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「………」

「………」

「………」

「………」

「………」

「………」

「あれ俺、おまえにじゃあなって言って見送ったよな」

「そうだ」

「………」

「………」

「夢か」

「そうだ」

「だよな。だから吸血鬼もおまえの横に居るんだよな」

「そうだ」

「そうか。俺、そんなに吸血鬼にじいちゃんのかぼちゃの煮つけを食べてほしかったんだな」

「そうだ」

「………いや、じゃあ何でおまえも夢に出てんだ?もしかしてまだじいちゃんのかぼちゃの煮つけを食べたかったのか?」

「そうだ」

「そうか。そんなに食べたいならしょうがないよな。じゃあ半分だな。ほら。食べてみろよ。美味しいぞ」

「無駄だ。吸血鬼は食べない。かぼちゃの味を吸い取る死者だ」

「そうなのか。じゃあ、ミキサーにでもかけるか。夢なら出てくるだろうしな」

「無駄だ」

「いや、死神のおまえが決めるなよ」

「無駄だ」

「だから無駄だって決めつけるなって」

「無駄だ」

「………あー。やな夢だな。どうせ見るならいい夢にしろってんだよ」

「莫迦者」

「今度は莫迦者を連発する気か?」

「いくら言っても言いきれない莫迦者」

「こんにゃろ」

「そうだろう。こんな処まで飛んで来て。しかも、自分たちの害にしかならぬ吸血鬼にかぼちゃの煮つけを食べてもらうだと?莫迦者以外の何者でもない」

「しょーがねーだろーが。吸血鬼に食べてほしいって思っちまったんだからよ。けど別に無理強いしたいわけじゃなくてよ。俺だって。こんな夢を見るまで強く想ってるなんて思いもしなかったんだけどよ」

「莫迦者」

「うるせ」

「莫迦者。吸血鬼は空ろなのだ。かぼちゃを与えたとて抜け落ちるのみ。満たせぬ。ゆえに。追い払うことぐらいしかできぬ」

「死神」

「辛気臭い顔をするな。くそがき」

「………夢なのにな。みんなでじいちゃんのかぼちゃの煮つけを食べて美味しいって笑って。それで目を覚ませたら。一日いい気分で過ごせたんだけどよ」

「落ち込むな。これは夢だ。おまえが目を覚ました時には忘れている」

「ああ。そうだな」


 そうだな。

 けど俺は。

 あーあ。

 まったく。






「忘れてねえじゃねえか」

「また、来年、か。莫迦者め」


 死神は姿を消した少年を、そして、吸血鬼の姿を一度だけ思い起こして踵を返した。


「くそがきが」










(2022.10.25)


 

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