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旅する探偵もの  作者: スーパー天邪鬼
独立戦争未遂事件:前編
3/55

目で見て分かる、五月蝿い街長(まちおさ)

「やあやあよく来てくれたね!

私はこの街ニュージェの長であるザルイン・エルシーだ。

よろしく探偵くん。

サムライと聞いているが君は黄金の国『日華』から来たのかな?それと彼女は妹さんかな?」


やけにハイテンションな人だな。

だが、年齢が30前後と若く見えて、常に明るい笑顔のために、話しているこっちが楽しくなるなぁ。

カマイルが俺たちのことを説明した後、真っ先に興味を持ったのが武器のことだったようだ。

まぁこの時代だと、武器が大事な役割を持っていることは皆わかっているからなぁ。


「よろしくお願いします。私はケレン・ラウロウ。

元は武道場で稽古に励んでおりました。

そのため、武器も日華文化に近いものを使っております。それと彼女は・・・」

「はい!私はシャラって言います。妹じゃないです!ケレンの相棒やってます!よろしくです!」


俺まだ喋ってる途中だったのに・・・。

ついでに俺の武器は、二人いる師匠が協力して創ってくれたお手製だ。


まぁ、何はともあれ、明るそうな人でこっちも安心できる。

ちょっと騒がしいが、シャラとも気が合うようだ。

今も、如何にりんごを美味しく食べるかで議論している。

しかし話が長い。しょうがないからこっちから話を振ろう。カマイルも困惑しているようだしな。


「へ~。カタナかぁ。この街にはラッパ銃が2丁だけで、ピストルやライフルもないから、商人に頼んで見ようかな!」

「そのお話も良いですが、先ほど我々が遭遇した偽兵士とやらについて、お話を伺いたいです」

「あぁ、そうだったねぇ。失敬!ではまず、この街と周辺について説明しよう!」


そう言ってザルインは一つの紙を取り出した。

紙にはこの街と、街周辺の地図が描かれているようだ。


「この街の南と東には、北東の山から流れるヘルイムの川があります。東だと時期にもよりますがニジマスやサケ、鯉も時々取れるそうですな。南に行くとザリガニもいるそうですぞ」

「良いですね。暇が出来たら漁をしてもいいですか?」

「ええ勿論。ただ、この街の決まりで、川魚を獲るのは一人一日3匹までと決まっています。実はこの街の食糧にあまり余裕がない状態でして・・・。

飲食店が2つしかない程度には食糧が不足しているのです。犬が多いですからね!」

「そうなんですね。わかりました」


ただ、基準の『1日2食』は食べられるようだ。

それにしても川魚か。今は春だから、いい魚が獲れそうだ。

俺の故郷だと魚は海で採ったものを食べて、後は肉にしろって言われていたなぁ。

周りの村や街も似たような感じだったが、師匠のおかげで川魚好きになったんだよなぁ。

っと話がそれてしまったな。話はまだこれからだ。


「ヘルイムの川を超えるとどちらの方向にも村があります。南には10km程行くとアカ村で、東には30km程行くとジャムムル村です。西はお二人が来られた方向とのことですから説明は不要かと思いますが、森が350km程あり、その先に海があって、海を越えて10km行くとアンヌリカ国がございます。ここまでは良いですか?」

「はい」


シャラも頷く。

というかこの二人、さっきまで騒がしかったのが嘘みたいに静かだな・・・。ザルインも真面目な顔しちゃってるし・・・


「それで、偽兵士である彼らだが、まずこの街の北側に駐在所を建てたようだ。元々北にあるイタールア街から来ている。イタールアはこのイグリス国の首都で、軍が存在している。

アンヌリカ国は世界一の軍事国家と言われているが、銃の性能に関して言えば我がイグリス国より劣っている、と言われている」

「えぇ、有名な話ですね。とはいえ銃職人は別国の発注も受けますから一概には言えないと思いますが、わたくし共の認識も概ね同じです」


因にこの世界での銃は、

都会や町だと単発のホイールロック式であったりフリントロック式

のマスケット銃や、マフガン等の銃が使われている。

海があれば海賊も多いために、大砲や銃身回転式の多いピストルが使われている。

西部開拓地だとウィンチェスターのライフルやリボルバーで、

日華だと火槍や火縄銃をベースにして、銃を改造しているようだな。


勿論これらは基本的な場合であり、金持ちになればなるほど地域など関係なく武器を用意する。


「で、本題の偽兵士についてですが、なぜ偽物とわかったんです?」

「うむ、先に地理の説明をした理由はこれさ。見てくれ」


見せてくれたのは街や村を表す章だ。大きい街だと旗にも使われているものだな。

イタールアの旗は5年前に新しくなっている事がわかる。


「かつては笛やバイオリンが描かれた旗だったというのに、見てくださいこれ!

上下赤い色の線があって、中にイモムシ!これが今現在の旗ですよ!汚らわしい」

「え、これってドラゴンですよね?」


いきなり何言ってんだこの人・・・翼の生えたイモムシなんて聞いた事無いぞ。

あぁ、彼の顔がひどい・・・目の下が痙攣してる。

新しい国旗のことを説明するのが嫌だというアピールだな。


「え、私お母さんからトビウオを吊るしたやつって聞いていましたのに・・・」


カマイルのお母さんは想像力が豊かなんだな~。


ん?シャラがうんうん唸っている。なんだ?


「チキンは食べたいよね。そっか、さっきの兵士で食欲がわかなかったのは、楽器が描かれた古いマークをつけてたからなんだね。通りで眠くなるはずだよ」

「だから、これはドラゴンだろ!」


後でわかったが、やはりこれはドラゴンだった。


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