表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君のうた  作者: 川野りこ
114/126

第104話 繋がり

 ニューヨークを初めて訪れたのは八年前…………一度目は観光。

 二度目はライブツアー。

 三度目は……念願の場所でのライブツアー。


 念願叶って立てる舞台に、奏やメンバーだけでなく、長年行動を共にしてきたスタッフからも感嘆の声が上がる。

 彼女の澄んだ歌声に、その音色に、観客は一瞬で虜であった。


 「She could not be a pianist, although she could only play the piano……She chose a song……」

 「I agree……」

 「……To sing…She seems to have been born to sing a song……」

 「That, maybe……」

 「Ah, Miya said……」


 辺りは拍手と歓声に包まれ、最大限の賛辞が彼らに注がれていた。


 憧れていた……ステージに立ってる。

 日本人のバンドが立つのは、初めての場所……


 カーネギーホールのメインホールは、二千八百人規模の会場だ。その席はすべて埋まっているが、東洋人は殆どいない。菅原は、いつもカメラのファインダーを通して見ていた彼らを見つめていた。心の中で何度もシャッターを切っていた事だろう。前評判の高い演出もさる事ながら、その音に、彼女の歌声に、心を揺さぶられていた。


 アンコールの声に応え、最後の曲を迎える彼らの瞳は希望に満ちているかのように輝いていた。

 再び歓声と拍手が沸き起こる中、揃って一礼をすると、バックステージで抱き合っていた。


 ーーーー震えてる……今頃になって……


 彼女の手は微かに震え、その場にしゃがみ込みそうだ。自身が思っていたよりも、ずっと緊張していたのだろう。


 「あぁー、楽しかった……」

 「だな! また演りたい!」

 「そうだな……miyaは?」


 彼女を抱きしめていた和也が満面の笑みで応える。


 「それは、楽しかったに決まってるだろ! すっごい気持ちよかったー!!」


 そう告げると、頬に唇を寄せた。


 「ちょっ! miya?!」

 「最高ーー……」 

 「ーーーー楽しかったね……」


 奏が背中に手を回せば、至近距離で微笑み合う。


 席が埋まらなかったら、どうしよう……とか考えた事もあったけど…………そんな心配はいらなかった。

 water(s)の音が届いたんだ……


 スタッフ等ともハイタッチをしたり、握手を交わしたりと、いつもの光景が広がっていた。




 まだ辺りが薄暗い中、奏はベッドから起きていた。大きな窓の向こうにはニューヨークの街並みと、日の出間近の水色とピンク色のコントラストが綺麗な空が広がっている。


 ーーーーーーーー音が溢れてくる……


 窓際の椅子に腰掛けると、携帯電話に想い描いた歌を録音していた。


 「ーーーー奏……?」


 心地よい歌声に、和也は目を覚ましていた。小さな声で話すように歌う彼女の横顔は、何処か遠くを見つめているようだ。思わず瞳を閉じて、ずっと聴いていたくなる歌声を、彼は最後のフレーズまで静かにベッドの上で聴きいっていた。


 …………今の私なら、前より少しだけ……ほんの少しだけ、心地のいい歌が歌えるかもしれない。

 ずっと聴いて貰えるような……そんな歌が……


 ベッドの側に立ち、小さな拍手を送る和也に驚く。起きていた事にすら、気づいていなかったからだ。


 「ーーーー和也……おはよう……」

 「おはよう……奏……もう一度、歌って?」

 「……起こしてごめんね……二人が起きるから……」

 「聴きたい……」


 和也は向かいの席に腰を下ろし、彼女が歌うまで動く気配はない。


 「ーー……まだ完成してないよ?」

 「うん……聴きたい……」


 奏は息を吐き出すと、先程まで携帯電話に打ち込みながら口ずさんでいた曲を彼に向けて歌った。


 間近で聴かれてると思うと、緊張するけど……和也には、いつも一番に聴いてほしいって……想いは変わらないから…………


 彼は目の前で歌う姿をまっすぐに見つめていた。楽器がなくとも、立派な設備の整った場所でなくとも、彼女が歌えばそこがステージに変わっていくようだ。彼はそう感じながら、テーブルに乗った彼女の右手を両手で握っていた。


 「ーーーーすきな曲だ……」

 「……ありがとう」


 二人は額を寄せ合いながら、小さな声で話している。いつの間にか日は昇り、空は晴れていた。和也と奏の小さな笑い声が部屋を満たしていた。


 「すーさん!!」

 「あら、りーちゃん、れーくん、いらっしゃい」

 「菅原さん、おはようございます」

 「hanaもmiyaも朝からありがとう。昨日のライブ素敵だったよ。今日も頑張ってね!」

 『ありがとうございます』


 奏と和也が同時に応える姿は、双子にそっくりである。


 「keiは昨日、来てたわねー。hiroとakiも後から見に来てくれるって言ってたけど、公演前にいいの?」

 「はい! 菅原さんの写真は、みんなのいい刺激になりますから」

 「あぁー、菅原さん……今回のあります?」

 「miyaの目当ては、奥のブースにあるわよ。ライブの影響もあって、ここ数日は集客がいつもより多いみたいなの。water(s)のおかげね……」


 菅原に続いて奥のブースに行くと、そこにはアップライトピアノと共に彼らの写真が展示してあった。


 「えっ? これ!」

 「hanaには内緒にしてたんだけど、みんなの写真も展示してるの」


 モノクロやカラー等、様々な手法で撮られた写真が展示されている中、water(s)の写真が飾られている。


 『パパとママだぁー!』

 「そうだよー」

 「すーさん、すごーい!!」

 「うん! きれーい!!」

 「……りーちゃん、れーくん、ありがとう」


 梨音と怜音の素直な反応に、菅原も嬉しそうに微笑む。


 「ーーーー私じゃない、みたい……」

 「私から見たwater(s)って所ね」

 「菅原さん、この写真ほしい」

 「五人のやつ? いいわよ。日本に戻ったら、渡しに行くわ」

 「あっ、買い取りますよ?」

 「いいわよ。この間、美味しいお酒を貰ったから」

 「じゃあ、お言葉に甘えて……ありがとうございます」

 「いーえ、昨日のライブ……クラシック調になってて、柄にもなく泣けたわ……」

 「それは光栄ですね」


 菅原と和也が小声で話をする前では、奏が梨音と怜音と手を繋ぎながら写真を眺めていた。


 「It's a beautiful picture」

 「I know……She is a singer」

 「Oh, I didn't know that!」


 オープン時間の十一時になり、彼らの他にも菅原の写真を心待ちにしていた人達が続々と入って来た。


 「miya、前の二人……ファンみたいじゃない?」

 「ファンなら嬉しいですけど……やっぱり、菅原さんは凄いですね。これだけ集客あるなんて……」

 「光栄だけど、昨夜のライブは本当に感動したわよ? ジャケット写真を撮った事を誇りに感じたわ」

 「菅原さん……」

 「本当……hanaの声は不思議ね。いつもクレバーだとは思ってたけど……」


 二人は彼女達に視線を戻した。彼女は梨音と怜音に手を引かれ、他の写真を見て回っている。風景や人物と様々な被写体だが、そのどれも温かみのある写真が並んでいた。


 「miyaは大変ね……本人は無自覚でしょうけど、よく射止めたわね」

 「射止めたって……まぁー、そうですね。だから早く結婚したのかもしれないですね……」

 「あら、惚気?」

 「違いますよ! なんて言うか……hanaの歌を世界中の人に聴いて貰いたいって、思う反面……自分だけのモノにしたいって、思わなくもないんで……」


 彼はそう言って奏の隣に並んだ。梨音と怜音を間に挟む形で、家族仲良く手を繋いでいる。


 「ーーーーなるほどね……」


 菅原には駆け寄った意味が直ぐに分かった。彼女に声をかけようとした男性がいたからだ。そうとは気づかずに彼に笑顔を向けていた彼女が、後ろを振り返った。


 「菅原さん、私……この写真すきです」


 彼女が選んだ写真は、セピア色のニューヨークの街並みと小さな女の子が風船を持っている後ろ姿だ。


 「hana、ありがとう……」

 「りーもすきー!」 「れーも!」

 「温かい写真だねー」

 『うん! パパはー?』

 「パパもすきだよー」


 奏の右手を和也は握っていた。梨音と怜音は二人の前で写真を眺めている。初めて来た空間に、瞳を輝かせているようだ。


 「あっ! あーくん! ひーくん!」

 「ほんとだぁー! けーくんはー?」

 「梨音と怜音は、元気だなー、keiはもうすぐ来るよ?」

 『わーい!』


 water(s)の四人が揃い、瞳を輝かせる。菅原の写真は彼らの興味を惹く程に、非凡な才能が反映された作品ばかりであった。


 「hanaとmiyaもまだいたんだな。すれ違ったかと思った」

 「あぁー、昼ご飯一緒に食えるかメールしたけど、二人とも見てないだろ?」

 「ごめんね、気づかなかった。お昼、何食べるの?」

 「何か希望あるか?」

 「うーーん、miyaは?」

 「そうだなー……菅原さん、なにかお薦めの店ないですか?」

 「そうねー。ロブスターロールとか……やっぱり、ステーキハウスかしらね」

 「ステーキ食べたい」

 「miyaは肉好きだからなー」

 「みんなだって、好きでしょ?」

 「まぁーな。じゃあ、ステーキハウスに行くか?」

 「その前に、もう一周見てきてもいい?」

 「あぁー、俺達も行くよ。菅原さんもランチ行けますよね?」

 「えぇー、私もお肉は好きよ」


 明宏が携帯電話で誰かと連絡を取ると、すぐに戻ってきた。


 「よかった……keiが今、店の予約したってメール来たんで、菅原さんの写真また見たいって言ってるから、みんなでもう一周回ったらランチだな」

 『はーーい』


 双子が同時に応える。父と母の嬉しそうな姿に、揃って喜んでいた。


 「すーさんもいっしょ?」

 「一緒に行くわよー」

 『わーい!』

 「ねぇー、すーさん! ママたちのしゃしん、みたい!」

 「りーも!!」

 「いいわよー。じゃあ、れーくんとりーちゃんは先に見に行こうか?」

 『うん!!』


 菅原に手を引かれ、揃って小さなジャンプを繰り返す。


 「菅原さん、いいんですか?」

 「大丈夫よ。hanaはゆっくり回って来なさい」

 「ありがとうございます」


 二人を菅原に託すと、彼らと共に展示された写真を隅々まで見て回っていく。


 ーーーーすごい……これが……菅原さんの瞳に映る世界なんだよね……


 写真を見る度に心に響いているようで、時折立ち止まっては眺めるを繰り返す。


 「ーーーーすごいよな……」

 「うん……どの写真も温かいね」


 彼女の隣に和也が並び、同じ写真を眺めていた。


 「ジャケット撮って貰えてるの有り難いよなー」

 「あぁー、keiの言う通りだな」

 「そうだな」


 五人は並ぶように、写真を眺めながら歩いていく。被写体が自分達でないものは、一点一点じっくりと味わうように眺めていた。


 「ーーーー自分達の写真は、何か僕達じゃないみたいなんだよな……」


 圭介の言葉に皆、同意なのだろう。頷いて応える。


 ーーーーーーーーここに写るのは、water(s)……私だけど……私じゃないみたい。


 瞳に光を宿したようなwater(s)のhanaが写っていた。


 「ママー! ピアノききたい!」

 「えっ?」

 「れーも! ママひいてー!」


 足元に飛びついてきた梨音と怜音に戸惑っていると、菅原がピアノに立てかけてあるカードを見せた。『Please use it freely』と書かれていた為、彼女が周囲を見回すと、大翔が動画を撮るべく携帯電話を構えていた。


 「ーーーーじゃあ、一曲だけだよ? 弾いたらランチしに行くよ?」

 「うん!」 「わーい!」

 「梨音と怜音は、何の曲がいい?」

 「うーーんとね……さくら!」

 「さくら、すきー! でも、キラキラぼしもききたいー」

 「うん、キラキラぼしもすきー!」

 「……一曲だけって言ったでしょ?」

 「えーーっ! 二つはだめーー?」


 梨音の可愛らしい上目遣いに押され気味だ。


 「……菅原さん、二曲いいですか?」

 「勿論、構わないわよ」 「hanaのピアノなら」

 「ちょっ…miyaに、菅原さんまで……」

 「いいじゃん、俺も聴きたいし」


 周囲が二曲弾いていいと後押しする為、奏は一曲にする事を諦めたようだ。彼女はアップライトピアノの前に腰掛けると、鍵盤に指を滑らせる。リクエストに応え、きらきら星変奏曲を弾いていた。


 「やっぱ上手いな……」

 「kei、今更でしょ?」

 「いや、miya……分かってても……これは、思うだろ?」

 「キラキラ星って言うけど、モーツァルトのきらきら星変奏曲は難易度高い方じゃないか?」

 「そうだけど……これはhanaの得意な曲だよ? 生まれた頃から歌ってたから、最近はピアノを弾いて聴かせてるんだよなー」

 「へぇー、そうなのね。音楽は詳しくないけど、hanaが凄いのは分かるわ」


 菅原の言った通りだ。ピアノと彼らを囲むような形で、彼女の音色に立ち止まり、聴き入っている人達がいるからだ。

 十二分程度の曲が終わると、ピアノの周囲には拍手をする観客が集まっていた。


 『ママーー! つぎもーー!!』


 驚く奏に、梨音と怜音は次の曲を弾くようにせがむ。


 「……じゃあ、次で最後ね」

 『うん!!』


 再び鍵盤に触れれば、不思議なくらい周囲は静寂に包まれていた。


 「ーーーーhiro……撮ってるか?」


 小声で聞いてきた和也に、大翔はOKのサインを指で作り応える。

 彼女の弾いた"夢見草"は、water(s)を代表すると言っても過言ではない曲の一つとなっていた。


 「ママ! うたはー?」

 「歌?」

 『うた、ききたいー!』


 周囲のメンバーや菅原に目を向けても、皆頷いている。彼女は決心したのか深く息を吐き出すと、Bメロから声を出した。その弾き語りしている姿に、周囲を気にする様子はなく、子供達に向けて歌っているようだ。


 「ーーーー奏……」


 和也が思わず名前を呟く。一番近くで聴いていた梨音と怜音は小さな手で拍手をしていた。


 「ママ、すごーい!」 「きれーい!」


 多彩な音色に感動していたのだろう。一足遅れて歓声が響く。


 「hana、お疲れー」

 「ありがとう」


 彼女はいつもと変わらない様子で、彼らとハイタッチを交わした。菅原は、その姿に先程の言葉を痛感したようだ。


 「ーーーーmiyaが独り占めしたくなっても……仕方がないわね……」


 彼の声は周囲の歓声にかき消されていた。彼女はピアニストとしてというより、water(s)のhanaとして称賛を受けているのであった。


 「……昼間のステーキは美味しかったな」

 「miyaらしいな。明日は昼の便で帰るだろ?」

 「あぁー、日本でのオファーもあるからな」

 「そうだな。有り難い事だけど、もう少しのんびりしたかったなー」


 彼らのいつもと変わらない様子に微笑む。


 本番前でも……いつもと変わらないみんながいるから、落ち着いていられる。

 鳴っているのは、変わらないけど……


 緊張感に呑まれる事はなく、程よい緊張感に包まれているようだ。


 「みんな、行くぞ!」

 『おーー!!』


 五人は重ねた手を掲げ、ハイタッチの音が響くと、ステージへ臨んでいた。


 そんな彼らを間近で見ていた梨音と怜音の心には、パパとママの全身に込められた想いが響いていた。


 「スギさん、みんなすごいね」

 「すごいね、ウォーターズ」


 しゃがんでいた杉本の耳元で囁く二人は、瞳を輝かせているようだ。


 「ーーそうだね……皆……凄い人達だよ」


 会場から一時間程で、梨音と怜音はアメリカでのコーディネーター兼シッターの彼女と、ホテルに戻っていった。

 二人はキラキラ星の音色を聴きながら、眠りについていた。


 「ーーーー終わったな……」

 「うん……」


 奏は抱きしめられていた。


 「……miya……」

 「お疲れ、hana……」

 「お疲れさま……」


 彼女の瞳から涙が溢れる。今回のライブで、彼らはロックとクラシックのアメリカ二大殿堂制覇を果たした。それは歴史的瞬間だったのだろう。

 スタンディングオベーションは鳴り止まず、最大限の賛辞が送られていた。

 十分程続いた拍手喝采の中、彼らは抱き合い、スタッフ等と共に達成感に浸っていた。


 ーーーーーーーー涙が止まらない……念願のステージに立てた事もだけど……みんなと、ここまで来れたことが、なによりも嬉しくて……言葉にならない……


 和也に涙を拭われたかと思えば、彼女も彼の目元に手を伸ばした。彼の瞳も涙目になっていたからだ。


 「ーーーー最高だったな……」

 「うん……」


 大成功をおさめたライブの後でも、昨夜と同じように反省会は行われる。奏が部屋に戻る頃には、夜の十二時を回っていた。


 「……和也?」

 「ーーーー奏……」


 腰を引き寄せられ、強く抱きしめられていた。


 「ん、和也……起きちゃうよ…」

 「んーー……」


 素肌に触れていく彼が、手加減をしてくれる様子はない。


 「んっ……あっ……」


 思わず声の漏れ出た彼女は、唇を手で塞ぐ前に呑み込まれていった。浴室の扉が静かに閉まると、彼の首に手を回し、深くなる口づけに応えていた。


 いつも早く目覚める彼女も、今朝はまだ夢の中だ。隣で幸せそうな顔で眠る彼女を、和也は静かに見つめていた。


 「ーーーー無理、させたな……」


 彼女の柔らかな髪からは、シャンプーのいい香りがしている。ずっと触れ合っていたくなる衝動を抑え、彼はシャワーを浴びていた。触れる度に、欲しくなるのだろう。彼にとって、彼女はピアニストでも、シンガーでもなく、いつだって可愛らしい奏であった。


 「ーーーーおはよう……」

 「おはよう……奏……」


 彼女がバスローブを羽織った所で、彼は浴室から出てきたようだ。


 「和也、また一つ叶ったね……」

 「あぁー……」


 二人は軽く口づけを交わすと、微笑み合っていた。


 世界同時発売されていたアルバムはCD売り上げを伸ばし、ついに全米一位を獲得した。ダウンロード販売やストリーミング配信が主流の中、東洋人初の快挙であった。


 帰国する頃、日本時間は十七時頃となっていた。空港のロビーには、多数の報道陣やファンが彼らを待ち構えていた。


 「きゃあああ! water(s)!!」

 「hanaー!!」 「keiー!!」

 「おめでとう!!」 「こっち向いてーー!!」


 ファンの叫び声に近いエールに、微笑んで応える。手を振り、時折サインや写真に応えながら歩いていく。彼女の隣は彼の定位置だ。ファンサービスをする間も、二人は手を繋いだまま応えているのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ