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旅する探偵もの  作者: スーパー天邪鬼
イタールア戦争
49/55

めいわくだ!とは思わない

敵が突っ込んで来る。

その速度は先程まで戦っていた敵とは一線を期す。


恐るべきスピードだ。

犬の速力程度だろうか。


「こうなったら、ここで迎え撃つ!」

「私がやるからケレンは下がってて!

足出纏いだよ!」

「バカ!今は自分の都合を捨てて考えろ!」


『パオオォォォン』


俺達が肝心な時に揉めていると、背後から銃声が聞こえる。


振り返るとホマが撃ってくれた様だ。

モシンナガンとか言う銃を構えている。


銃身上部を90度回転して、

次弾を装填している様子で、

薬莢が排出されている。


弾は相手の肩に当たった。

着弾した場所から煙が出ているのだ。

だが威力が不足している様子だ。


「何先走ってんだよ?」


銀次さんが俺にそう言って、

敵に突っ込んだ。


切っ先早く、敵の剣を一閃。

竹をも軽く斬る力加減だ。


『ゴオオオオオン!』


刀の打ち合った音とはとても思えず目を見張る。

それもそのはず。

この音は相手の腕から鳴ったようだ。


次の瞬間相手も素早く剣を振るう。

剣速は60km以上ありそうだが、

銀次さんは難なく後ろに下がって避ける。


「こいつらの剣は、

俺の刀より頑丈でしなやかだな。

刃が欠けちまった」


銀次さんが皆に情報を言う。


「私も突っ込むよぉ!」


敵は既にバラバラに配置されており、

それぞれが孤立することになるだろう。


シャラが両足で地面をふんだんに踏み、

一気に敵へ突っ込む。

踏み込んだ地面からは、煙が出るほどの勢いだ。


『ゴオオン』


敵の腹を蹴る。


「あ、また私の苦手なタイプ?」


だがこちらも効き目が無い様子だ。

それだけ相手が頑丈らしい。


相手が剣を振るい、シャラは空中へ避ける。


「あー、これはまずい」


シャラが独り言ちる。


俺は急いで新調したウェブリーリボルバーを出す。

弾は装填済みだ。

エイム!


だが間に合わない。

相手が腕を振るう。


シャラが空中で足を上げて、

膝で攻撃を掠めた。


助けに行こうとするが


「うわああああ!」


ヨウエイ君の鎧が近づく。


『パオォォン!パオオォン!』


肩辺りにエイムして発砲。

レマットリボルバーより、遥かに撃ちやすい。

反動の仕方も全く別物だ。

そう感じるのは頼もしいが、一切効果がない。


ヨウエイ君が粗のあるパンチを放って来た。

拳速は30km以下だ。


楽に避けてシャラの方を見る。


「よいしょぉ!」


シャラが掛け声と一緒に、

相手をその場に回して落とす。


重い様に見受けられる敵が、

空中で縦回転している。


「ケレンー!そっちも頑張ってねー」


どうやら無事な様子で、俺の応援までしている。


「だが、一安心だな」


そう言いながら、

後ろからヨウエイ君が近づく音が聞こえる。


俺のタイミングを計る・・・。


ここだ!


近づいて来た一瞬で、

腰の素槍を上段に構えてヨウエイ君の方向を向く。


『ガァアン』


槍先とヨウエイ君の鎧兜がぶつかる。

槍はしっかりと顎を捉えていた。


相手の力を利用して兜を飛ばす予定だったが、

兜は付いているままだ。

飛ばすことは失敗した。


「うぉ!?」


それどころか、逆に俺が吹き飛ばされる。


だがヨウエイ君も動きを止めていた。

俺が振り向いた瞬間に攻撃された事で、

混乱している様子だ。


距離の空いた今の内に話し掛けようか。


「ヨウエイ君。何やってるんだ?」

「見てわかるでしょ?

ケレンさんを殺そうとしてるんです」


確かに見ればわかるが、

一体どんな心境の変化があったのか?


「探偵になりたかったんじゃないのか?」

「人の社会で生きたくない!!」


納得できる理屈だ。


それを言った後でヨウエイ君がまた、

俺に向かって突っ込む。


俺が槍を中段に構えても一切無視しての特攻だ。


そしてパンチを放ってくるが、

拳速は20kmと言ったスピードだ。


『ビュウゥゥ』


ギリギリで避けると重い風切音が聞こえる。

だが、簡単に避ける事ができる。

避け方は、全て体に任せるだけで良いだろう。


ヨウエイ君の事情を推察する。

まず状況の整理。


俺達と別れた後に何故か敵側に居て、

人の社会で生きたくないと思った。

そして戦争に加担して、

人間社会を潰すつもりでいるらしい。


最初に俺を殺したいのは、

後で迷わないようにするためだろうか?


「そういえば、その鎧は何て言ってるんだ?」

「僕には!反対!してるよっ!」


俺に攻撃を当てようと必死になりながら、

鎧が反対してる事を言う。


「おい鎧!お前も多少は反抗できるだろ?」


ひとまず聞いてみる。

意思のある鎧と聞いているが、

何か対処する手段があるのではないか?


少し間を置いて鎧の兜が外れて地面に落ちる。

すると急に、ヨウエイ君が暴れだした。


「なるほど」


どうも、視界は兜の目から確保している様子だ。


槍を置いて鎧に取り付く。

暴れている腕を掻い潜って、

鎧の肩まで登った。


そのまま鎧の内部に腕を突っ込む。


<ヨウエイ!落ち着けって!

「・・・この声は?」


急に知らない男の声が聞こえる。


<あ、ケレンって人だな!俺は鎧だよ!


つまり、今俺は鎧の声を聞いているのか。

周りには確かに人が居ない。


話には聞いていたが、

まさか話す鎧とは驚いた。


「ヨウイエ君は・・・何とか引っ張り出せないか?」


鎧の中を見るが、

ヨウエイ君は足の部分にすっぽり収まっている。

引っ張り出すのが難しいだろう。


こうなれば、言葉で説得するのみだ。


「じゃあ鎧よ、

ヨウエイ君は人が嫌いになった様子だ。

何かきっかけは?」


正直、大体の予想はついている。

俺と初めて出会った時期の事が原因だろう。


<それが、急に言い出したんだ。

<これでも数日前まで、誰かの役に立とうとしてた

<それが急に意見を変えたんだよ!

「なるほどな」

<探偵なんだろ!ヨウエイの考えを推理してくれ!


探偵は調査が主で、

推理は推理師に任せている。

だが今は俺一人でやるべきだろう。


「わかった、何とかしよう」


まずは何から話すべきか考える。


有り勝ちなのが、

子供を無理やり納得させる事だ。

それだけは避けよう。

それは結局、子供のためにはならないから。


ならば・・・

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