20話:麒麟児、四獣の伴侶に見定められる
聖剣を鞘にしまう。
鞘はあの女神様が普通にくれた。
なんでなかったかというと、これまた普通に前任者――“勇者”ヒナノの時に壊れたからだそうだ。
ちなみに、あの大量の魔力水は聖剣の復活のためだったらしい。
あれは魔力を回復させるマナポーションというよりかは、魔道具などを直す修復液だそうだ。だから、人類トップクラスの魔力を持つ俺でさえ限界値を超えてしまった。
……やっぱり、あれに平気だった四人はおかしいな。
だ、大丈夫かな? 俺、アウラ様に四人が人を殺すよりも早く、あいつらを殺すって約束しちゃったんだけど……ま、まあ、俺は彼女たちがそんな魔物じゃないと信じている!
って、四人だ、四人!
一応、俺が見た感じでは大丈夫そうだったけど、万が一があるかもしれない。いくら、俺が医術に精通しているとはいえ、医者としては素人なんだから!
さっさと迎えに……行かな……い、と……。
「……あ、れ?」
な、ん……だ? 体……が……。
「……あー。なるほど……」
少し考えて、今の自分の状況に合点がいった。
魔力を一気に大量に消費したがゆえの現象だ。
さすがに最高位魔術を四つ連続で使うのはリスクが大きいな。
まあ、最高位魔術なんて使う機会が全然なかったからな。これから慣れていこう。
それと、魔術関連に有用な効果が付与されたアクセサリーや装備を買おう……。
ていうか、島を出るって言ったけど、どこに行くか決めてなかったな……適当でいいか。海の流れに身を任せよう。
……もう考えるのも面倒になってきた。
寝よ……。
◇◇◇
「す……ご……」
イズミが呟いた。
他の三人も言葉には出さなかったが、同じようなことを思っていた。
彼女たちは、クウガの最初の目論見通り、既に傷が癒えており、先の戦いを見ることができた。
圧巻だった。
正直、彼女たちはクウガがあそこまで強いとは思っていなかった。
確かに、感じ取れる魔力は尋常でなかった。人間種のなかで一番と言われても、だろうなとしか思わなかっただろう。
しかし、それはあくまで人間種の中での話だ。魔物には、もっと強いのがいるだろうと考えていた。
それは間違いだった。彼女たちはそう思い知った。
麒麟――彼女たちは名前は知らなかったが――は、彼女たちが戦った中でも最強の魔物だった。
クウガ頼りではあったが、それも自分たちと協力して倒そうという考えだった。
だが、彼は一人で圧倒してしまった。まさしく圧倒的に。
特に最後のぶつかり合い。
麒麟の最後の攻撃は、この島どころか周囲の海すらも纏めて吹き飛ばす程の威力だったはずだ。
しかし、クウガの剣はそれを切り裂き、その勢いのまま体を真っ二つにしてしまった。
完勝だった。そして、最強だった。
それは、野生の魔物である彼女たちにとって、とても重要な要素であった。
……伴侶に選ぶ条件として。
「か……かっこいい……」
カザネが呟き、他の三人がこくこくとうなづいた。
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