ココは僕の場所だ。オーナーだぜ?」

「久しぶりのアキバでしょ?お出掛けされては?」


僕は、第3新東京電力初の宇宙発電所長だ。2週間に1回のペースでアキバに帰って来る。その度に事件が発生スルけどw


「ココが良いンだ…しかし、ラギィが刺されるとはな。ミユリさん、良く冷静でいられるね」

「命は助かりましたから」←

「やれやれ。しかし、量子テレポーターってホントにいるんだな。ラギィは何か逝ってた?」


ミユリさんは意味深なコトを逝う。


「もう仕事に縛られてない気がスルって逝ってました」

「何だソレ?薬のせいかな?」

「テリィ様、どちらへ?」


僕は、メイド長にお出かけを告げる。


万世橋(アキバポリス)。少し悪夢を見て来るょ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


朝焼けが窓を染めるパーツ通り。蕩児がリアル帰宅w


「ただいまー…ルイナ、大丈夫?徹夜したの?」

「あ、スピア。今"非ランダム信号"を探索したトコロ。シリアルキラーは、用心深くて抜け目がないコトがわかった。恐らく3つの地域で活動してる」

「やはり連続殺人犯なの?」


車椅子の超天才は、深く思索をめぐらす。


「ジーンとロスモのおかげでわかった。相手は"ステルスプレデター"ょ。犯行現場が偏らナイように、慎重に移動を繰り返してる」

「利口な殺人犯てワケね」

「10数年かけて、慎重に池袋の乙女ロードから秋葉原へと移動してる。そして今は…この東秋葉原ね」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


公認会計士オフィスを早朝訪問。


「朝の7時に呼び出すなんて非人道的だわ」

「必要なデータを貴女が持ってるからでしょ?」

「ゾディアックの8番?」


ドアをノック…ん?薄く開いてる?


「ジーン?いないの?」

「車庫かしら」

「車はアルみたいだけど」


ガレージを開けて中に入る。


「あぁ!何てコト!」


ドライバーズシートのジーンは、頭からビニール袋をピタリと被せられて、大きく目を見開いたママ、窒息死している。


第3章 量子もつれを追え


「ジーン・エバンは、マイクロクラスターだわ。彼女は連続殺人データのコレクターだった」

「ルイナ。偶然通りかかった目撃者がいるみたい。似顔絵がアル。この男が連続殺人鬼かしら」

「うーんエバン殺害の時に何かを探してた可能性もアルわ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の捜査本部。ジーンの兄は怒っている。


「妹は善良な人間だった。こんなコトは許せない」

「何か心当たりは?」

「まさか。知らないのか?妹は会計士だったが、税金処理のミスで貯蓄を失ったと悪い客に絡まれてた。脅された妹は、裁判所から接近禁止命令をとった。調書もある」

「その男の名前は?」

「マーク・ホーン」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


一方、現場ではエアリ&マリレが聞き込みを続ける。


「エバン宅で誰かを見かけたそうですね」

「この男ですか?」

「メイドさん、暗かったんだ。おまわりさんにも話したが、上着を着てフードを被ってた。でも、確かに…うーん確かに似てるな」


エアリが示す似顔絵に大きくうなずく御近所。


「助かりました」

「で、もう逮捕したのか?」

「未だです」


露骨にイライラする御近所。


「おいおい。私の家族は安全か?次の標的はウチか?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ルイナのラボに…太めのバットガールが見参。


「何者?夏コミに向けたコスプレの合わせ?」

「No!私は、ピシラ・コスン。人は私をバットガール、時たま、ソレも、ごーくマレにだけど、陰謀論者とも呼ぶわ」

「あ、スピアから聞いてる。バットガールの方はワイド版というコトでギリギリ許すけど、陰謀論者の方は何か証明出来る?」


渡りに船と喋り出すピシラ。


「"時間(タイム)ナチス"が北極で飛ばしてるUFOの動力システム"ライマンα放射の光電フライト"について語る?」

「意味不明だわ。ところで、何で(ワイド版のw)バットガールなのに、腰に箸置きをぶら下げてるの?もしかしてマイ箸?自然保護派なの?」

「あ、コレ?コレは"月に代わって…"」


ココで超天才と陰謀論者は異口同音w


「"箸置きょ!"」


やったー!ヒロインAV"セーラーモーン絶"のキメだ!

でも、2人があんなマイナーAVを見てるとは!感激だ←


ハイタッチしたルイナ&ピシラはスッカリ打ち解ける。


「私は、貴女の助手のスピアさんと極秘の捜査をしてるの」

「聞いてる。貴女が異色の主張を持つ人ね?」

「陰謀論ヲタクとか呼ばれる」


目を伏せるピシラ。しかし、ルイナの反応は想定外。


「私達、超天才って、今も昔も、常に社会からは拒絶されてきた。ソンな私達を唯一受け入れてくれるのが秋葉原、この街ょ。この街なら、ゴスさえ着ていれば、誰でも対等なヲタクでいられる。陰謀論者も中央通りを歩いて良いの。だから秋葉原では目を伏せないで」

「貴女も仲間なの?OK。今から私のコトはヲタクでなく、陰謀論者と呼んで欲しい」

「ROG。陰謀論者を歓迎スルわ。ただし、未確認動物にだけはどーしても興味が湧かないの」


太めのバットガールは1歩も引かない。


「私のビッグフットのサイトを見れば、貴女は絶対に気が変わるわ」

「どうせゴリラの着ぐるみでしょ?」

「せめてコスプレって言えないの?ソレでも天才?」


大笑いスル2人を見てラボに入って来たスピアは面食らうw


「貴女達、何を打ち解けてるの?ピシラ、"乙女ロードのナンシ"の話はした?」

「誰ソレ?"夏色の…"じゃなくて?」

「ルイナの"移動スル連続殺人犯説"をジーンが構築しかけてた連続殺人鬼データベースと照合して、被害者第1号を特定してみた。15年前、JKが"コンストリクターヒッチ"で絞殺されてる。池袋の乙女ロードで」


亡くなったジーンの遺産が生きてる。コレは弔い合戦だw


「被害者第1号として特定スル基準(スタンダード)は?」

「スタンダード!何て素敵な響きなの…連続殺人鬼の最初の活動範囲は池袋でしょ?その界隈の連続殺人データをジーンが丁寧に調べてくれてる」

「でも、同じ池袋だからってクラスターと結びつくかは、別の次元の問題ね。ソレにコンストリクターヒッチだけでは犯人と断定出来ないわ」


ピシラは、全く意に介さない。


「いちいち断定してたら陰謀論者は務まらない。だから、

大事なのはソコじゃなくて、彼女が被害者第1号なら、犯人は彼女の顔見知りである可能性が高いってコトに注目ょ」


ハッとして検視報告書に目を落とす超天才。


「248ページょ超天才さん。絞殺されたナンシの彼氏のトコロに、犯人を名乗る男から脅迫電話があった、とアルわ。シリアルキラーと直接話した人がいるの。そして、恐らくその人は未だ生きてる。ねぇコレってブレークスルーだと思わない?ねぇ私、プロの陰謀論で食べていけるかしら。この秋葉原で(太めだけどw)」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の捜査本部。


「公認会計士ジーン・エバンの顧客マーク・ホーンは、エバン宅の近くで事件当日、給油してる。防犯カメラにバッチリ写ってるのを発見」

「でかした!なーんだ。やっぱり連続殺人じゃなかったな」

「コレで、この事件も解決だ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


夕暮れの東秋葉原、和泉パーク。ブランコで遊ぶキッズ。


「待て。俺は何もしてねぇ」

「そりゃ意見の不一致だな。じゃ署までご同行を」

「逮捕理由はないハズだぞ」

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の取調室。


「娘を見に行っただけだ。逮捕されるナンて」

「母親の許可が必要だろ?」

「俺の娘だぞ」


叫ぶマーク・ホーンに取調官はニベもナイ。


「アンタは親権を放棄してるだろ」

「俺は、自分の権利を主張したいだけだ」

「接近禁止命令に背いてまでか?」


溜め息をつくマーク・ホーン。


「おかげで俺は蔵前橋の重刑務所行きさ。でも、俺は被害者だ。警察が捕まえる相手は俺じゃない」

「じゃあ誰だ?」

「エバンだ。ジーン・エバンさ」


吐き捨てるように逝う。


「彼女は殺された。そして、お前は彼女の家に行ったトコロを目撃されてる。画像もアル。何ならネットにUPしてやろうか?」

「通り掛かっただけだ」

「眠たいコトを言うな。接近禁止命令を無視してエバンの家に侵入しただろう?」


頭を掻きむしり立ち上がるジーン・エバン。


「資料のためだ!殺しちゃいない。国税庁に訴えるためには奴の資料が必要だったんだ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その夜の"潜り酒場(スピークイージー)"。


「ミユリさん。バットガールと会って来たょ」

「厄介系ですょね。ルイナに分析のミスを見つけさせて、手を引かせるしかありません。太めだし」←

「ルイナとは、すっかり打ち解けたらしいょ。ラボで連続殺人の統計分析とか手伝ってるらしい」

「テリィ様、かなり彼女に執着してますね。太めだし」

「あはは。確かに手に負えないょね」

「でも、テリィ様が執着するのも無理ないわ、太めだし」

「ミユリさん…何か誤解してないか?あはは」

「納得の逝く御説明を。テリィ御主人様」


ミユリさんが僕を御主人様と呼ぶ時は要注意w


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


再び万世橋(アキバポリス)の捜査本部。


「マーク・ホーンは事件当時、現場近くにいた」

「しかし、尋問の様子じゃあ奴はシロだな」

「マイクロクラスターの発生場所からも離れてる」


ラボからリモートで割り込むルイナ。


「なるほど。既に1度逮捕されてるマークは、エバンを殺せば真っ先に疑われる。ソレなのに、逃げも隠れもしてない」

車椅子のゴス姐さん(ルイナ)の解析では、犯人は用心深く、しかも丹念に被害者を調べるンだそうだ。エバンの殺害は、新聞配達の殺害と同じで念には念を入れた結果か?」

「殺害当日、新聞配達は3時間遅れでスタートした。つまり、殺された新聞配達は、犯人を目撃したンだ」


そして、犯人に消されたのか?


「新聞配達が目撃者ならエバンは?」

「事件の2日前、池袋警察がネットで捜査の再開を発表してる。"春の未解決事件キャンペーン"の目玉として」

「ソレを知ったマイクロクラスター犯が証拠隠滅に走ったワケね?」


このリモート発言は、同じくラボにいるピシラだ。


「でも、アルのは状況証拠だけか」

「統計も数学も所詮は状況証拠にしかならない。でも、パターンでは次の殺害は48時間以内ょ」

「動くしかないわ。私が責任を取る」


最後のリモート発言は、病床のラギィ警部からw


「OK!ボスのGOが出た!move!」


全員が一斉に走り出す。


第4章 ビショ濡れのメイド服


で、僕が着いた時は捜査本部はモヌケのカラ。


「テリィたん、今頃何しに来たの?」

「ルイナが言ってたけど、犯人は、何週間にもわたってターゲットストーキングをしてルンだって」

「殺害前には必ず不審者が目撃されてる」


僕を待ってたのは、ヲタッキーズのエアリ&マリレ。


「犯人は、ワザと姿を見せて怯えさせてルンだ」

「通報されても?」

「そのうち、警察も相手にしなくなる。思う壺だ」


ドン引くエアリ&マリレ。


「テリィたん。連続殺人鬼の心理にヤタラ詳しいね」

「海外ドラマじゃ定番だからな。連続殺人鬼モノ。デススターとか」

「ソレ、スターウォーズ。そーじゃなくてデクス…」


僕は遮るように咳払い←


「単なる街のゴロツキなら不審者の届け出が出てるハズ」

「東秋葉原じゃソレこそ毎週何100件と出てるわ」

「30代半ばの夫婦が狙われ易いのは、1戸建てを買ったばかりでセキュリティが甘いからだ」


ナイ知恵を絞るヲタッキーズ(エアリとマリレ)ヲタッキーズCEO()


「車を隠せる幹線沿いの家とかヤバいカモ」

「東秋葉原の場合、昭和通り沿いってコトょね」

「大分絞り込めた!あとはルイナにやってもらおう」←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻。ルイナのラボ。


「だから、ルイナの解析からは、被害者第1号が抜けてるワケょ。重大なデータ欠損だわ」

「うーん15年前に乙女ロードで殺されたナンシ・ランサは、クラスターには結びつかないと思うの」

「ごめん、ルイナ。私はバットガール(太めw)に賛成せざるを得ないわ。被害者第1号は、恐らく関与がアル」


相棒のスピアがルイナと意見を異にスル。珍しい。


「カリスマハッカーが私に賛成した!」

「パターン化しないからって乙女ロードのナンシを外したけど、そんな理由で除外して良いの?」

「うーんナンシが有効なデータだと言うの?」


珍しいコトにルイナの自信が揺らぐ。

反対に意味もなく勢いづく陰謀論者w


「ルイナ。貴女が遠い星々から届く光は過去のモノだと教えてくれた。数百万または数十億年かけて地球に届く光は、宇宙創世の頃の光。1600年の関ヶ原の戦いでUFOが目撃され、初めて地球外生命の超光速飛行が証明されたの!」


だから何だ?笑


「本題に戻るけど、ナンシが第1号なら、犯人がその後の犯罪で何を隠すかがわかる。ナンシ殺害の犯人は、彼氏に脅迫電話をかけた。連続殺人鬼の声を聞いた人間がいるってコトでしょ?」

「わかった。じゃピシラは、その線で陰謀論の仲間に当たって。私はテリィたんに話してみる。あ、ちょうど電話がかかって来たわ。もしもし?テリィたん?」

「もしかして、私が役に立ったカモだけど、ホントに役に立ったのは占星術だから!」


すると、超天才はスマホのマイクを押さえて話す。


「占星術じゃ無いわ。天文学ょ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ほとんど女子トークのノリでリモート会話は続く。


「え。占星術?ルイナ、占星術にハマってんのか?"13"星座占いなら任せて…ジーン・エバンに続く連続殺人犯について調べてた刑事がいた。名前はドリス・コリス。調べたら去年死亡してルンだけど」

「まぁなぜ?」

「プールサイドでバナナの皮を踏んで転んで頭を打ってプールに落ちて溺死。なぁ思いっ切り怪しいと思わないか?」


いつもは、この手の話は生理的に嫌悪するルイナだが、珍しいコトに興味津々って感じで先を聞く。何かあったのかな?


「テリィたん。ソレ、全速力で怪しいわ。地元警察は?」

「池袋警察だけど、最近まで連続殺人だとは夢にも疑ってなかったみたいだ」

「ダメじゃん。でも、当時の報告書に何か描いてアルかも」


僕はエアリに目配せスル。


「取りに行ってもらうょ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻の"潜り酒場(スピークイージー)"。


「ミユリ、それは?」

御屋敷(メイドバー)の改装プランょ。手伝ってょラギィ」

「もちろん」


ミユリさんは、ラギィをリモートお見舞い中だ。


「少しレトロフューチャーにしたい。やっぱり時代は流線型だと思うの」

「え。テリィたんはOKしてるの?」

「ミニスカ全盛時代への懐古ょ文句逝うハズない」←


誤解だ!…まぁ確かに文句はナイ←


「連続殺人鬼の捜査、進んでるかしら」

万世橋(アキバポリス)は総出で不審者の聞き込みをやってるそうょ」

「そう。刺されたのが、ずいぶんと昔に思える。でも、私がいなくても捜査は進むわ。心配は無さそうね」


言葉とは裏腹に少し寂しそうなラギィ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


翌日。捜査本部からアプリで呼び出しを受けるルイナ。


ゴスロリ姐さん(ルイナ)、我々は、東秋葉原で不審者の通報があった家を全件調べてる。姐さんの方は、何か進展はナイか?」

「私も、過去の連続殺人を"クラスター分析"して、犯人の活動領域を3つに絞った」

「ホントか!見せてくれ!」


直ちに画面は…数式がギッシリw


「な、なんなんだ姐さん。宿題の答え合わせか?」

「だから!ホットゾーンの有効性を統計解析から導いた数式で証明できたの!」

「頼むょ姐さん…」


頭を抱える刑事達。広がる失望、呪詛…僕の出番だ。


「タマには僕に語らせてくれ。例えば、スプリンクラーから水滴が落ちる場所は予測出来ナイ。でも、落下パターンからスプリンクラーの位置は割り出すコトは出来るょね?」

「つまり…犯人の家が分かるのか?」

「YES。この3つの地域に住んでた可能性が高い。海外ドラマだと絵に描いたような幸せな家庭を設けてルンだが、実はその彼こそが連続殺人鬼デススター…」


ソレはスターウォーズw


「OK、テリィたん。不審者の届出、警察調書や資料と比較照合を行う!」

「さすがはラギィの部下だ。優秀だな!因みに、ルイナが弾いた確率は最高で23%だ。今回の統計解析においては、23%は十分に有意とされる」

「数字以外は全て了解した」


またまた活気に沸き返る捜査本部。


「警部の弔い合戦だ!move!move!move!」


未だラギィは死んでナイょw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その夜。張り込み中のヲタッキーズ。


「ヲタク好みのブロンド美女ユリア・ディーツェの声優を甲斐田裕子が務めたイフ系SF映画は?」

「"アイアンスカイ"ね」

「何でわかっちゃうの?」


神田練塀町の雑居ビル屋上。蛇のようにのたくるダクト。唸る年代物の空調機の横で張り込みを続けるエアリ&マリレ。


「うーん実は5回ほど見たわ」

「さすが"時間ナヂス"ね。アレ、実話なの?もしかしたら、マリレも出演してたりして」

「あのね。私は国防軍だから!」


向かいの雑居ビルの3階で中年夫婦がノンビリTVを見ている…ところが、その玄関の扉をピッキングする怪しい人影w


"ひとっ飛び"で窓から飛び込むヲタッキーズ!


「ヲタッキーズ!動くな(don't move)!」

「キャ!空飛ぶメイドさんが窓から飛び込んで来たわ!撃たないで!」

「何ゴトだ?」


ピッキング男が手榴弾を投げると辺りに白い蒸気w


「"サイキック抑制蒸気"?しまった、私達のスーパーパワーが使えないわ!」

「レナドなの?娘の友人のレナドょね?何してるの?」

「ただのイタズラです」


妻の甲高い悲鳴。窓から隣の雑居ビルに飛び移るレナド?

屋上から屋上へ巧みに飛び移って、マンマと逃走に成功w


「奴を見た?」

「いいえ。暗くて良く見えなかった」

「まさか対ヒロイン手榴弾を持ってるナンて!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"外神田ER"の病床で報告を受けるラギィ。


「ラギィ、ごめんね。車を捨てて走ったか、別の車で逃げたみたい。予め逃げ道を確保してた」

「OK。で、エアリもマリレも無事なの?」

「恥ずかしながら」


ホッとするラギィ。


「またかけ直すわ。ヲタッキーズ、thank you …ミユリ、犯人を逃したらしいわ。貴女が太めに過敏反応してダダこねてるせいょクスクス」

「ラギィ。その言い方じゃミユリ姉様が可哀想。連続殺人鬼は、予め逃亡計画を立てていたのでしょ?ソンなコトより、大きな問題が生じているわ」

「ルイナ、何?」


いつも大事なコトは"女子トーク"の中で語られるw


「コレを契機に連続殺人鬼は移動を開始スルわ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


アプリを切ってスピアと話すルイナ。


「連続殺人鬼は、乙女ロードから何らかの目的で東秋葉原に流れて来た」

「秋葉原、就中、東秋葉原はブラックホール。街の重力に引かれて、今、この街の何処かに潜り込んでるw」

「重点を絞って住民の共通項を探しましょう。国勢調査や社会保障記録から調べるしかなさそうょ。お願い出来る?スピア」


カリスマハッカーはホンキ出す(スク水になる)


「少しだけ、忙しくなりそうね」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻、捜査本部。


「プールサイドで溺死したドリス・コリス刑事の情報です。彼は、エバン殺害の目撃者を取調べてた。で、その目撃者は乙女ロード殺人事件では容疑者だった」

「ええっ。ナンシ殺しの容疑者ってコトか?」

「YES。当時は以前はポズナと名乗ってた。ナンシ殺害の容疑者でしたが、身元調査でシロに」


刑事達は、勘と経験で推理スル。


「身分詐称だな」

「今回、我々は3つの地域に関連する約250人を調べましたが、最終的に顔認識から4人がヒットしてる。即ち、パーク・パマホ。ベーン・ポズナ。ソレと…」

「ポズナ。ソレが連続殺人鬼の名前か。やっと捕まえたぞ」


瞬間、場が湧くが、冷静な意見も出る。


「待てょ。この殺害には証拠がない。ソレに犯人の殺害動機はナンなんだ?」

「とりあえず、身分詐称の罪がアルが」

「連続殺人鬼としての罪で捕まえないと…どうします?」


答えは"外神田ER"からリモートで届く。


「奴を監視して捜索令状を取って」


なるほど。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ルイナのラボ。


「練塀町3が到着」

「OK。お前達は見られた。ターゲットから離れろ」

「了解。撤収する」


現場で張り込む刑事達の警察無線が流れる。


「絶対に連続殺人鬼なのに証明出来ないナンて」

「理論を立ててから裏付けを探してるワケだモノね」

「理論は移動しないし、そもそも人も殺さない」


溜め息をつく超天才。ソコへゼイゼイと肩で大息をつきながらピシラ・コスンが駆け込んで来る…ん?肩出しメイド服?


バットガールのコスプレ、ヤメたのか?


「ルイナ!スピア!聞いてょ大発見だわ!」

「何?ってかピシラ、貴女は大丈夫?」

「うぉー!心臓が、心臓が痛いわ!SATO司令部から走って来たの!」


ラボは、主に警備上の問題からSATOの地下司令部に併設されている…けども、ソレゆえSATOとラボはホボお隣同士w


「たった10mだけど!」

「被害者第1号のJKを調べてみたら、事件後に退学になってる生徒が容疑者だった。名前はパーク・パマホ」

「今回の容疑者の名前の1つだわ!」


胸を張る太めの…即ち大爆乳メイド。萌え←


「ビンゴ!秋葉原の"ゾディアック"に王手ね。ホラ鳥肌が立ってる!背骨まで続いてるわ!見る?」


でも、no thank you。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ラボ。太めのメイドの推理を…伺うw


「当時パークは17才だった」

「ナンシとは顔見知りってコトか」

「彼女に迫り、彼女の家の周りをうろつくサエないストーカーだった。そして、ナンシの当時の彼氏ステヴに追い払われルンだけど、その1週間後、ステヴは自動車事故で殺されかけてる」


連続殺人鬼の高校時代が明らかになるw


「ナンシ殺害の数日後、ステヴは、恐らく犯人と思われる男からの脅迫電話を受ける」

「連続殺人鬼の声を聞いた彼は今、どこに?」

「事件後、大阪の日本橋に転居してるわ」


リモートで聞いてる捜査本部が色めき立つ。


「重要参考人だ!すぐに探さないと!日本橋署に連絡だ!」

「待って、おまわりさん!ツテを使ってもう探したわ。1時間前、彼は飛行艇で神田リバーに着水してる」

「冗談だろ?」


今度は僕が色めき立つ番だ。


「テリィたん、怒った?時間がないと思って…」

「まーさか、ヲタッキーズのフリとかしてないだろーな?」

「まーさか!ソンな悪いコトしないわ。でも、向こうが勝手に、かつ一方的にメイド服を来た私を見て誤解した可能性は否定し切れないケド」


ソレでメイド服だったのか。萌えて損した←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"あの日も仕事だった。いつもと同じ…"


ルイナのラボに画像が流れる。


「OK。コレで音紋を取れる。しかし、ベーン・ポズナの取り調べ画像が良く残ってたわね」

「彼が容疑者だった時の画像らしいょ」

「もう立派なおじさんだけど…この声を17才まで若返らせれば良いのね?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の取調室。


「ステヴ・スタバさん、ワザワザ秋葉原までどーも。早速だが、聞いて欲しい"声"がアル。3回流すから、ゆっくり思い出してくれ」


"あの日も仕事だった。いつもと同じあの日も仕事だった。いつもと同じあの日も仕事だった。いつもと同じ"


「この声だ!間違いナイ!」


"あの日も仕事だった。いつもと同じ…"


「この声だ!この声が俺を脅迫したンだ!」

「ステヴさん。20年前の脅迫電話の声だぞ?確かなのか?」

「ナンシを殺したと言って俺を脅した声だ。間違いナイ。恋人が殺され、俺まで殺されかけたンだ。挙句に家族で池袋を出る羽目になった"声"だぞ。あの日を境に、俺は、俺の家族の人生は、全て変わっちまったンだ!」


人生を喪失した者の悲痛な叫び。


「毎週のように真夜中に目覚め、あの声が響く。間違えようがナイだろう?証言スル。この声はパーク・パマホだ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


東秋葉原の"upper east side"。


青々とした芝生。大きなSUV。出かけて逝く夫に笑顔で手を振る美しい妻…の前に立ち塞がり素早く展開スル警官隊w


万世橋警察署(アキバP.D.)だ!ポズナ・キリラ!高校時代の名前はパーク・パマホ!手を上げろ!」


音波銃を構えたヲタッキーズも飛び出す。


「貴方、何ゴトなの?おまわりさん、コレは何?」

「心配ないょ。彼等は義務を果たしてるだけだ。かわいそうに驚いてるね。子供を迎えに行く時間なのに」

「何をしたの?貴方」


呆然と立ちすくむ美しい妻。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「東秋葉原では、私は誰にも知られてない。好都合だった。連続殺人鬼の中には、新聞に投稿したり、警察を挑発したりする奴もいるが、私は常に目立たぬようにして、ヤルべきコトだけやって来た」

「ヤルべきコトとは連続殺人ってコトか?動機は何だ?」

「快楽だ。私は、快楽を求め殺人スル。だから、連続殺人は生きている限り続く。だが、ほとんどの連続殺人鬼は、余りにも病んでいて、自分を抑えられない。つまり、注意が足りない。快楽を得るには計画が必要だ。周囲の人間は、私を疑いもしなかった」


その瞳には狂気が宿る。


「計画通りに殺人スル。ソコが連続殺人の醍醐味だ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部の解散が決まり、後片付けが始まる。


「この殺人には、動機がナイ。普通は、反社会的人間が連続殺人を犯す。でも、コレはダダの快楽殺人だ」

「おいおい。連続殺人鬼に理性的、かつ合理的な説明を期待してたのか?」

「みなさん、どんなに賢く見えても、彼等の根底には理不尽な怒りがアル。そのコトを忘れないで」


刑事達の立ち話にリモートで割り込むルイナ。


「ゴスロリ姐さん、今回も世話になった。お陰で警部の留守をしっかり守るコトが出来た。ありがとね」

「しかし、恋バナの挙句に連続殺人鬼になった高校生。悩み多き青春に随分と変わった対処法に目覚めたモノね」

「酒や賭けゴトや…データ解析にでも走れば良かったのにな、姐さん」


捜査本部に乾いた笑いが広がる。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"外神田ER"。ラギィの退院日。


「早い回復ね。でも、もう怪我しないでね、ラギィ」

「了解ょウメチ先生。しばらくユックリするつもりだから」

「またまた。思い切りウソをついてる」


笑い声。その時、植え込みのスプリンクラーが散水を開始。

蒸し暑い初夏の大気に水飛沫を飛ばす…やや?その中から…


「見て!ピシラょ!まぁビショ濡れだわ!」


何とメイド服を着たママ、ビショ濡れになって歩いて来るw


「どーゆーつもり?水着ポスターのモデルでも気取ってるのかしら?ソレとも単なる発狂?」

「いいえ。アレは夏の風物詩"濡れたTシャツ"の向こうを張る"濡れたメイド服"ょ!テリィ様の大好物!」

「え。姉様の目の前でテリィたんと真夏の略奪愛?ピシラったら大胆!負けるな姉様!」


何だょ濡れたTシャツなんて全然興味ナイんデスけど!

でも、まぁ、確かに"濡れたメイド服"は…悪くない←


「ピシラは、単にデブで巨乳なだけでしょ?正攻法なら姉様が負けるハズないわ」

「ソレがダメなのょテリィ様は谷間ヲタクだから」←

「うーんソレにミユリ姉様、今回はハデなアクションシーンもなかったしね」←



おしまい

今回は、海外ドラマによく登場する"連続殺人鬼"をテーマに、太めの陰謀論者、連続殺人鬼、地理的プロファイリングの始祖、鍵を握って死んだ女刑事、犯人に消された公認会計士、乙女ロードで殺されたJK、その元カレ、シリアルキラーを追う超天才や相棒のハッカー、ヲタッキーズに負傷した敏腕警部などが登場しました。


さらに、ヒロインと陰謀論者の恋の鞘当てを軸に量子シリーズ第2作としての蘊蓄などもサイドストーリー的に描いてみました。


海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、新型変異種コロナを打ち負かしつつある?秋葉原に当てはめて展開してみました。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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