わざわざそこに立つから凄い
「距離ここから約5km!
敵との距離約5km!」
第2偵察を終えた伝令部隊が帰ってきた。
彼らはこのまま、
高台に登って戦況を確認する。
更に探偵事務所から、
数人が敵の拠点を探す手はずだ。
「さて。残りは約10分だな。
お前達にこれを渡す」
俺/シャラ/銀次さんには、
赤いバッジが渡された。
「臨時ではあるが、銀次には中佐権限。
ケレンとシャラ嬢には少佐権限を与える」
「承知」
「はい!」
「りょーかい!」
真剣な顔で受け取り、
胸に取り付けた。
「シルブレイル、パラズ、ホマ各大尉には、
戦時昇進として少佐権限。
デガルズ、シキックス両中尉も、
同様に少佐権限とする。
また特殊砲撃部隊は全員、軍曹扱いだ」
「ッ!」
『バン!』
戦時中のみの昇進か。
俺達も権限授与とは・・・。
「お前達の部隊は、この戦いの肝になる!
ケレン特別少佐!意気込みは!」
「はい!我が隊は隼が如く!
素早い戦いを約束します」
「敵という向かい風を乗りこなす、
見事な戦いを期待する!
デガルズ!意気込みは!」
各隊長の心意気を話す!
これが終われば、持ち場に着くのだ。
「俺!デガルズの『ガイアパイレーツ』は!
バイキングの魂に則った戦いを、
約束します!」
「バイキングが真に恐れられたのは、
陸に上がってからだ!
敵を恐怖に叩き落せ!」
海賊の足元が平地になったとき、
真の強さを発揮する。
頼もしい限りだ。
「シャラ特別少佐!意気込みは!」
「私の『マッハ音速部隊』!
名前以上に速く走るつもりです!」
「う、うむ!その意気込みや良し!
マ、マッハ音速?部隊にも期待する!」
・・・他人のふりしとこ。
恥ずかしい名前だよほんと。
「銀次!てめえはどうだ!」
「俺の部隊全員に、100本斬りをさせてやる!」
「ん?うむ。いざという時は頼むぞ!」
俺の味方って、センス無いなぁ・・・。
あれ?俺の隊には個性がない?
おかしいなぁ。
「さて、演説をはじめるか。
お前達は自隊に行き、
装備の点検を行へ」
バッガス将軍の演説が、
もうすぐ始まるようだ。
気を取り直そう。
借り受けた馬を走らせて、
持ち部隊に向かった。
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俺の部隊と合流する。
全員馬に鎧を着けている状況だ。
「作業中済まないな」
軽い挨拶をする。
馬に鎧を付けるように頼む。
「俺は探偵。元『相棒のケレン』だ。
初めて見る顔もあるかもしれないが、
よろしく頼む」
「あーーー!」
急にどうした・・・。
あぁ、彼か。
ニュージェー街で絡んできた、
騎士Aだ。
「ニュージェー街以来だな」
ふと、ザルインがこの街に居るが、
あの街は大丈夫だろうか?
と気になる。
まあ騎士隊50人と犬達が居る。
結局、煙は真っ直ぐこちらへ来ているし、
大丈夫だろう。
「あの時は良く・・・も・・・?」
俺の胸を見て顔が固まる。
佐官権限があるのだ。
「俺は戦時中だけとは言え少佐扱いだ。
命令には従ってもらう」
「・・・おいおい、アンザス。
お前はこの人のことをまるで、
自慢するように褒め称えてたじゃないか?」
「今は大人しく、
従うのが良いんじゃないか?」
騎士Aはアンザスと言うのか。
少なくとも周りの兵士は、
俺に悪い印象を持っていないようだ。
「悪かったよ。
あんたのおかげで、
来月から特殊部隊入りなんだ。
色々教えてもらったから・・・。
とにかく!一言謝っておきたかったのさ」
「女々しいな・・・」
「な、なんだとう!」
この軍で特殊砲撃部隊は、
成績上位者のみがなれるらしい。
つまり、エリートと言う事だ。
「女々しいって言葉は冗談だ。
お前には俺の手伝いをしてもらいたい」
「ってことは・・・?」
「俺はこの部隊を途中離脱する。
離脱後は、お前が指揮を執ってくれ」
つまり、騎馬隊のナンバー2だ。
戦闘技術においては問題なし。
肩書きももうすぐ立派になる。
「よっしゃ!
この戦いはお前についてくぜ!」
「無茶な命令は出すなよ若造!」
歳は若くても人望がありそうだ。
「さて、お前達。
装備を確認だ!
カービン銃!」
「歩兵第1分隊から譲り受けた、
銃!弾薬!共に異常なし!」
「一人につき30発!
弾数確認完了!」
スプリングフィールドM1873は、
後装式の単発銃だ。
幸運にも銃身が短い、
カービン(騎兵用)をもらった。
扱い方は、
軍の全員が知っているらしい。
「サーベル異常なし!」
サーベルも特殊な品ではないが、
軽騎兵刀を装備したようだ。
「戦闘中に手首を痛めないよう、
入念に手触りを確かめておくように!」
馬上での刀術は、
地上で使う術とは異なる。
主に違うのは手首だ。
地上より酷使することになるだろう。
衝撃を如何に逃がすかが焦点となる。
「刀を確認したら、
馬用の装備を確認だ!」
馬が銃声や砲撃音に驚かないよう、
専用の耳栓が必要だ。
鎧もしっかり着ける必要がある。
「確認完了!異常なし!」
「よし!次!爆撃隊!」
俺達が使う榴弾は、
地面に落とした衝撃で起爆する。
つまり、取り扱いには細心の注意が必要だ。
「榴弾の準備完了です!」
「地面に落としただけで爆発する!
扱いには気をつけてくれ!」
現状必要なのは・・・
以上だな。
「よし!俺の槍に付いた鎌が、
死神のように、敵の首を欲しがっている!
俺が落とした敵の首は、
お前達が燃やしてくれ!」
「任せてくれ!」
「俺達の実力なら余裕だ!」
良い返事だ。
「良く言った!
もし戦闘中に不発しても、
今の気持ちで挽回しろ!
敵を撃って、切り裂くんだ!」
「おおおぉぉぉー!」
よし士気が上がり過ぎないよう、
後は抑えるか。
「だが、一番重要なのはこれだ!
俺達の爆撃が失敗すると、
味方には連続して敵が襲い掛かる!
逆に成功すると、
俺達と味方が戦場で合流できる!
モーゼの奇跡を超える奇跡を、
俺達の手で起こせ!」
「ッ!」
『バンッ!』
さて。
一番槍は俺が務める。
後は、将軍の演説が終われば開戦だ!
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「お前達!よく聞け!」
仮設テントの近くにある高台から、
将軍の怒号が響き渡る。
通常は布陣前に演説があるだろうが、
将軍の大声は山も越えるらしい。
敵は既に、
目視できる距離まで近づいている。
だが、戦闘直前の演説は気合が入る。
「ただ今から行われるのは、
この街で500年以上久しい戦争だ!
性能が良い武器は、
殆ど無いと言っていい!」
爆撃用の砲弾も、
数が10発だけらしい。
火力の補える武器が少ないのは確かだ。
全軍が緊張感に包まれる。
「だが!お前達は訓練を積んだ兵士だ!
戦況はお前達の実力で覆せ!
お前達の力は一体、
マスケット銃何本分の力か・・・」
将軍が急に身を屈める。
遠くからでもわかる。
何故体制を崩したのだろう?
狙撃されたのか!?
敵との距離はまだ1km程度あるぞ!
「将軍!」
近くの兵士が叫んだのだろう。
遠くて聞こえにくいが、
全兵士が同じ気持ちだったからか、
しっかりと声を拾えた。
いや、将軍の腕から何かが・・・?
『ゥゥゥウゥゥゥゥン・・・』
頭上に何か・・・?
『ズボ』
先頭に居る敵が崩れ落ちた。
「俺に見せてみろおぉ!」
・・・。
さすがは弓の名手。
3人張りの弓で射たようだ。
「おおおおおおおおぉぉぉぉ!!!」
全員の士気が一斉に上がった。




