進軍隊の進軍
「さて集合したな」
銀次さんを筆頭にメンバーが揃う。
全員戦いに備えて準備万端だ。
俺も両鎌槍と素槍を抱えている。
甲冑は結局不要と判断した。
「じゃあこの後だが、
ケレンとシャラを先頭にする。
次に俺が並んで、後ろにデガルズとアンザス。
その背後にパラズとホマだ」
銀次さんが隊列を話す。
俺とシャラが先頭と言う事は、
役割があるからだ。
「つまり俺とシャラで敵の探偵をするわけか」
「そう言う事だ。しっかりやれ」
敵情報をしっかりと把握する必要がある。
前回と違って隠れて偵察しよう。
「では行くぞ」
全員が頷き、隊列を組みながら進軍する。
戦場を避けての遠回りだ。
義勇兵達も戦場に加わり、
接戦を繰り広げている。
「槍部隊も頑張ってるじゃないか」
パラズが、俺の仕込んだ槍部隊を見る。
軍の最前線に立っていて、
無理に進行することなく相手を押している。
やっと見れる兵士になった。
敵の砲塔が見えたら、
その射線上に槍を構えれば良いとも伝えている。
攻撃もチャンスがある時だけと教えたが、
・・・どうやらしっかりと見極めている様子だ。
後は背後で銃を持った兵に、
援護射撃をしてもらうだけ。
「大した事は教えてないけど、
上手くやってくれてる様だな」
「いや、どう見ても完璧な進軍だ。
槍の扱いがうまいってのは本当らしいな・・・」
ホマはそう言うが、
本当に槍の扱い方をちょっと教えただけだ。
「まあとにかく進もう。
街から3kmは離れたい」
そんな、生活の役に立たない事はどうでも良い。
この戦いが終われば、
俺の一生で戦争に関わることは最後だろう。
だからこそ今は、戦うことに集中だ。
偵察の作戦をシャラと立てる。
「戦場の砲撃音等をなるべく小さくしたい。
隠密偵察には意外と重要だ」
「私も同感。隠密偵察なら、
なるべく街や敵から離れた場所がいいな」
シャラの聴覚を最大限に活かしたいのだ。
街が近いと、砲撃音などに邪魔されるだろう。
「じゃあそうと決まれば偵察に赴くか」
「うん。行こー」
「ちゃんとやれよ」
銀次さん達に見送られて、
隊から離脱する。
そのまま10分ほど走って、
丁度いい隠れ場所を見つけた。
「ここが丁度良さそうだ」
「今回は隠密偵察だし、私がメインでやろうか?」
「ああ。頼む」
前回の威力偵察は成功した。
だが今回は隠密偵察。
シャラは俺より思考能力が高い。
だから、シャラに合わせて行動しよう。
「俺は基本突っ込んで偵察するけど、
シャラはどう偵察する?」
「まず確認すべき事項を挙げよっか。
『人数』『背格好』『動き方』『武装』『基礎体力』
かな?」
成程。
それだけ知れれば作戦も立てることができる。
「それで続きは?」
「私なら離れた場所で偵察するよ。
もう、今すぐに!」
「は?今?」
今敵の姿は・・・ちょっとだけ見えるようだ。
だが、詳細はわからない。
人影がいくつか見える程度だ。
距離は1km程度だろうか。
「見えた!」
「え!?」
さすが視力5以上。
俺には全く見えないんだが、
シャラには何か見えたようだ。
「何が見えた?」
「んー。敵は31人、なんだけど・・・」
「どうした?」
何か言い淀む内容・・・。
そうか。
理由を察する。
「ヨウエイ君が敵に居るんだな?」
「うん。でもあの娘は居ないなぁ。どうしたんだろ・・・?
で、そのヨウエイ君以外だと、
薄い甲冑を着た人ばっかり。
剣道の胴着とか兜を着けてる感じ」
剣道の防具を着けたような奴が30人。
中装備と表現できそうだ。
「武器は全員、初めて見る金属」
「うん?俺が前に使っていた金属か?」
俺が以前使っていた金属、
『オリハルコン』とか言うらしい。
伝説通り、銅に隕石由来の鉱物を混ぜた、
かなり貴重な金属だったらしい。
だが、ただ頑丈なだけの金属だったため、
反れるよりもただ真っ直ぐで、
キリーグ神父の攻撃に負けて折れた。
「それより強そうだけど?」
「・・・。見てわかるのか?」
「まあねー」
女の勘ってこう言う事か?
まあ、未知の金属だと言う事はわかった。
「後はー、基礎能力なんだけど・・・、
歩き方を見ると・・・うーん」
流石に運動能力を見るのは時間がかかるようだ。
少し黙って・・・
「10歳の子供くらい」
すぐにわかったようだ。
「中装備が10歳くらいの動きをして31人、
俺より質のいい武器を持っている?」
「まあねー」
「言葉にすると怪しいが、
まあお前がそう言うならそうなんだろう」
「じゃあ皆と合流・・・」
『ガアアアァァァン!!』
!?
ヨウエイ君の入っている鎧が、
頭をこちらに投げたようだ。
俺とシャラは一瞬焦って身をかがめた。
頭は独りでに戻った。
「なんで頭を!?」
「そんな事よりバレちゃった!
ケレンごめん!」
いや、この距離でバレるはずがない。
「多分シャラは無問題。
敵にも特殊な能力があるんだろうな」
視力で見たシャラと違って、
他の方法でこっちを見つけた。
恐らくそうだろう。
「こっち来るよ!」
「!?」
俺からも見える距離まで、
敵が走って近づく。
「おいおい、あの走力、
10歳って感じに見えないけど!」
大体時速40km以上と感じる。
シャラの偵察にミスがあるのは、
初めてのことだ。
「え、本当だ。
って事は武器も怪しいかも!」
だがシャラは、冷静に状況を整理する。
「俺が敵の近くを走って引き付ける!
シャラは銀次さん達に合流しろ!」
「また!?
前も言ったけどそれは・・・」
俺とシャラが言い合っていると、
敵が既に100m近くまで走ってきた。




