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旅する探偵もの  作者: スーパー天邪鬼
独立戦争未遂事件:後編
14/55

はりきっても無理しちゃダメでしょ

「ギャレスを殺したのは誰だ?キリーグか?」

「そこまでは知らん。

だが、司祭様がもうすぐ神となる。

その時に、今まで殺した人間達の話もするだろう」

「司祭が神だって?そりゃ大躍進だね。

こっちは魔女の力でも借りようかな?」

「お前はここで死ぬと言っただろ。やれ!」


話し合いはたったそれだけで終わってしまった。

だが、槍を頭上で回す男がリーダーか。

程度が知れる。


剣を持った男がこちらに向かってきた。

剣の重さを利用した横薙だ。

その後ろから、弓を持った男が俺に狙いを定めている。


俺が避けた後で射止めるつもりだろう。

左手に弓を持ち、矢を1/3ほど引いている。

だが彼の両肩は、俺に対して正面を向いている。


俺は腰の銃を取り出してハンマーを下ろし、

すぐに弓を構える男へ発砲した。


弓や銃を構えるとき、構え方の中に

『体を真横に向ける』

方法がある。

武器の扱い方でまず想定される敵が、

自分と同じ武器を持った敵だからだ。

相手の矢や弾を受けにくくするためにこの手法が取られている。


諸説あるが、今回は狙いやすくて助かる。

当たり所が良ければ、武器を壊せるだろう。


『パォン!』


と音が鳴り、耳が痛む。

俺の肩まで振動が来て、わずかに曲げていた肘をさらに曲げる。


剣を持った男は自分が撃たれたと感じ、少し動きが遅くなる。

まるで味付けしなかった料理を食べている顔だ。

俺は銃を、目の前の剣男に向かって投げた。


「ああぁ!?」


そして俺は、男が剣を持っている手首を外側に曲げて、

右拳で喉と鼻を殴る。


すぐに引いて打てば、6割の力で1秒間に5発は打てる。

最後に相手の左膝裏を、俺の右足つま先で蹴った。


これでしばらく立てないだろう。

きっとこの男は今、足が動かない感覚を味わっているだろう。


後ろにいた弓男を確認する。

弓男は、弓を破壊できており、貫通した弾が肋骨に当たったようだ。

こちらも悶絶している。


俺は刀を引き抜き、

一番近い相手に右足を向けた状態で体を横向きにする。


左手は広げて顔の横に置き、手のひらと柄側の頭を着ける。

刃は上向きだ。

この構えをすれば、相手は不用意に近づけない。

どんな攻撃でも下と横に流す、受けに便利な構えだ。


「おい、そこのお前・・・来い・・・」


槍を持った男を挑発する。

先程まで槍を回していた男とは別人だな。

身長は、175cm程度か。

腰の位置が高くて、構えがなっていない。


「てめぇ、殺してやる!」


俺に近づいて、槍で突いてくる。


「!はぁ!?」


と、俺は素っ頓狂な声を上げた。

相手の槍扱きが、あまりにも稚拙だったからだ。

両手を前に出す突きとは・・・


説明は不要だろうが、槍の基本はこうだ。

槍は突く武器だ。


だがもし両手で突くのならば、

ブレブレになって打点が合わないか、体が前のめりになる。


ビリヤードでもそうだろう?

棒を片手で突くか両手で突くか。

両手で突いたら、良いショットは無理だ。

球の勢いがない。


まあ確かに例外はあるし、両手で突く流派もあるが正直上級者向けだ。

しかし、槍で突くときに左手は動かさないのが基本だ。

少なくともこの男に、そこまでの技術はない。


俺は構えを解いて、相手の手を見た。

両手で打つ槍は、右手と左手を見ればどこに突くかはっきりする。

なぜなら手首を使わないから。


穂先の横スレスレを歩いて避ける。

これで相手に、もう一度チャンスをくれてやった。


「なんだ!お前!」


そのまま槍を薙いできた。

・・・おいおい、どれだけ素人なんだよ。

薙刀じゃないんだぞ?

そんなに槍で薙ぎたいなら、バットみたいに振るのが一番だ。

槍で薙ぐのは、本来あまり良い行為ではない。


槍は突くだけで技になる、

本格的な扱いが難しい武器なのだ。


斬る技は、槍の中でかなり難しい技だ。

あの小さな刃を振って、当てて、引く。

これは槍を完璧に扱える人間でないと不可能だ。


それをこんな素人がするとは・・・。

そもそもこいつ、柄部分で俺を攻撃する気だ。


せめて、棒のように肩に乗せたり、

刀を納刀するような動きをして、石突で突けよ・・・


そう考えながら俺は攻撃をわざと受けた。

うん。全く痛くない。

鎧を着ているわけでもないのに。


それはそうだ。

今の動きは、防御技なら充分だが、もはや攻撃とは言えない。


「出直せ」


それだけ言って俺は、相手の槍を脇に抱えて引っ張る。

ただでさえ重心が前になっていた男は、

俺の方に向かって歩くような体制になる。


そして俺は、槍の上に横向きで刀を乗せて、滑らせる。


「ぎゃああああぁぁ!」


相手の手首に深い傷をつけた。

これでこいつは、2度と槍を扱こうとは考えないだろう。


俺が昔妻と開いていた道場の、

門下生よりはるかに弱いのだから仕方ない。


命をかけている戦いなら、ただの的になる。


「わああああ!」


半狂乱になった残り3人は、我先にと逃げる。

リーダーは真っ先に逃げたようだな。

俺はマロホシを取り出して、長い針を持った男の足に投げた。

うまく引っかかる。

マロホシを引っ張ると、転けて顔から地面に打った。


「ぶぅ!」


受身も取らずに、地面と激突する。

かなり痛いだろう。

そいつの髪を掴んで持ち上げる。


「おい、ギャレスが死んだといったが、

何か証拠はあるか?死体でもいい」

「ひぃ!

・・・この、教会の、地下の、ゴミ捨て場に、死体があります。

あんたの、相棒は、それをみて、司祭様の、命令で、追われて、おります」

「なるほどな」


こいつの顔を、再度地面にぶつける。


銃を拾いながら、この後どうするか考えた。

シャラと合流するべきか・・・いや、シャラは俺より強い。

実は俺にとって、格闘技の師匠はシャラだ。

あいつなら大丈夫だろう。


それよりもこいつら、

『司祭が今まで殺した人間達』

と言っていたな。

想像通り、殺した人間は一人じゃないようだ。


教会の中に入ってみるか。

俺は銃に弾を込めてから、教会の方に向かった。


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