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旅する探偵もの  作者: スーパー天邪鬼
イタールア戦争
32/55

自国で起こった事

『今までは下準備』


とある人物が囁いた。

実の話、この人物は人ではない。

彼の正体は別の物語で暴かれる。


しかし彼の見ている先には、

とある人物達が写っている。


彼が待っていたのは今この瞬間。

世界、タイミング、人数、兵力。

待っていたのだ。


『しっかりと準備は整えました』


彼の話し方は、

妙に緩やかで、

聞く者の耳に残るだろう。


『時は来ました。前世代様』


彼は機械。アンドロイド。

前世代とは、人で言う先代。


だが、彼の価値観を理解できるものは居ない。

少なくとも今はまだ。


なぜなら彼の後ろにいる、

他の機械たちも、

理解していないのだから。


------------------------------------------------------

「煙だぁ!」


その声を聞いて、

街の端にいたものは全員西門を見る。


南西の、

更に西寄り方向から煙が立っているのだ。


「西南西に異常があるな。

あの方角には砂の多い地域もあったはず・・・、

だけど、それを踏まえてもあれだけの煙・・・。

何かが来ているのか」

「でっかい鯨でも来てるのかな?」


シャラが冗談を言う。

一瞬見ただけでは、

巨大生物が来たとも納得できる。


だがよく見ると煙は横に広い。

横に広がった煙も、

場所によって濃さが違う。


「煙が横に広がってるから、

巨大な生物ではないな。

しかも一直線にこちらへ来ている。

目的はこの街だ」

「・・・いちいち間に受けなくていいから」


軽口を叩き合う。

誰もが胸騒ぎを感じる状況だからだ。


俺達はこのように緊張感を和らげるが、

和らぐ方法を知らない人はパニックに陥る。


「なんだよあれ!」

「何だ何だ!?」


現に視界に入る人々は、

状況を理解するよりも、

興奮しているようだ。


大きな地震で地面が広がってから、

大きな煙が街の近くで立っている。

そしてよく見れば、それが近づいている。


むしろ、状況を把握できないのが普通だろう。


「どどど!どうしたら良いんですかい!」


クセ・ハイルが慌てる。

野菜を育てている兄弟だ。

彼は多分、レタスマンか?


先程の揺れが収まったとは言え、

異常事態だ。


「さっきの地震。それに地面が広がった現実。

この国・・・いや大陸が広がったと考えるべきだ」

「遠くの山も広がったもんね。

それは確かにそうかも」


陸が広がった。

俺は、そうシャラと結論づけた。


通常では考えられない現象だが、

取るべき行動派決まっている。


「とにかく、城の方向に逃げてください。

避難活動が行われているはず」

「わひゃ・・・わかりましたぁ」

「ケレンさん。あなたはどうされるので?」


クセやカマイルが動き出す。

ザルインも冷静で、

ひとまず安心だ。


しかし、俺が取るべき行動は、

他の人と違う。


「俺はあの煙について調べたい。

でも勝手には動けないので、

軍と連携を図ります」

「お気を付けて」

「ケレンさん。シャラさん。

ご武運を」


オリガーも落ち着いている。

パニックや興奮状態にならない人は、

この状況では重要だ。


ここで危険なのは、

落ち着いていない人に、

『落ち着け』と発言してしまう事だ。


自分が落ち着いていない理由を探せば、

その者は更なる混乱に陥るからだ。


落ち着けない場合は、

その人の情報処理能力に任せるしかないのだ。


そう自分に注意しながら、

クセ・ハイルやオリガー達を避難させる。


すると、馬に乗ったデガルズが向かってきた。

行動が早くて助かる。


街一番の武力部隊である、

バイキング隊の隊長だ。


陸に上がってからの海賊は、

家畜の首を斬った斧で稽古をする、

恐るべき者達だ。


さすがにタフで、

地面が揺れてもしっかりと落ち着いている。


「探しましたぜ旦那」

「どうした?」

「依頼ですぁ」


この状況で探偵の仕事と言えば一つだ。

むしろ、その仕事が本職とも言える。


「敵戦力の探偵だな?」

「ええ。緊急性が高いので、

俺の愛馬『カトラ』をお使い下せぇ」


デガルズが馬から降りて、

手綱を俺に渡す。


「わかった」


つまり俺の探偵した内容が、

国の公式な情報になるのだ。

緊張感を覚える。


「シャラはダッシュできるか?

なに。ただのランニングだ」

「馬に負ける私じゃないよ」


では早速、敵戦力の把握に向かおう。


「接敵の必要性はありそうだな。

Rコースで行くぞ」

「はーい」


馬を駆ける。

現在は街中だから、まず街から出よう。


しかし街中をしっかり見ると、

パニックになりながらも避難する人々が見える。


家は内側へなだれ込むように崩れ、

柵も引っ張られたように割れている。


緊迫感を感じるだけでなく、

最速の偵察を思案する。


「本当に、一体何が起こったんだ?」


そのヒントが、

これから探る敵にあるかもしれない。


その後、無言で馬を走らせ続けて15分。

街から12kmの距離に出る。

渓谷の上だ。


「ここは高い位置だ。

状況を見渡せる」


以前はここまで3km程の距離だったはずだが、

地面が広がったことで、距離が4倍になったのか。


丸い岩が置かれており、

谷の下を通る敵に一方的な攻撃ができる場所だ。


この岩には、フリントロック式の銃と火薬2種、

(弾を飛ばす黒色火薬と、

黒色火薬を点火する口薬)

それと非常食、ナイフに、筒状の小さな棒。

そして馬用の耳栓が置いてある。


谷の下を覗く。


煙の出ていた場所と、

地面の広がり具合を計算して、

現実を見比べる。


風向きは追い風。

風速も緩やか。

・・・計算を繰り返しても変化なし。


「よし。

あれが地面を進む生き物であれば、

ここを通るだろう。

計算通りだったな。

そっちは?」


シャラは、遠くの敵を観察する。

俺が状況把握で、シャラが戦力把握だ。


「うーん。人が沢山歩いてくるんだけど、

武器を持ってるようには見えないね。

距離はここから3km程度。

ここまで30分って感じかな」


移動手段は徒歩か。


つまり、街まで2時間程度。

部隊編成をするには充分な時間だ。


「でも、着てる服に見覚えはないなぁ」


変な服を着た人が、

こっちに歩いて来るってことか?


「変な服?」

「うっすい服。

体に張り付いてる。

色は全員同じで白っぽい肌色」


布の服だろうか。

奇抜すぎる。


「他には?」

「全員顔が一緒。

男か女かわかんないけど」

「・・・」


気味が悪い。

これでは『敵』と断定できない。


とにかく武器だ。

できる限り近づいて、

銃弾と叩き込もう。


そう考えながら筒状の棒と、

馬用の耳栓を持ち出した。

次は木曜日!

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