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旅する探偵もの  作者: スーパー天邪鬼
イタールア戦争
45/55

話も良いけどお買い物

「ここが槍兵の待機場所か?」


俺が確認しながら中に入る。


「あんたは誰だ?」


俺の質問には答えない。

むしろ、俺への当たりが若干悪いように感じる。


仕方ない。

コミュニケーションではなく、

俺の見立てで判断しよう。


「・・・」


俺は黙ったまま、部隊の様子を確認する。


全員槍を地面に置いている。

槍兵であることは正解らしい。


甲冑には土が付いており、

先程まで前線に居た事もわかる。


次に確認したいのは・・・

今全員正座をしているから、

その座り方だ。


足を立てて座っている者が多い。

足を伸ばして座っているのは4人だけだ。


これだけ確認すれば充分だと判断し、

俺はまず、足を伸ばして座っている4人を指名した。


「おい、そこの4人。

こっちに来い」

「は?」

「なんだこの人は?」


俺の前に来た4人に、

まずは自己紹介をする。


「俺は今、臨時少佐になっているケレンだ。

お前達槍兵の指導に来た」

「は?少佐が直々に?」


どうも懐疑的らしいが、

俺が着けている紋章を見て納得する。


俺が少佐権限を持っていることを知って、

他の座っている兵士も立ち上がる。

だがその動きは緩慢で、疲れていることがわかる。


「・・・お前達4人には小隊長になってもらう」

「はあ!?」


この4人は槍を使う上で有能だと判断した。

しかし、4人とも荷が重いと感じている様子だ。


「お前達がどういうつもりだったかは知らないが、

足を立てて座るのは現代武術の影響を受けているからだ。

だが槍や斧や鎌の武術は、殆どが古武術だ。

つまり静と動を使い分ける必要がある」


説得のために解説をした。


実際、足を立てて座るのは、

近代刀術を学ぶ者や忍びと言った者達が、

いつでも対処できるようにするためだ。

それか、正座に慣れていない現代格闘家。


古武術と現代武術はまるで、

水と火だ。


古武術に傾倒すればするほど、

現代武術ができなくなる。


「つまりお前達4人には、

しっかりと槍を扱う才能があるわけだ」

「あんた何言ってんですか!?」

「俺らは軍の中でも成績下位の部隊だ。

小隊長なんて無理です!」


槍部隊が成績下位だと?


日華では槍が高級品で、

栄誉のある人間しか使えないのに、

ここでは落ちぶれているのか。


成績下位とは初耳だ。


「安心してくれ。

槍は昔から戦いを制してきた。

確かに扱いは難しいが逆に言えば、

付け焼刃でも戦いに勝てる武器だ」


兵達を説得する。

渋々納得してくれたらしく、

黙って話を聞いてくれる。


「それより、お前たちの使う槍はどれだ?」

「これです」


兵士が地面に置いてある、

かなり短い槍を指差す。


「これは騎兵用だろ?

お前たちの槍は?」

「だからこれですって」

「・・・」


一瞬言葉を失う。

これが現実かと、俺は頭を抱えた。


陸上なのに馬上用の槍を使えば、

それは当然扱い辛いだろう。


「お前ら、長い槍を持て」

「え?」

「槍は普通8尺(約240cm)以上にしろ。

なんでこんなに短いのばっかりなんだ?」


つい態度に本音が出てしまった。


短い槍が扱い易いと思っているのなら、

それはあまり槍を扱っていない証拠だ。


「いや、短いと軽いから・・・」


男とは思えない意見が出てきた。

軽い武器は確かに便利だが、

槍にとっては弱点となる。


「とにかく、地に足つけて戦う時は、

しっかりと長い槍にしておけ」


短い槍は、馬に迷惑をかけないための配慮だ。

もっと言うなら、

訓練された馬の性質に合わせるための武器なのだ。


敵を遠くで突くと、馬に与える重さが大きくなる。

だが近くで突くと、馬に与える影響が少なくなるのだ。


「じゃあ俺は家から武器を取って来る。

それまでに、槍の重さに慣れておくように」

「わ、わかりました」


それだけ言って俺は馬を探す。

沢山荷物を運ぶ予定だから、

馬が欲しいのだ。


------------------------------------------------------

人の乗っていない馬は時々見るが、

俺が乗って良い馬はどこだろう?


兵士が走り回っている陣地内を散策する。


しばらく味方陣地を歩くと、

少し目立つ馬を見つけた。


「ん?あんた」


兵士ではない人が、

馬に乗っているのが見えた。


「おや兵士さんかぇ」

「あんた行商の人か?」


どうも歳の行ったおばちゃんが、

武器を色々と広げている様子だ。

稼ぎ時だと思ったのだろう。


「そうだとも。

良い武器を見繕ってきたんじゃぇ」


今武器屋があるなら、

確かに買うのは有りだな。


後ろの戦場から、

時々銃声や爆撃音は聞こえるのが、

少し問題だと思いながら良い武器を探す。


「馬を貸してくれるなら、

そこそこ高いのも買うぞ」

「おお、まあ良いですぇ。

ここからは歩くつもりでしたしねぇ。

この中に気に入った商品はありますかい?」


軽い話をしながら銃を探す。


レマットリボルバーは撃ち過ぎたせいか、

かなり焦げが付いているのだ。


「ん?」


初めて見るリボルバーがある。

短剣とショルダーストックのオプション付きだ。


「これは?」

「ウェブリーリボルバーですぇ。

値段はだいたい5万ってとこですぇ」


かなり高いな。

この街の平均月収が3万。

俺は月4万前後。


少し悩む。


「オプションは付くのか?」

「弾が50発。

ショルダーストックに短剣付きですぇ」


弾は実砲らしい。

弾込めが楽に済む。


それにショルダーストックと短剣付き・・・。


「かなり悩むな」


正直な感想を伝える。


「そこまで慎重な兄さんを見込んだぇ。

本気のセールスでいこうかぇ。

見てみなこれを」


銃を下から見る。

そこには銃を製造した会社の名が刻印されている。


「しかも、これは!」


製造番号付きだ。

純正品とは驚いた。

かなり貴重な品なのだ。


「ここまで来たら保証書は?」

「これですぇ」


おばちゃんが保証書をヒラヒラと振る。

俺の心は猫のようになり、

その保証書が今は猫じゃらしに見えた。


「買おう!」


もちろん飛びついた。


「毎度。

整備済みだからそのまま使えるし、

短剣も込みで保証書付きですぇ」


だからこその値段なのだろう。


高くはあったが、

納得できる買い物だった。

余裕があったので投稿。

今後の予定が少し不透明なので、

また予告なく投稿することもありそうです。

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