。(やっぱエンドマークだね)
街に着くと夕方を通り越して夜になっていた。
かなり暗いが、街には一応の明かりが灯っている。
既に戦いは終わっている様子だ。
「ようバッドン。邪魔するぜ」
あっという間に将軍の居た場所に戻る。
「おうお前ら。よく戻ったな」
バッドン将軍の初めて見せる、
比較的柔和な表情だ。
逆に怖い。
「無事戦いは終わったらしいな」
「ああ。見事に勝利した。
義勇軍の奮闘と槍兵の槍捌きがあったおかげだ」
将軍が褒めてくれるが、
槍は捌くものじゃなく扱くもの・・・。
まあ良いか。
今は戦争に勝ったという現実を受け止めたい。
街の方を見ると、
崩れた瓦礫を背にして喜ぶ人々が見えた。
俺は結局見ることができなかった、
マキシム機関砲とやらも置いてある。
弾は全て使い切った様子だ。
街の外を警察や一部の兵士が守っており、
他の兵士達は酒を煽っている。
そんな兵士の一人が、俺の下に来た。
「ケレン特別少佐!お疲れ様です!
しかし特殊進軍隊は特殊部隊扱いのため、
酒を飲む場合は前線にて願います」
伝令兵が酒を渡してくるが、
どうも警戒態勢はそのままらしい。
当然と言えば当然だ。
一口酒を煽る。
「『へびの星、さびれた酒と、俺のこと』
暗すぎるな。
もうちょっとひねるか?」
「ケレンー!」
「ケレンさーん!」
いつの間にか俺から離れていたシャラと、
事務のミッズさんだ。
「あれ?ミッズさん?
ここ前線ですよ?」
「私が呼んだの!
ほら、この前一緒にお酒飲むって話したでしょ?」
そう言えばクセの身元調査中に、
そんなことを言ったな。
「おぉ、ムッシュ・ケレン。
私も僭越ながら、リンゴ酒を」
「俺らの野菜と!」
「俺の鶏肉で!」
「作った飯で!」
「存分に休んでください!」
「私も調理を手伝ったんですよ!
クセさんたちの野菜、とても質が良いですね」
ザルインやカマイル、クセ達も呼んだらしい。
彼らによって全員に酒と食べ物が配られる。
すると、乾杯の音頭を俺にするよう、
皆の視線が訴えかけてきた。
よし!こうなったら飲みまくるぞ!
「えー、前線で恐縮ですが!
俺達の勝利だぁー!かんぱああーい!」
「「「「かんぱーい!」」」」
俺達だけでなく、
周りの兵士達も合わせて乾杯する。
南西に流れ星のような光も見えて、
気分もさらに良くなる。
俺の乾杯した音頭に釣られて、
いろんな人がやって来た。
「ケレン隊長!」
「お、アンザスに・・・
槍部隊の奴らか」
思えばニュージェーで最初に絡んで来たのがアンザスだ。
縁があるような気もする。
「隊長のおかげで、特殊部隊どころか戦争勝利!
ありがたい限りです!」
「俺のおかげで勝利って、言い過ぎだろ」
「いえいえ!
俺達槍部隊が活躍できたのも、
隊長の指導があったからこそです!」
日華ではあれが平均なんだが・・・
言わぬが華か。
「そうだ、アンザス。
お前にこれやるよ」
「へ?」
俺の持ってる鎌槍だ。
これがあると荷物がかさばるのだ。
「良いんですかい?」
「ああ。使い方は銀次さんに教わるといい」
「ありがとうございます!」
最初に会った時とは、
態度が大違いだな。
「あ、そうだ。ケレンさん」
「ん?」
大葉を持ってるって事は、
クセ兄弟の大葉マンか。
「どうした?」
「ケレンさんが、コーレルって人の事を探してるって聞いたから」
「行き先知ってるのか?」
後々聞こうとは思っていた。
コーレルの居所は知っているのだろうか?
「あの人、日華に行くって」
「そうか。ありがとう。役立つ情報だ」
そう言って、大葉マンと乾杯する。
そのまましばらく談笑するが、
内容は殆ど覚えていない。
「よいしょっと」
その場から立ち上がる。
向かうのはシャラの所だ。
隣には銀次さんも居る。
「どうも」
「よおケレン。何か用か?」
銀次さんに挨拶する。
少し話があるのだ。
「明日から日華に行こうと思います。
シャラも、大丈夫なら着いて来てくれ」
「私は良いけど・・・」
銀次さんは少し思案する。
「昔の道場が気になるのか?」
「それもありますけど・・・」
一番の理由はコーレルだ。
だが実は戦ってる最中、
気が変わった事もあるのだ。
「武器を新調しておきたいと思いました。
今後も何か、起きる可能性がありますから」
ヨウエイ君が洞窟に向かった。
その後の動向は他の人が追っているだろうが、
この戦争には続きがあるように感じるのだ。
「・・・わかった。良いだろう。
向こうの事務所で活動できるよう、
探偵証明書に追記しておく」
「ありがとうございます」
現在の身分証には、
この街で活動する旨が書かれている。
別場所で活動するには、
その記載をしてもらう必要があるのだ。
シャラは称号持ちなので、
どこでも自由に活動できるが、
俺は平探偵だ。
「ほらよ」
身分証を受け取る。
次の目的地へ向かおう。
だがその前に。
「ついでにこれもだ」
酒の入ったグラスを受け取る。
それを皆で突き合わせて、乾杯した。
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最後に用があるのは、
バッドン将軍の所だ。
パラズとホマ大尉、それにデガルズも居る。
「将軍。章を返しに参りました」
「うむ。ご苦労だった」
章を返す。
これで俺は士官権限を返上したことになる。
「今回の働き、誠に見事。
何か褒美が欲しければ、言ってみるがいい」
バッドン将軍がそう言ってくれる。
その言葉、話が早く済む。
「ではお言葉に甘えて。
住民権の発行を願います」
「ほう。誰のかね?」
「特殊な技術で鎧を操る少年。名はヨウエイ。
今回の戦いでは敵の情報を探るため、
敵に潜入していました」
「ほう」
周りの3人は知っている内容だ。
沈黙を守っている。
「特殊な鎧の事は、
先程この3人に聞いた。
軍としては、その鎧を詳しく調べたい」
やはりそうだろう。
先手を打ちたかったが、後手に回ってしまった。
「・・・頼みます!」
「その話、私からも一言良いですか?」
後ろからシャラが入って来た。
「シャラ?」
一瞬俺の方を向く。
そして口を開く。
「此度の戦いに勝てたのは、探偵事務所の力があったから。
そうですね?」
「うむ。そうだな」
シャラの奴、まさか脅すつもりか?
まだ、黙って話を聞こう。
「例の鎧に入っているのは、
以前から探偵事務所と関わりのあった少年です」
確かに、正しい情報だ。
「もし、その少年に対して例えば、
捕獲等を考えているならば、
軍と探偵事務所の関係が難しくなるのでは?」
「ふむ」
シャラの不安を煽る言い分と言い方で、
将軍がその話を認める。
「更にその鎧ですが、
称号持ちの探偵より戦闘力が高いと考えております。
ここは、彼に住民権を持たせ、
探偵事務所の客員として出迎えたい。
それが現事務所責任者である、
銀次の意見でございます」
「だが、その鎧は街を襲ったのだろう?」
良し来た!
「それについては私から!
敵の戦力についての情報元は、彼なんです」
嘘をつく。
しかも俺の立場を利用した話だ。
「それに実際、彼の攻撃で怪我を負った者は皆無。
何よりの証拠でしょう?」
これは偶然あった出来事だ。
「・・・もう良い。
身元の怪しい奴に住民権を作るのは、
俺の管轄とは別だ。
だが、兵士としては雇うことができる。
ケレン、シャラ、銀次各探偵の報酬は、
『とある人間を兵士として紹介する』
と言う内容でいいな?」
俺とシャラは顔を合わせる。
どうもこの将軍。
最初から頼みを了承していた様子だ。
それでいて、シャラと銀次さんの頼みも一気に消化。
これが戦略か・・・。
「ありがとうございます」
俺は良いが、
シャラと銀次さんには貸しを作ってしまった。
「・・・フッ。
なかなか楽しい余興だったが、
安心しろ。お前達にはもう一つ褒美がある」
シャラが食いついた。
「なんでしょう?」
「お前達。聞けば明日より日華へ向かうとか?」
どこで聞いたのだろう?
耳が早い。
「軍船の中でも、そこそこ快適な船を手配する。
それでどうだ?」
「ありがとうございます!」
シャラのやる気が上がる。
やっぱりゲンキンだ。
だが俺としてもありがたい。
「ありがとうございます」
しっかりと頭を下げて礼を言った。
ながーい自己紹介だったなぁ・・・。
次回からは作品らしくしていきます。
稚作ですが、改めてよろしくお願いします!




