でることができたのか。敵陣から・・・
「でも、
味方より奥側の爆発は?」
こんな時にもホマのケチだ。
「それは俺がやる!
わかったらお前ら、さっさと投げろ!
パラズに殺されたいか!?」
時間との勝負だ。
3人をなんとか説得する。
「チッ!やるよ!」「頼んますぜ!」
「隊長もお願いします!」
3方向に3人が向かう。
ホマは俺と場所を変えて街方面。
デガルズはガイアパイレーツのいる北方面。
アンザスは騎馬隊のいる南方面だ。
3人が走って10秒後、
それぞれの持ち場に着いて、
榴弾を投げた。
『ボオォォン!』
爆発音が響く。
俺も少し遅れて西方面に行き、
榴弾を投げる。
「!!」
しかし敵の一人が、
投げた榴弾を斬ろうとするのが見えた。
「させるか!」
マロホシを投げる。
『ゴォッ!』
なんとか命中する。
『ボオオォォォン!』
榴弾も無事爆発してくれたようだ。
あまり火は長続きしないが、
俺達の位置を教えることはできたはずだ。
「これで位置は伝わったか?」
中心地に戻る。
俺に残された武器が、
リボルバーの弾9発分と、
シェル1発だけだからだ。
「乗り切れるか?」
だが今できるのは、
その残弾を銃に込めるだけだ。
味方が防御に傾倒した戦い方のため、
被害は少ないのだが、
そのおかげで余った武器も少ない。
2分ほどで弾を込め終わる。
「負傷兵4人!
陣の中心に避難させます!」
負傷兵が4人運ばれた。
「ならば、負傷兵の護衛は俺がする!
お前らは存分に戦え!」
「オオオオォォォ!!」
俺もできる限りの援護はしたいが、
何とかこらえる。
歯がゆい状況だ。
「歩兵1分隊!目視!」
よし!やっとここまで来た!
我慢する時間が短くて良かった。
どうやら俺達の場所を、
しっかりと把握してくれたようだ。
「よし!ホマ少佐そこ変われ!」
「なんだよ!」
街方面に向かい、
近くの敵にシェルを叩き込む。
『ボオオォォン』
そしてリボルバーの弾9発も、
速撃ちで叩き込む。
『ボォボオボォボォ・・・』
全弾撃ち終わるが、
退路確保までほんの少しだ。
「よし!退路まで頼む!」
「あとちょっとじゃねぇか!」
ホマ少佐が突っ込み、殆ど退路ができた。
後3人の敵を潰せば、
人一人なら帰れそうだ。
「おらぁ!」
ホマ少佐の騎兵刀で、
敵の首がダラリと下がる。
しかし血が出ない敵と言うのも、
ある意味不気味だ。
だが今はそんなことより、
数で一気に敵陣を抜けよう。
「退却!退却ゥ!」
全員で一斉に味方陣地へ入リ込む。
「帰れたぁ!」
「生きてた・・・」
「ヨッシャアアア!」
全員陣地の奥まで走り込み、
門の側まで着いて倒れ込む。
「ガイアパイレーツ!最高だぁ!」
「持ち場に戻るぞ!
・・・ちょっと休んだらな」
デガルズとホマ少佐も部下をねぎらう。
「皆!よくやった!
感謝する!」
俺も騎馬隊の面々に感謝した。
ここに来てようやく、
感情を思い出す。
戦場で自我は必要無いと以前から聞いていたが、
感情があれば恐怖だけを感じるのだろう。
「隊長の槍があったおかげです!」
「銃の扱いも見事でした!」
俺も含めて、
全員が自分の事で精一杯だったが、
彼らの頼りになれたのなら良かった。
「だが喜ぶ前に、
被害報告は?」
「はい。行方不明者は2人。
死亡確認4人。
馬の被害8」
「そうか・・・」
「死亡者は・・・
『ドンチェ』来年から街の宿屋を継ぐ予定でした。
私の前に伝達係をしていた男です。
『栗木』日華の長野生まれ。武士道を通す男。
『鄭』日華の湖北省生まれ。先祖は劉備に仕えていたそうです。
『タレク』エリプト国の砂漠生まれ。サバイバルの雑学が豊富。
そして行方不明者は、
『エミリス』一度行方不明でしたが歩ホマ少佐の部隊と合流。
しかし再度行方不明に。
『エンバー』アンヌリカ生まれ。剣の扱いが得意でした」
「クソォ!お前の宿にタダで泊まる約束はどうすんだよ!」
「お前の武士道!しかと見届けたり!」
「お前の魂が関羽様の下に向かわんことを・・・」
「約束通り。俺がピラミッドを作ってやるよ・・・。
小せえけどな」
それぞれが悲しみも感じる。
先程感情を思い出したからか、
『人が死んだ』
と言う事を過剰に感じてしまう。
だが、まだ戦いの途中だ。
こいつらもまだ、
戦わなくてはならない。
俺も辛いが、
死んだ彼らのために、
口を開く。
「彼らは死んだ!
だが彼らのおかげで俺達が生き残った!
まだ戦いは終わってない!
彼らの分まで敵を倒せ!
お前達は敵陣に入って生き残った!
それだけの力があるはずだ!」
彼らの返事はない。
しかし、彼らの顔を見るだけで、
衰えていない戦意が見える。
「じゃあアンザス。後は頼むぞ」
「任せてください!」
アンザスに場を預けて、
将軍の下に向かう。
全員足の震えが止まらない事について、
俺を含めて誰も口にしなかった。
きっとすぐに収まるだろうから。




