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旅する探偵もの  作者: スーパー天邪鬼
イタールア戦争
52/55

。(やっぱエンドマークだね)

街に着くと夕方を通り越して夜になっていた。

かなり暗いが、街には一応の明かりが灯っている。


既に戦いは終わっている様子だ。


「ようバッドン。邪魔するぜ」


あっという間に将軍の居た場所に戻る。


「おうお前ら。よく戻ったな」


バッドン将軍の初めて見せる、

比較的柔和な表情だ。

逆に怖い。


「無事戦いは終わったらしいな」

「ああ。見事に勝利した。

義勇軍の奮闘と槍兵の槍捌きがあったおかげだ」


将軍が褒めてくれるが、

槍は捌くものじゃなく扱くもの・・・。

まあ良いか。

今は戦争に勝ったという現実を受け止めたい。


街の方を見ると、

崩れた瓦礫を背にして喜ぶ人々が見えた。


俺は結局見ることができなかった、

マキシム機関砲とやらも置いてある。

弾は全て使い切った様子だ。


街の外を警察や一部の兵士が守っており、

他の兵士達は酒を煽っている。

そんな兵士の一人が、俺の下に来た。


「ケレン特別少佐!お疲れ様です!

しかし特殊進軍隊は特殊部隊扱いのため、

酒を飲む場合は前線にて願います」


伝令兵が酒を渡してくるが、

どうも警戒態勢はそのままらしい。

当然と言えば当然だ。


一口酒を煽る。


「『へびの星、さびれた酒と、俺のこと』

暗すぎるな。

もうちょっとひねるか?」

「ケレンー!」

「ケレンさーん!」


いつの間にか俺から離れていたシャラと、

事務のミッズさんだ。


「あれ?ミッズさん?

ここ前線ですよ?」

「私が呼んだの!

ほら、この前一緒にお酒飲むって話したでしょ?」


そう言えばクセの身元調査中に、

そんなことを言ったな。


「おぉ、ムッシュ・ケレン。

私も僭越ながら、リンゴ酒を」

「俺らの野菜と!」

「俺の鶏肉で!」

「作った飯で!」

「存分に休んでください!」

「私も調理を手伝ったんですよ!

クセさんたちの野菜、とても質が良いですね」


ザルインやカマイル、クセ達も呼んだらしい。

彼らによって全員に酒と食べ物が配られる。


すると、乾杯の音頭を俺にするよう、

皆の視線が訴えかけてきた。

よし!こうなったら飲みまくるぞ!


「えー、前線で恐縮ですが!

俺達の勝利だぁー!かんぱああーい!」

「「「「かんぱーい!」」」」


俺達だけでなく、

周りの兵士達も合わせて乾杯する。

南西に流れ星のような光も見えて、

気分もさらに良くなる。


俺の乾杯した音頭に釣られて、

いろんな人がやって来た。


「ケレン隊長!」

「お、アンザスに・・・

槍部隊の奴らか」


思えばニュージェーで最初に絡んで来たのがアンザスだ。

縁があるような気もする。


「隊長のおかげで、特殊部隊どころか戦争勝利!

ありがたい限りです!」

「俺のおかげで勝利って、言い過ぎだろ」

「いえいえ!

俺達槍部隊が活躍できたのも、

隊長の指導があったからこそです!」


日華ではあれが平均なんだが・・・

言わぬが華か。


「そうだ、アンザス。

お前にこれやるよ」

「へ?」


俺の持ってる鎌槍だ。

これがあると荷物がかさばるのだ。


「良いんですかい?」

「ああ。使い方は銀次さんに教わるといい」

「ありがとうございます!」


最初に会った時とは、

態度が大違いだな。


「あ、そうだ。ケレンさん」

「ん?」


大葉を持ってるって事は、

クセ兄弟の大葉マンか。


「どうした?」

「ケレンさんが、コーレルって人の事を探してるって聞いたから」

「行き先知ってるのか?」


後々聞こうとは思っていた。

コーレルの居所は知っているのだろうか?


「あの人、日華に行くって」

「そうか。ありがとう。役立つ情報だ」


そう言って、大葉マンと乾杯する。

そのまましばらく談笑するが、

内容は殆ど覚えていない。


「よいしょっと」


その場から立ち上がる。

向かうのはシャラの所だ。


隣には銀次さんも居る。


「どうも」

「よおケレン。何か用か?」


銀次さんに挨拶する。

少し話があるのだ。


「明日から日華に行こうと思います。

シャラも、大丈夫なら着いて来てくれ」

「私は良いけど・・・」


銀次さんは少し思案する。


「昔の道場が気になるのか?」

「それもありますけど・・・」


一番の理由はコーレルだ。


だが実は戦ってる最中、

気が変わった事もあるのだ。


「武器を新調しておきたいと思いました。

今後も何か、起きる可能性がありますから」


ヨウエイ君が洞窟に向かった。

その後の動向は他の人が追っているだろうが、

この戦争には続きがあるように感じるのだ。


「・・・わかった。良いだろう。

向こうの事務所で活動できるよう、

探偵証明書に追記しておく」

「ありがとうございます」


現在の身分証には、

この街で活動する旨が書かれている。


別場所で活動するには、

その記載をしてもらう必要があるのだ。


シャラは称号持ちなので、

どこでも自由に活動できるが、

俺は平探偵だ。


「ほらよ」


身分証を受け取る。

次の目的地へ向かおう。


だがその前に。


「ついでにこれもだ」


酒の入ったグラスを受け取る。

それを皆で突き合わせて、乾杯した。


------------------------------------------------------

最後に用があるのは、

バッドン将軍の所だ。


パラズとホマ大尉、それにデガルズも居る。


「将軍。章を返しに参りました」

「うむ。ご苦労だった」


章を返す。

これで俺は士官権限を返上したことになる。


「今回の働き、誠に見事。

何か褒美が欲しければ、言ってみるがいい」


バッドン将軍がそう言ってくれる。

その言葉、話が早く済む。


「ではお言葉に甘えて。

住民権の発行を願います」

「ほう。誰のかね?」

「特殊な技術で鎧を操る少年。名はヨウエイ。

今回の戦いでは敵の情報を探るため、

敵に潜入していました」

「ほう」


周りの3人は知っている内容だ。

沈黙を守っている。


「特殊な鎧の事は、

先程この3人に聞いた。

軍としては、その鎧を詳しく調べたい」


やはりそうだろう。

先手を打ちたかったが、後手に回ってしまった。


「・・・頼みます!」

「その話、私からも一言良いですか?」


後ろからシャラが入って来た。


「シャラ?」


一瞬俺の方を向く。

そして口を開く。


「此度の戦いに勝てたのは、探偵事務所の力があったから。

そうですね?」

「うむ。そうだな」


シャラの奴、まさか脅すつもりか?

まだ、黙って話を聞こう。


「例の鎧に入っているのは、

以前から探偵事務所と関わりのあった少年です」


確かに、正しい情報だ。


「もし、その少年に対して例えば、

捕獲等を考えているならば、

軍と探偵事務所の関係が難しくなるのでは?」

「ふむ」


シャラの不安を煽る言い分と言い方で、

将軍がその話を認める。


「更にその鎧ですが、

称号持ちの探偵より戦闘力が高いと考えております。

ここは、彼に住民権を持たせ、

探偵事務所の客員として出迎えたい。

それが現事務所責任者である、

銀次の意見でございます」

「だが、その鎧は街を襲ったのだろう?」


良し来た!


「それについては私から!

敵の戦力についての情報元は、彼なんです」


嘘をつく。

しかも俺の立場を利用した話だ。


「それに実際、彼の攻撃で怪我を負った者は皆無。

何よりの証拠でしょう?」


これは偶然あった出来事だ。


「・・・もう良い。

身元の怪しい奴に住民権を作るのは、

俺の管轄とは別だ。

だが、兵士としては雇うことができる。

ケレン、シャラ、銀次各探偵の報酬は、

『とある人間を兵士として紹介する』

と言う内容でいいな?」


俺とシャラは顔を合わせる。


どうもこの将軍。

最初から頼みを了承していた様子だ。


それでいて、シャラと銀次さんの頼みも一気に消化。

これが戦略か・・・。


「ありがとうございます」


俺は良いが、

シャラと銀次さんには貸しを作ってしまった。


「・・・フッ。

なかなか楽しい余興だったが、

安心しろ。お前達にはもう一つ褒美がある」


シャラが食いついた。


「なんでしょう?」

「お前達。聞けば明日より日華へ向かうとか?」


どこで聞いたのだろう?

耳が早い。


「軍船の中でも、そこそこ快適な船を手配する。

それでどうだ?」

「ありがとうございます!」


シャラのやる気が上がる。

やっぱりゲンキンだ。


だが俺としてもありがたい。


「ありがとうございます」


しっかりと頭を下げて礼を言った。

ながーい自己紹介だったなぁ・・・。


次回からは作品らしくしていきます。

稚作ですが、改めてよろしくお願いします!

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