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旅する探偵もの  作者: スーパー天邪鬼
兄弟調査
23/55

料より量。重いと強いね。

目を覚ました次の日。

未だ体の傷は治らない。

 だけど少しマシになったかもしれない。

痛みが減っているのだ。


「早くトレーニングしないと鈍るかもな・・・」


だが今は休息だ。


『コンコン』


そう考えていると、部屋のドアがノックされた。

 こういう時はドアを4回鳴らすのが普通だが、

誰が来たんだろう。

例の鎧人間か?


「どうぞ」


ドアが開かれた。

そこに立っていたのは、予想通り鎧人間だ。


「・・・」


しばらく沈黙が続く。

こんな大男が無言で居ると、とても緊張する。

一体何の用だ?こちらから聞くべきか?


「あの・・・」


少し驚く。

まるで子供のような声だ。


「・・・はい?」

「・・・」


また沈黙。

こんなに威圧感のある相手は初めてだ。

冷や汗が出そうになるが、呼吸を整えて対処する。


「・・・話そうと思います」

「へ?」


え、何この人怖い。


「うん。ありがとう」

「は?」


対応に困る。

すると彼は、おもむろに鎧を脱ぎ始めた。


「な!?」


俺は驚いた。

鎧兜の中は空洞だ。

 では誰が鎧を動かしてるんだ!?

鎧の中から出てきたのは、

見覚えのある少年だった。


「あの、僕のこと覚えてますか?」

「君って・・・6年前に俺が助けた子だよね?」

「・・・はい」


本当に驚いた。


キリーグなんて化物を倒した鎧人間は、

俺が新人の頃対応した案件に関わっていた子供だなんて・・・。


「君は、孤児院にいるんじゃ?」


俺は、彼の事をしっかりと覚えている。


当然だ。

初案件で救ったのが、人を食べる少年だったのだから。


あくまで普通の人間として扱い、

孤児院に任せていた。


しかし、沈黙が続く。

どうやら、孤児院は抜け出したみたいなだ。


「おーい、ケレン。お客様がお見えだぞー」


下の階から銀次さんの声がする。


「俺まだ怪我してますよー?」

「だがご指名だ。話だけでもしてきてくれー」


俺を指名しているのか・・・どんな人だろう。


「僕の名前はヨウエイです。

あの、僕も探偵になりたいんです!」


俺の都合は関係なしに話を進める。

教育環境が良くなったのだろう。


「それは・・・大人になってからだな。

今の・・・ヨウエイ君は11歳か。

探偵は特例がない限り18歳以上からだ」


年齢についてはうろ覚えだから、

少し間が空いた。


まだ探偵って職業が出来てから10年程度。

そんな不安定で危険な職業に、

子供を巻き込むのはどうだろう?


「じゃあ、あの、・・・僕はこれで!」


彼が鎧を着る。


先程鎧を脱いだ時は顔が赤に近く、

ゆっくりと動いていた。

でも今は動きが早く、顔色も呼吸も安定してる。


この子は鎧に依存してる。


教育環境が悪く、鎧に依存している子供。

彼に探偵は向いていない。

俺はそう結論づけた。


「だが」

「え?」


少し迷ったが、彼に説教する必要がありそうだ。

咄嗟に声を出した。


「今の君じゃ無理だ」


少し厳しいかもしれない。

できるだけ柔らかく言おう。


「その鎧は特別みたいだが、

依存しているんじゃないか?

そんな子供に、探偵は無理だ」


言葉の内容は厳しいが、

ゆっくりと穏やかに言う。


だが彼は、無言で部屋を出てしまった。


夢を壊してしまったかもしれない。


だけど探偵だけを目指すなら、絶対に探偵になれない。

この世界での探偵とはそういうものだ。


いくつもの価値観を持たなければならないのだから。


ひとまず依頼主と話をしよう。

指名客を待たせるわけにも行かない。


「よっと」


痛む体に鞭を打って立ち上がる。


「依頼主は?」

「面会室だ。さっさと行ってこい」

「人使い荒すぎです」


銀次さんに聞くと、

下の階にある面会室で依頼主が待っているらしい。


1階の面会室に向かう。


『コンコンコンコン』


4回ドアを叩くと、中から「どうぞ」と声が聞こえる。


「あなたがケレンさんですか?」


面会室に入った瞬間、依頼主が席を立つ。


「ええ。探偵のケレンです。お掛けください」


依頼主は、背が高い男の人だ。

服が赤色で統一されている。


立ち居振る舞いに無駄な力が入っておらず、

音も殆ど立てない。

とても上品な人だ。


しかし、俺は彼に見覚えはない。

何故指名されたのだろう?


「本日は私に依頼を希望していると伺いました。

なぜ私なのでしょうか?」


正直、元称号持ちとは言え、今は探偵補佐だ。

その俺に依頼とは、どういう理由か気になる。

少なくとも、この人とは初対面だ。


「私は城にて、礼儀作法の講師を務めております、

オリガー・ルージェと申します。

先程城に帰ってきた男が、

ニュージェーの街には、

城の剣術講師より腕が立つ探偵が居たと騒いでいたのです。

名前は『ケレン』と。

そして噂を聞いた私は、

あなたに依頼をしようと思ったのです」

「成程」


深い意味はないらしい。

多分マルカスと一緒に俺を襲った、

兵士Aが広めた噂だろうだろう。


それで、俺に依頼をしたいと思ったのか。


「して、どんな依頼なのでしょうか?」

「私はとある男に、礼儀作法について纏めた本を貸したのです。

しかし、本を返して欲しいと彼の家を訪ねると、

そんな本は借りていないと言われたのです」


自分で書いた本を盗まれたということか?


「その後城に戻ると、その男が現れて、

『さらに複雑な作法を書いた本はないか』

と訪ねてきたんです」

「先程の話と矛盾しますね」

「ええ。先程男の家を訪ねたと言ったら、

急に怒り出して、家へと帰ったのです。

双子かとも思ったのですが、なんだか気味が悪いんです」


成程。


「あの本は、私の人生を文字にしたような物ですから、

なんとか取り戻したい。

だから、その男について、身元調査をしていただけませんか?」

「解りました。

その依頼、お受け致します」

「ありがとうございます」


体の傷はまだあるが、まあなんとかなるだろう。


時王に出てきた預言者さんの本、医者ゲーマーの小説版やん・・・。

「私は最強の力を手に入れた」

とか本に書いたら最強になれるね!

まあ多分限界あるんだろうけど。

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