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旅する探偵もの  作者: スーパー天邪鬼
独立戦争未遂事件:後編
21/55

ですバトル

入院してたらめっちゃ日が空いちゃった・・・。

「・・・」


俺は黙ったまま、残った石突側の槍を握り締めた。


「そうだ。お前も神の生贄にしてやろう」


信徒を集めて、例の歌を歌う。


『神に捧げる血肉の用意~

まずは鉈で頭皮を剥ぎ取り~

次に斧で耳をそぎ~

次はスプーンで目をとって~

棒で頭も割りましょう~

包丁があれば鼻も取り~

鎌で首を切り取って~

体は全部捧げます~

フォークとナイフで切り分けて~

彼を育てた神に感謝し

頭も全て捧げます~』


キリーグが信徒から、鉈を受け取る。


『神に捧げる血肉の用意』


俺の頭を切ろうとしている。

嫌なことだ。


「この歌は刀と槍がないから、気に食わなかったんだ」


俺は石突側の槍を分解していた。

鞘と槍の残骸を地面に落とす。

槍の中に仕込んでいた刀を、

キリーグの脇腹に当てて、一瞬で引く。

 俺の刀には僅かな反りがあるため、

斬る対象との接点が小さくできる。

接点が小さいほど、

斬る対象に傷を付けやすくなるのだ。


しかしこのデカイ図体には、

掠り傷程度しか付けられない。

驚いて俺を落とすキリーグ。

 本当の狙いはこれだ。


右足を前にして、

体の正面を相手に向ける体勢で着地した俺は、

バウンドするように右足を浮かせる。

 刀を俺の右上後ろにて構え、

右足と同時に左下へと思いっきり振り下ろす。

基本は『袈裟斬り』だが、相手が固い場合にする足運びだ。


「えええぇぇぇい!」


先ほど槍で突いた膝と、全く同じ場所を斬る。

道場でも出したことがない、思いっきりの掛け声。

 もはや手が血まみれになっているが、

初めて千本斬り稽古をした時よりはマシだ。

しっかり刀を握れなくてマメが潰れ、

手が血まみれになったことをよく覚えている。


「ガアアア!」


キリーグにようやく、大きなダメージを与えられた。

膝の骨を割った感触があった。


裂く様な切り口が特徴の刀だが、

まるで西洋の剣と同じ割るような感触だった。

 だが、ダメージはダメージだ。

ようやく一矢報いた。


次は取って置きだ。

SAAを取り出して、ハンマーを引く。

 近距離で短時間発砲が必要だ。

本来トリガーに指を掛けるのは、

発泡の直前だが、今は気にしていられない。


もうすぐキリーグが地面に膝をつく。

その前に撃つ必要がある。

フロントサイトやリアサイトは使わない。


腰だめで、キリーグの目に向けて構える。

心の中で『ターゲット!』と言う掛け声を出す。

次いで『ファイア!』トリガーを引く時に、銃身がぶれないようにする。


『バォン!』

「ァァァアアアア!」


銃身が跳ね上がる。

弾が目に当たった。

一瞬耳がしびれる。


だがもう一発!

ハンマーを下ろして『ファイア!』


『バォン!』

『パシイ!』


少し外れて眉間に当たったが、弾丸が体に刺さらない。

 骨をここまで頑丈にできる薬などあるのだろうか?

だがまだ!ハンマーを下ろしてもう一発!


『パォン!』


Ah!Great!

目に突き刺さったぞ!

・・・アドレナリンが過剰に分泌されているのをようやく自覚した・・・。


キリーグは地面に倒れて、

膝と目を押さえつけている。


次の瞬間、激しい頭痛を感じた。

右を向くと、コーレルが笛を吹いている。

だが、先程よりは痛みが薄い。

 喉が限界なのだろう。

俺もキリーグもタフすぎて、

コソコソ攻撃するだけのはずが、

全然終わりが見えないから、

かなり焦っていることが見て取れる。


それでも振動する空気

 そして、キリーグも再度立ち上がる。

満身創痍であるが、俺にはまだ、SAAがある。

そう思い、コーレルの足に向けるが、

残弾の弾薬が暴発する。

 コーレルの音波だ・・・余計なことを!


「死ねぇ!」


キリーグが叫び、俺を右手で殴り飛ばす。

巨大になったせいか、薬を使う前より緩慢な拳だ。

 だが、今は避けられない。

燃え盛る民家に突っ込み、予備の弾薬も全て暴発する。

この戦いで初めて、二人の連携攻撃を受けたと感じた。


「があぁ!」


空を舞いながら視界の端で、

キリーグが俺の刀をへし折って、

コーレルに突貫している光景が見える。


「グフッ!」


うつ伏せで、地面に激突した。

受身は取れたが息ができず、

仰向けになって胸を掻く・・・。

 暴発した弾が、一発太ももを掠める。

服の上からでもわかる出血だが、

その大きな音に気を取られて、

一度動きを止めるキリーグを見る。


息はできる。


あいつらとの決着は絶対に着けたい・・・。

息ができるようになってから、最初にそう思った。

他に武器は無いか?

手持ちの武器は何もない。


意識が少しずつ薄れていく・・・。

血が出過ぎたのかもしれない。


朦朧とする意識の中で、敗北する現実が見える。


俺は諦めてない。

だが、諦めない意識は、ここで消えてしまうのだろう。

ここで終わりなのだ。


運の良い戦いだった。

怪我をして100人程度の信徒と戦い、

魔女の音響兵器を受けながら、

ドーピング+をしたキリーグをあそこまで痛めつけた。


「ゴフッ!」


体から溢れる血を感じて咳をする。

魔法も肉体改造もできない俺は、

あいつらに負けるのだろうか?



『だから、私の補佐として今すぐ私の相棒になってください!

『相棒のケレン』さん!』



シャラの言葉が聞こえる。

俺が探偵として再出発しようと思った言葉だ。

ごめんな。俺はここまでかもしれない。

全く動かない手を見て思った。


少し離れたところに、俺の槍と思われる物が落ちている。

だが、もはや視界が赤くて暗くて、よくわからない。

この槍が折れていなかったら勝てただろうか?


オリハルコンの正体は、殆ど真鍮・・・謂わば銅だ。

 折れてしまったことを責めるつもりはない。

今まで、俺を世話してくれた、大切な武器・・・

これが折れた瞬間、俺の負けは決まったのかもしれない。


そこでふと気付く。

一人の子供が歩いてきたのだ。


「リアちゃん?」

「ヒュー・・・ヒュー・・・」


喉が潰れているのだろう。

両腕も落ちている。

焦げ跡も痛々しい。


「俺のせいで・・・ごめんな・・・?」


涙を流してそう言った。


「ヒュー」


だが、彼女は首を振る。

血を撒き散らしながら。

そして、彼女はある方向を見る。

その目先を追うと、俺の槍、その先部分が見えた。


「リアちゃん・・・そうだな。

俺の武器はまだ残ってる」


俺は、這ったままで槍の先に刺さってるマロホシを手にする。

何とか立ち上がり、マロホシを頭上で回す。

視界の端で、リアちゃんが倒れる姿を見た。

それでもマロホシを回転させる。


マロホシやヌンチャクを回転させて投げると、

バウンドして自分に帰ってくる。

だから、この方法は自爆前提の攻撃だ。

それでも回す。


力の限り回して、

コーレルをようやく殴ることができたキリーグに近づく。


「貴様!」


俺に気づいたのと同時に、

俺はキリーグの目に向けてマロホシを投げた。


音もなく目に刺さったマロホシが俺に帰ってくる。


顎にマロホシを受けて、俺は今度こそ倒れ伏した。

体が全く動かない。


「シニヌスワァイ!」


ん?何だって?

あぁ、死になさいって言ってるのか?


ここまでやって倒せないとか、ほんともう・・・

でも体が動かない。


「相棒が来たよぉ!」


シャラだ。

そりゃ来るよな。

だって俺は『相棒のケレン』

どんなに能力が上の相棒と組んでも決して負けず、

相棒の危機に俺が、俺の危機に相棒が、必ず駆け付ける。

その事実から取った、俺の称号。


でもあいつの危機には駆け付けることができなかった。

その日から俺は『相棒のケレン』じゃなくなった。

だから、シャラは来ない。


あれ?

アンナ・・・?

・・・俺の大切な妻。

そこにいるのか?

ちょっとよく見えないな。

アンナは灰色の髪だったんじゃ?

髪の向こうに太陽が見えるような、綺麗なあの髪・・・。


目を凝らすと、アンナのようなアンナが、シャラみたいになって、キリーグの目に


『パオォン!パパパパ・・・』


あ、意識が。

アンナ。お前にようやく会えるのかな。

自分でも気づかない内にこの時を待ってたのかもしれない・・・・・・・・・・・・。

おやすみ。


てか入院してたらニチアサ観れねぇんだよぉ!


その間にめっちゃ進んでんじゃん!

新土管大王神Ⅱとか、

パンツとちょっとの小銭男とふんにゅーとか、

オレンジとバナナとか、

腹減り幽霊とか・・・


おのれディケイドおおおぉぉぉ!(14.5話でも言ってたの嬉しい・・・)

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